第16話 想像してしまった

 さて、下着屋の前に着いてしまった。今になって冷静に考えたら俺の周りはぶっ飛んでる人ばかりだ。まぁ常にぶっ飛んでる訳ではない。まともな所もあるとはいえ今回は誰に相談した所でこの結果は変えられなかったのでは? と思ってしまう。


 結局俺には舞の下着を選んであげるという道しか残されてなかったのだ。


「お兄ちゃん何考えてるの? 早く中に入ろう?」


「……あぁ、行こうか」


 覚悟を決めるしかない。とりあえず早く選んで外に出よう。


「可愛いの選んでね♪」


「俺には何が可愛いのかとか全然分からないのだが?」


「えー! 色とか刺繍とかデザインで可愛さ全然違うじゃん」


「いや、まぁそうなんだろうけど男の俺からしたら全部同じに見える……というか恥ずかしくてちゃんと見れない」


「あーお兄ちゃん照れてる♪ 可愛い♪」


「あまり揶揄わないでくれ」


「あはは! ごめんね♪」


 やはり店の中は居心地が悪い。当たり前だが女性用の下着ばかりだ。辺りを見回す事すら出来ずにいた。しかし早く選ばなければここから出れないだけだ。


 よし! 恥ずかしがってる場合じゃない。真面目に選んでみよう。

 まずは色だが舞には白かピンクが良さそうだな。次は刺繍とかか? 女の子だし花の刺繍とかかな? 

 おっ!これなんか良さそうだな。

 俺は舞を探しながら商品を手に取り舞を呼んだ。


「舞、これなんかどうだ?」


「どれどれ……わぁ! お兄ちゃん大胆なやつ選んだね」


「……えっ?」


 俺は手に取った商品を見てみた。

 それは赤色で布面積が少なめのセクシー系の下着だった。


「うわっ! 間違えた。こっちだこっち」


 俺は慌てて隣にあった白で花の刺繍が入ってるやつと入れ替えた。


「間違えたの? 本当はそれ着けてほしかったんじゃない?」


「本当に間違えたんだよ。それにそれ着けた所で俺は見ないからな」


「そっか。あっ! でもその白のやつ私似てるの持ってる」


 すでに似てるの持ってるだと? 確かにそれは考えてなかったな。


「う〜ん、私もこういうの挑戦してみようかな?」


 舞は俺が間違えた赤の下着を手に取った。


「わぁ〜これパンツの方、Tバックだ」


 くっ! 想像してしまった。義妹相手に何想像してんだ俺は。


「いや、本当に間違えただけだし他のにしない?」


「でもTバックっていい所もあるみたいだよ。服によってはパンツのライン出たりするからその時の為に持っててもいいかも」


「そうなのか?」


「うん。私こういうの持ってなかったし、折角お兄ちゃんが選んでくれたからこれにする」


 ……だから間違えただけなんだって。まぁ使い道があるならそれでいいのか?


「じゃあ私、試着してサイズ確かめてくるね」


「分かった。じゃあ俺は流石に外出てるぞ?」


「はーい。ちゃんと待っててよ?」


 舞は店員を呼び試着室の方へ行ってしまった。

 俺は急いで店を出た。


「はぁ〜何で間違えるかな? でも間違えてなければまだ決まってなかっただろうし……まぁ最終的に決めたのは舞だしよかったのかな?」


 俺は独り言を呟きながら舞が出て来るのを待った。 

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