第44話 正反対だ

 俺の部屋で早速美佳とのデート場所を決める会議が始まった。


「しかし美佳の喜びそうな所は身体を動かす所しか思いつかんな。他に何か好きな事とか知ってるか?」


「遊園地とかかな? 絶叫系が好きだったはずだよ」


 俺の質問に舞が答えてくれた。


 まぁ、なんか美佳らしいな。俺も嫌いではないが連続となるとキツイだろうな。しかしトレーニングジムとかよりかはマシだ。


「じゃあ遊園地で決まりかな」


「私も行きたい♪」


「それじゃデートじゃなくなるだろ? まぁ美佳が着いて来ていいって言えば構わないんだろうけど」


「そっか……じゃあ今回は我慢するよ」


 デート場所は遊園地で決まりかけたのだが、そこに莉子が質問をしてきた。


「平日だったらどうするの? 学校終わってからだと遊園地行ってもほとんど遊べないよ?」


「あっ……その可能性もあるのか。じゃあもし休みの日だったら遊園地にして平日だった時の事も考えとくか」


 というか美佳にいつ休みなのか聞いておくべきだった。今更ながら後悔した。おそらくもう部活も始まっており休憩時間にスマホを見るかも分からない。今から連絡して待つよりかはもうどちらも考えてた方がいいだろう。


「放課後だと何か軽く甘い物とか食べ行ったりした方がいいのか?」


「それなら美佳、ラーメンが好きだよ♪」


 それならって、軽くもないし甘くもない、正反対だ……まぁラーメンが好きなのは分かるがな。


「他は何かないのか?」


「えーっとね、焼肉にカツ丼にステーキかな♪」


 ……いや、好きなのは分かるがもう夜ご飯食べに行ってこいって事か? 高校生の懐事情だとカツ丼になるぞ?


「あと牛丼も好きなはず」


 舞の返答に莉子が付け足してくれたがあまり変わらない……


「もっと軽いもんは出てこないのか?」


「美佳にとってはおやつみたいなもんだよ?」


 あー、カレーは飲み物って言うような感じか……それでもあのスタイルなのか。やはりそれだけ運動してるって事だな。しかし頑張りすぎな気もするがな。


 いろいろ考えていると、何か食べにいくならその時に本人に聞いた方がいいのでは? と思った。その日の気分なんかで変わる事もあるだろう。

 その事を2人に言ってみると『確かにそうだね』と笑いだした。


 全く、無駄な時間だったな。

 とりあえず決まった事は学校が休みの日に美佳が部活休みだった時に遊園地に行く事だけだった。


 ……あれ? 雨降ってたらダメじゃね?


 2人に言うとその時は諦めてトレーニングジムだね! と言われてしまった。

 映画とかはダメなのか聞いてみたが美佳は映画館で観るよりレンタルが出た時にDVD等借りて家で筋トレしながら観るらしい。なんとも美佳らしくて納得するしかなかった。


 結局、美佳の部活休みの日次第だし考えてもこれ以上は出てこないだろうと俺達はもう考えるのを止めて3人でゲームでもやり始めた。

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