第45話 待ち合わせ
月曜日の朝、学校へと登校すると美佳が話しかけてきた。
「ダーリン♡ 私とのデート場所は決めてくれたのかな?」
……ダーリン? ヤバイ、なんか吐き気がしてきた。
「おい、その反応はなんだよ?」
「見ての通りだ」
「やれやれ、涼太ったらテレちゃって」
違う。何故そう捉えられた?
「まぁ、それはいいとしてちゃんと考えてくれたの?」
俺は昨日3人で話合った事を美佳に伝えた。
「確かに、いつ休みになるか分からないんだよね。キャプテンと監督がみんなの疲れ具合みて決めてるからな」
「なるほど、じゃあいつになるかも分からんな。その日に俺に予定がなければいいがな」
「えっ? 涼太はいつも暇だろ?」
俺にだって予定ぐらいはある……はずだ。肯定したらまたマネージャーに誘われるだろう。これはスルーしておこう。
「とりあえず監督に休みの日をいつにするか聞いてみてくれ」
「わかった。聞いておくよ」
朝のホームルームも始まる為、美佳は自分の席へと戻っていった。
その日の夜、美佳から電話が掛かってきた。
「もしもし、どうしたんだ?」
「休みの日が分かったから教えておこうと思ってね」
「そうか、それでいつなんだ?」
「今度の土曜日だよ。監督に休みいつか聞いたら驚かれてしまったよ」
美佳は笑いながら答えてくれた。
まぁ美佳程の練習好きが休みを気にするなんて驚かれて当然だ。
「そうか、今度の土曜は天気予報では晴れだったな。じゃあ遊園地でも行くか?」
「勿論行くよ! 久々だし絶叫系乗りまくろうぜ?」
「程々に頼むよ……」
「なんだ? 涼太は絶叫系ダメなのか?」
「ダメではないが連続となると流石にキツイ」
「仕方ないなぁ、手加減しといてやるよ」
本当だろうか? 美佳の手加減は信用出来ない。一応酔い止め飲んでた方がいいか。
「まぁ遊園地の場所は知らないから案内は頼むぞ」
「了解! それじゃまた学校でね」
美佳との電話が終わった時、部屋をトントンとノックをされた。
「お兄ちゃん、入ってもいい?」
「おう、いいぞ」
俺の返事を聞き舞が部屋に入ってきた。
「今、電話してる声聞こえたけど美佳から?」
「あぁ、部活の休みの日が決まったみたいで連絡してきたんだ」
「そうなんだ。いつだって?」
「今度の土曜日になったみたいだから遊園地に行く事になったぞ」
「えぇ〜いいなぁ。私も行きたかったよ。……あっ! お兄ちゃんじゃあ日曜日に私と遊園地行こうよ?」
「えー? 2日連続では行きたくない」
「もー美佳とは行けて私とは行けないって言うの?」
舞はほっぺたを膨らませながら答えた。
「行かないとは言ってない。せめてまた次の機会にしてくれ」
「う〜ん、仕方ないなぁ。約束だからね」
俺は舞とも遊園地に行く約束をしてしまった。
そして美佳との約束の土曜日になり待ち合わせ場所の駅にやって来た。
待ち合わせ時間は9時だ。今は8時50分でまだ美佳は来てないみたいだ。
まぁもうすぐ来るだろうと思い待っているのだが、近くの女性がこっちを見ている気がする。
俺はチラッとその女性を見てみたのだが見てるというより睨まれている感じだ。
何故だ? 俺はこの女性に何かしてしまったのだろうか?
女性はこっちに近づいてきた。
「おい、涼太!」
「えっ? 何故俺の名を? どちら様でしたっけ?」
「何を言ってるんだよ? 美佳だよ! 早く気付けよな」
「えぇーーー!?」
気付くはずがない。いつもの美佳は髪は動きやすいようにポニーテールにしてるし雰囲気も男性か? て感じだが、今目の前にいる美佳は白のワンピースに髪もおろして化粧もバッチリしていて何処かのお嬢様みたいな雰囲気だ。美佳だと言われてもまだ信じられないぐらいだ。
「えっ? まさかドッキリでこれから本物の美佳が現れるとか?」
「そんな訳あるか! どっからどう見ても本物だろ?」
「いや、別人にしか見えないから言ってるんだよ!」
「そうか! まぁ驚かそうと頑張ったかいはあったな。じゃあ早く行こう? 今日は楽しむぞー」
美佳は俺が驚いてるのに満足したみたいで俺の手を取り駅へと引っ張っていった。
俺はこの姿の美佳に手を繋がれて不覚にも一瞬ドキッとしてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます