White〜俺の周りがぶっ飛んでる気がするがおかしいのは俺なのか?

おぼろ

第1話 転校したが……

 俺、白谷涼太(しろやりょうた)は今日この桜ヶ丘女子高校に転校してきた。


「てか何で俺、女子高に転校してきてんだ? おかしいだろ? どう考えても……」


 1人屋上で考えていると屋上の扉が勢いよく開かれた。


「あ〜、お兄ちゃんこんな所にいたのね」


 そこに現れたのは義妹、白谷舞(しろやまい)だった。


「なぁ、舞……なんで俺、女子高に転校させられてんだ?」


 涼太の言葉に舞はキョトンとした。


「なんでって、一緒の高校の方がいいじゃない?」


 返事になってない。

 そもそも何故こんな状況になっているのかというとそれは3日前の出来事だった。



 俺は部屋でくつろいでゲームをしていた。突然ガチャと部屋の扉を開け母親の赤嶺恭子(あかみねきょうこ)が入ってきた。


「なんだよ。ノックぐらいしろよ」


 俺が文句を言うと母親は何もなかったかのように話し出した


「涼太〜、お母さん再婚する事にしたの」


 母親は物凄く軽いノリで凄い事をさらっと言い出した。

 俺の父親は俺が産まれてすぐ交通事故で亡くなっている。

 それ以来女手一つでここまで育ててくれていた。


「えっ? 再婚するの? まぁ……別に構わないけど相手の人どんな人?」


 俺はビックリしつつも母親が再婚する事には賛成しようと思った。


「えっとねー、それは会えばわかるわよ。とってもいい人よ」


 母親はテレながらそう言った。

 なんだろう……母親ののろけ話がとても気持ち悪い。そう思った矢先


「じゃあ涼太、そういう訳だから引越しの準備よ。明日には業者さんくるからね」


「はぁ? 明日って……嘘だろ? まだ俺相手の人知らないしそもそも急すぎるだろ? 俺、学校とかどうすんの? すぐ近くなのか?」


 俺はパニック状態になった。


「サプライズ成功ね。ふふっ大丈夫、転校の手続きとか全部すませてるから」


 なんて勝手な事を。そもそもこんな大事な事をサプライズするな。

 言いたい事は山程あったが母親に無理矢理引越しの準備させられ再婚相手の所に引っ越す事になった。


「初めまして涼太君。私は白谷隼人(しろやはやと)今日から君のお父さんだ。で、こちらは娘の舞で涼太君とは同い年だけど舞の方が誕生日遅いから君の妹になるね。仲良くしてやってくれ」


「わ〜お兄ちゃんか。私は舞です。よろしくね」


 着くなりいきなり挨拶された。


「えっと……涼太です。あまりに急だったんでビックリしてますがよろしくお願いします」


「もう涼太ったら緊張してるー。舞ちゃん今日からお母さんになる恭子です。よろしくね」


 おい、母親よ、そっちにもサプライズしてたのかよと心の中でツッコミをいれてしまった。


「いやー今日から賑やかになるなぁ」

「よかったね。お父さん」


 お義父さんと義妹は物凄い歓迎モードだ。

 緊張してるのは俺だけなのか? しかし2人共悪い感じはしない。

 

 まぁ急だったがなんとかなるだろ。


 こうして俺は赤嶺涼太から白谷涼太となった。そして現在……


「いや、だからなんで男の俺が女子高に転校できてんだよ。お義父さんから学校は舞と同じだから一緒に行けばいいとしか聞いてなかったがおかしいだろ?」


 俺は舞に疑問をぶつけた。


「それなんだけど、この学校共学にしようって話が出ててお兄ちゃんはお試しみたいな感じじゃないかな?」


 お試しで入れるもんなのか?


 なぜだ? 俺の周りはみんなぶっとんでるのか? それとも俺がおかしいのか?


「もうーお兄ちゃん考えても仕方ないでしょ。ほらっ行くよ」


 そう言うと舞は俺の手を掴み歩きだした。


「あっお兄ちゃんとは同じクラスだから学校でもよろしくね」


 舞は笑顔でそう言った。

 その笑顔が眩しかった。

 確かに舞には悪気があるわけでもないただ純粋に喜んでるのだろう。


「はぁ〜なんとかなる……のか?」


 こうして俺の波乱万丈な生活が始まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る