第29話 当たり前なんだよ
「じゃあ投げる順番どうする?」
俺達4人はボーリング場に着いたのだが受付前に順番決めとかないとな。
「じゃあお兄ちゃん最初ね♪」
「何で俺なんだ? まぁ別に構わないけど。じゃあ後はどうする?」
「沙耶香さん初めてだから最後に投げてもらって私と莉子でジャンケンするよ」
「そうか。沙耶香もそれで大丈夫か?」
「あぁ、その方が助かるよ」
ジャンケンの結果2番目が莉子で3番目が舞になった。
受付を済ませてシューズをレンタルしてみんなで投げる球を決めてるのだが……莉子が選んでるのは子供用の軽いやつだ。まぁ悪いわけではないからいいか。舞はいろんな球に指を入れたりして確認している。もしかして上級者か? 沙耶香はやはりよくわからないみたいだ。
「とりあえず投げやすそうな重さのを選んだらいい。もし重かったり軽かったりしたらその時変えてもいいからそんな悩まなくてもいいぞ?」
「そうなのか? わかった。とりあえずこれにしてみるよ」
俺もとりあえず球を決めて俺達が投げるレーンの所まで戻ってきた。
みんな球が決まり戻ってきたのでボーリング開始だ。まずは俺からなのだがスコアを表示する画面を見てみると俺の名前の所は『お兄♡』になっている。
……これは何だ? 舞達のはちゃんと自分の名前にしてある。舞に名前記入を任したのが間違いだった。なんか恥ずかしい。
まぁいい、とりあえず投げるか。
1投目は6本、2投目は2本の計8本だ。まぁ久しぶりだしこんなもんだろ。
次は莉子だ。子供用の軽い球を両手投げしてる。それそんな重くないだろ? そして投げられた球は勢いがなくなんとかレーンを転がっていってる。ガターに落ちそうになるもギリギリで耐えて何とか1本を倒した。2投目はガターだ。
次は舞だ。何やらオーラが見える気がする。この雰囲気は只者ではないな。
しかし投げられた球は投げた直後にはガターに入ってしまった。凄いのは雰囲気だけのようだ。ついに舞の弱点を見つけたかもしれない。2投目は2本倒した。
次は沙耶香だ。みんなの投げ方を見よう見まねで球を投げた。球は真っ直ぐいかず途中でガターに入ってしまった。2投目はなんとか転がっていって1本倒れた。
そしてゲームが進み第1ゲームが終わったのだが俺が132、莉子が22、舞が26、沙耶香が16だ。
酷い結果だがある意味いい勝負だ。いや、結果なんてどうでもいい。楽しめればそれでいいだろう。
「お兄ちゃん、第2ゲームは1番スコア低かった人が1番スコア高い人にジュース奢るのはどう?」
……よく勝負しようと思ったな。
「お兄ちゃんはハンデでマイナス100だからね♪」
「まぁいいけど、そんな勝負しかけて大丈夫か?」
「あー! お兄ちゃん余裕だね。最後にコツ掴んだから次は勝つからね」
舞は結構負けず嫌いなんだな。
そして第2ゲームが終わり結果は俺が143、莉子が152、舞が223、沙耶香が182だ。
……ハンデ無くても負けた。ってかみんな急成長しすぎじゃない? 急にストライクやスペアを連続でとったりと第1ゲームとは全然違う。特に舞だ。やはり舞に弱点などありはしないのか?
「お兄ちゃんマイナス100だから43だね♪」
「いや、ハンデ無くても負けてるから……ってかみんなどうした? 第2ゲームは別人みたいだったぞ?」
「みんなコツ掴めたんだよ♪」
マジか? そんな変わるもんなのか? まぁ負けたからには仕方ない。
俺は舞にジュースを買ってやった。
負けたついでに2人にもジュースを買った。ルールとは違うけど、俺はまさか負けるとは思っていなかったので勝った2人にも賞賛の意味でだ。
「ところで沙耶香はボーリング初めてだったがどうだった?」
「そうだな。初めは難しいと思ったけどコツを掴めたら面白くなってきたな」
「そうか、次は美佳もいる時にでもまた来ようぜ? あいつ勝負事好きそうだしな」
「そうだな! またみんなで来よう。しかし3人共、ありがとうな。ボーリングだけじゃなくお泊まりとか、こんなに楽しかったのは初めてだ。美佳にもお礼を言っておいてくれないか?」
「いや、お礼なんていらないだろ? 友達なんだから当たり前なんだよ」
「そっ、そうか。……やはり友達っていいものだな」
舞と莉子も頷いている。そしてまた遊ぼうねと約束をしていた。
それからもう夕方になったので今日はもうこれで解散する事にした。
しかし、なんか休みの方が疲れた気がするよ。
そしてその夜、寝る時に舞が俺のベッドに忍び込んできた。俺は疲れていて早く寝たかったので気づかないふりをしたのだが、まさか毎日一緒に寝る気なのだろうか?
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