第39話 どうなってやがるんだ?

「そういや、莉子って人見知りだったんだな?」


 家に向かう途中に俺は莉子には忘れてと言われたが、やはり気になって本人に聞いてみた。


「忘れてって言ったのに……」


「いや、悪い。俺や沙耶香と会ったばかりの時とかそんな感じはしなかったからあまりに気になってな」


「まぁ……涼太と沙耶香さんの時は舞と美佳が一緒にいたからね。私1人だと話しかけに行ったり出来ないよ」


 なるほど……妙に納得できるな。


「あと、男嫌いなんだけど涼太は大丈夫だった」


「えっ? どうして?」


「舞からお兄ちゃんが出来たって聞いてたからね。嬉しそうに話してるの聞いてたら悪い人ではないんだなって思ってたからかな? 実際に会ってみても大丈夫だった」


 なるほどね。莉子にも悩みみたいなのがあったのか。まだ完全に克服できてるわけではなさそうだけど少しは前に進めてるみたいだからよかった。



 そうこう話してる間に家に帰り着いた。


「ただいま」


「おじゃまします」


 俺達の声が聞こえて舞がリビングの方から出て来た。


「お兄ちゃんおかえりなさい。あと莉子いらっしゃい♪」


「結局、舞の方が先に帰ってしまってたな」


「私も驚いたよ。莉子とデートしてるって聞いた時は」


「もしかして美佳から聞いたのか?」


「そうだよ? お兄ちゃんに確認した後すぐ私に電話かかってきたの」


 なんか美佳が近所の話好きのおばちゃんに思えてきた。


「どこから情報仕入れてるんだろうね?」


 舞も知らないのか? やはりなかなか侮れないみたいだな。


「じゃあ今日、莉子が泊まりにきてるの美佳は知ってるのか?」


「流石に知らないと思うよ? 私も言ってないし、まだ部活終わるまで時間あるから」


「そうか? 美佳ならそのどこから仕入れているか分からない情報で知ってるかもな?」


「あははっ、まさかだよ〜」


 舞は笑いだした。するとその直後莉子の謎センサーが反応した。


「また美佳の気配がする」


 莉子がそう言うので俺はスマホを手に取った。すると美佳から電話がかかってきた。

 マジでそれどうなってんの?

 とりあえず電話に出てみる。


「もしもし。どうしたんだ?」


「あっ! 涼太、今私の話してなかったか?」


 美佳までどうなってやがるんだ? もしかして盗聴機でもつけられてんのか?


「いや、まぁ美佳の情報はどこから仕入れてるんだろうな? とは話てたけど何で分かったんだ?」


「いや、今くしゃみが出たからそうかなぁって」


 くしゃみなんていつでもするだろ! 何でそこから俺達が話してるって思えるんだ?


「というかまだ部活なんじゃないのか?」


「今は休憩中だよ。もう少しで終わるけど」


「そうか。じゃあ頑張ってくれ」


「いやいや、待った! まだ莉子とのデートの事聞いてないぞ?」


「だからクレープ食べてたぐらいだって」


「えっ? 莉子の家に行ったんでしょ?」


 美佳に情報渡してる奴は俺等を尾行でもしてんのか?


「何で知ってる?」


「ふっふっふ、そんな面白そうな事、私が知らないとでも?」


「知ってる方がおかしいんだよ! いいから部活に集中しろ」


「えー? まぁ休憩もう終わるしまた後で話聞かせてもらうぞ?」


 美佳はそう言うと電話を切った。俺は面倒なのでスマホの電源をきった。これで俺にはかかってこないだろう。


「美佳の情報網どうなってんだ?」


 俺は思わず舞と莉子に聞いてみるが2人も不思議そうだ。本当に2人は知らないんだろう。これからは周りに気をつけようと決心した。

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