第38話 不審者?

「すぐ戻るから待ってて」


 莉子の家へと着いて莉子は泊まる為に必要な物を取りに家へと入っていった。

 まぁ男の俺が家の中まで入っていったらいろいろとややこしくなるだろうからおとなしくここで待ってよう。


 待つ事数分後、家の中からこっちを誰か覗いているのに気付いた。


「おかあさ〜ん、なんか不審者がいるよー」


 大きな声なのでこっちにも聞こえた。どうやら莉子の妹みたいだ。妹がいるとしか聞いてなかったが、ちらっと見た感じ小学生の低学年ぐらいだろうか? 思っていたより歳が離れてるみたいだな。なるほど、これでは莉子は甘える事なんて出来ないわけだ。

 しかし、どうしよう? 不審者扱いされ、きっと莉子の母親だろう。妹と一緒に隠れてこっちを見ている。

 すると莉子が現れ母親達になにやら説明をしているようだ。助かった。警察呼ばれたらどうしようかと思ったよ。

 その後すぐ莉子が外に出てきた。


「ごめん、準備もう少しかかるから中で待ってて」


「まぁ俺はどっちでも構わないがちゃんと説明してくれたのか? 妹に不審者って言われてしまったぞ?」


「うん、大丈夫。ちゃんと舞のお兄ちゃんって説明したから」


 それならと俺は莉子の家に上がって待つ事にした。莉子のお母さんが冷たい麦茶を出してくれた。


「ありがとうございます」


「いえいえ、こちらこそ何もなくてごめんなさいね。それにしても舞ちゃんのお兄さんなんだって? お兄さんがいるなんて知らなかったわね」


 莉子はその辺の説明はしなかったみたいだな。


「その、最近親同士が再婚しまして。それで舞とは義理の兄妹になったんです。あと女子高なのにそこに転校させられ莉子さんとは同じクラスになってます」


「あら、そうだったのね。あの子、何も話してくれないんだから」


 莉子はあまり家族と話したりしてないのだろうか? まぁ舞が何でも話過ぎというのもあるが……まぁ莉子は反抗期なのかもな。

 それにしても女子高に転校なのにその辺は気にならないんだね。


 莉子の妹は壁に隠れてこっちを見ていた。俺は笑顔で手を振ってみたら逃げられた。


「ごめんなさいね。姉妹揃って人見知りなんだから」


 人見知りか、なら仕方ない……ん? 姉妹揃って?


「あの、莉子さんも人見知りなんですか?」


「えぇ、莉子の方が酷いかもしれないわね」


 んー? とてもそうは思えないぞ? もしかしたらもう克服してるのかもな。


「それに莉子は男嫌いもあって大変なのよ。だから今とても驚いてるのよ? 舞ちゃんのお兄さんってのもあるかもしれないけどあの子が男の人に懐くなんて初めて見たわね」


 へー? 転校してきて初めて会った時からそんな感じは全然しなかったな。


「もーお母さんあまりベラベラと話さないで。恥ずかしいから」


 莉子が用意を終えて戻ってきた。


「涼太も今聞いた事は忘れて」


 えー? 莉子の新たな一面が見ることが出来て面白かったのに忘れる事は出来ないだろうな。


「じゃあ準備終わったから早く行こ?」


「あぁ、分かった。あっ! 麦茶ありがとうございました。お邪魔しました」


「いえいえ、また遊びに来てね。それと莉子の事よろしくお願いしますね」


 莉子の母親に挨拶を終え家を後にして莉子と一緒に俺の家へと向かった。

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