第14話 ……デート?

「それで行きたい所とかあるのか?」


 舞と放課後デートをする事になった俺は舞に聞いてみた。


「う〜ん……あっ! ハワイに行ってみたい♪」


 ……ハワイ? いや、流石にそれはないだろう。きっと店の名前がハワイなのだろう。


「あっ! お兄ちゃんごめんなさい。私、パスポート持ってなかった……」


 海外のハワイだった。パスポート持ってたら行く気だったのか? そもそもそんなお金持ってないし行けないだろ……ってか新婚旅行とかで行く場所じゃないの?


「う〜ん、そうなると国内しか行けないね〜」


「待て! どこまで行く気だ? 旅行に行きたいのか?」


「えっ? デートだよ?」


「なら、近場にあるとこじゃないのか? そもそも遠くに行くとしても俺達は学校帰りで何の準備もしていないしお金もそんなに持ってないだろ?」


「本当だ〜。危うく野宿する所だったね」


 だから野宿の前にそんな遠くまで行けないって。

 舞は頭は良いみたいだが時々何を考えているのか分からなくなる。

 とはいえ俺もデートなどした事がない。もしかしたらデートとは遠くに旅行に行く事をいうのかもしれない。

 俺もよく分からなくなった。デートを甘くみてたよ。


「お兄ちゃんは行きたい所とかないの?」


「俺はこっちに何があるのかも分からないからな。この前のカラオケ屋ぐらいしか分からない。だから本屋とか映画が観れるような所を知っておきたいかな」


「本屋さんならすぐそこにあるよ。映画館は少し遠くなるかな。電車使わないと行けなくて大きな複合商業施設があるんだけどそこで観れるよ」


「そうか。今から行けそうか? 下見だけでもしときたいな」


「うん。全然大丈夫だよ♪ じゃあ出発だね」


 最初はどうなるかと思ったがようやく行き先が決まった。本屋は本当にすぐ近くにありついでに前を通り教えてもらった。そして駅に向かう途中


「あっ! そうだ。デートっぽく手を繋ごうよ♪」


「えっ? 流石に恥ずかしくないか?」


「良いじゃん♪ 繋ごうよ〜」


 舞はそう言うと俺の手を握った。

 恥ずかしい……義妹とはいえ女の子と手を繋ぐなんて初めてだ。ドキドキも収まらない。舞は平気なのだろうか?


「あはは、やっぱ少し恥ずかしいね」


「なら辞めとくか?」


「ううん、このままがいい」


 舞は照れながらもそう答えた。

 舞でも照れる事はあるんだな。


 そして駅に着き切符を購入して電車に乗った。目的の場所は5駅目で降りて駅からすぐらしい。遠過ぎず近過ぎずたまに遊びに行くには丁度いい所かもしれない。


 そして降りる駅に到着し電車を降りて駅を出た。歩く事数分で目的の複合商業施設が見えた。


「おぉ、思ってたより大きいな」


「ここは何でも揃ってるから買い物とかでもよく来るんだよ♪」


 なるほど。しかしそれなら初めからデートの場所はここでよかったのでは?


「じゃあ早速中を見て回ろうよ」


「あぁ何があるか楽しみだ」


 そして舞に繋いだ手を引っ張られながら商業施設の中に入っていった。

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