第13話 これはハマる

 次の日の昼休み、俺達はまた学食へとやってきた。

 今日は俺と舞で席を取っておいてくれと頼まれたのでお金を美佳達へ渡して地獄ラーメンをと頼んだ。1番下は産まれたての小鬼レベルだそうだ。

 ネーミングが気になる……誰が考えてるんだろうな。


「お兄ちゃん、早く行かないと席なくなっちゃうよ」


「あぁ、悪い。じゃあ行こうか」


 考え込んでいたら舞に急かされてしまった。確かに席を取るのが優先だろう。


「しかしこれは凄いな……」


 空いてる席がどんどんなくなっていく。俺も空いてる席に向かうが先に取られてしまう。どうしようかと思っていると舞の声が聞こえた。


「お兄ちゃん〜、こっち取れたよ〜」


 よくやったと思いながら舞のもとへ向かった。


「舞、よく取れたな。俺なんか全然ダメだったよ」


「初めてだと難しいかも。慣れたらなんとかなるよ♪」


「慣れ……か。確かにもうどうしたらいいのか分かんなくなったよ」


 舞のおかげで席も無事取れたので後は美佳達を待つだけだ。



「いただきます」×5


 暫くしてみんなの分が出来上がり食べ始める。

 俺が頼んだ地獄ラーメンの産まれたての小鬼レベルは見た目では昨日舞が食べていた閻魔レベルとそう変わりなかった。

 とりあえずスープを一口飲んでみた。

 めっちゃ美味い! それに辛さも俺にはピッタリだ。

 次に麺をすする。

 ヤバイ! 止まらなくなりそうだ。


「お兄ちゃん、美味しい?」


「あぁ、これはハマるな」


「ならよかった♪」


 舞は俺が地獄ラーメンにハマった事が嬉しそうだった。


 舞と美佳と莉子は今日はピザを食べている。昨日、俺と沙耶香が半分ずつ交換してるのを見て食べたくなったみたいで3人で3種類頼んでそれぞれ交換しあっている。


 沙耶香は蟹あんかけチャーハンを食べている。それも美味そうだ。やはり評判が高いだけの事はあってどれも美味しそうに見える。しかも学食だから安い。目的が終わりまた弁当に戻ってもたまには来たいなと思ってしまった。


 そして俺はまた地獄ラーメンを食べだした。やはり美味い。スープまで全部飲み干してしまった。


「わ〜お兄ちゃん全部飲んじゃったね」


「美味すぎて止まらなかったよ」


「じゃあ次はレベル上げてみる?」


「いや、俺にはこのレベルが丁度いいみたいだ」


「そっか〜それならそのレベルがいいね♪」



 そしてみんな食べ終わり学食を出る事にした。


「さぁー後は午後の授業を耐えれば休みだな」


 美佳が元気の出る事を言い出した。

 そう、今日は金曜日。後少しでやっと転校して来てからの初めての休みだ。


 何をしようかな? そういやみんなはいつも休みは何してるのだろう?


「みんなはいつも休みは何してるんだ?」


 俺が質問するとまず美佳が答えた。


「私はだいたい部活だよ。疲れて他に何もする気でなくなる」


 まぁ美佳はそうだろうな。強豪校みたいだし休みの日でも大変だな。

 次に莉子が答える。


「私は1週間分撮り溜めたアニメやドラマ、お笑い等を見て過ごす」


 なるほど。莉子らしい過ごし方だ。

 次に沙耶香が答えた。


「私は本を読んだりしてるかな」


 本か。見た目からはイメージ出来ないが仲良くなり沙耶香の事が分かればそれも納得できる。

 次に舞が答えた。


「私はその日の気分次第だよ〜♪」


 舞らしい返答だが結局何をしてるんだろな?


「お兄ちゃんはいつも休み何してたの?」


「俺はゲームしたり漫画読んだりだな」


「えっちなやつ?」


「ちっ……違うぞ?」


 舞のいきなりの質問にビックリして動揺してしまった。


「おー何だ? 涼太、怪しいぞ?」


「まぁ涼太も男だ。仕方ない」


「いや、本当に違うからな?」


 俺が否定しても信じてくれなかった。まぁ俺も男だ。多少は……ね。


 そうして昼休みも終わり午後の授業を受ける。あと少しで休みだと思うと

頑張れそうだ。



「やっと終わった〜」


 放課後になり解放感が凄い。

 転校した日に比べたら少しは慣れてきたとはいえやはり疲れは溜まる。

 未だに休み時間になると俺を見に来る人もいるからだ。

 そして帰り支度を済ませて舞の姿を探した。

 どうやら美佳達と話しているようだ。

 数分後、話し終えたみたいで舞が戻ってきた。


「お兄ちゃん、帰りにデートしに行こうよ♪」


「……えっ? デート?」


 デートと言う言葉に驚きを隠せなかった。なにしろ今までデートとかした事がなかったからだ。しかし相手は義妹だ。デートと呼べるのだろうか?


「うん。今ね、莉子に占いしてもらったらお兄ちゃんとデートすると良いことがあるって」


 ……なるほど。アイツ等の仕業か。

 楽しんでるだけだろうな。


「ちなみにどんな占いしてもらったんだ?」


「えっとねー、よく分からないんだけど鉛筆転がしてたよ」


 ……占いですらなかった。せめてもっと占いっぽくしろよ。


「お2人さん、デート楽しんでね〜」


「いい報告を待ってるぞ」


 美佳と莉子はそう言うと部活へと行ってしまった。


「ほらっ、早くデート行こ?」


 もう行く事が決定されていてすでに舞はワクワクしているみたいだ。

 ……仕方ない。行くか。


 こうして俺は義妹と放課後デートをする事になった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る