第12話 初めての学食

 次の日の昼休みに俺達は早速学食へとやってきた。

 まずは食券を買わないといけないみたいだがすでに長蛇の列になっている。


「いや〜わかってはいたが凄い混んでるな」


「それはそうだよ〜。ここの学食は凄い評判よくてその為にこの学校に入ってくる子もいるぐらいだよ」


 そんなに凄いのか……それは楽しみだな。


「じゃあ私達は席確保しに行くから食券よろしくね。私は気まぐれ定食で」


「私はパンケーキ」


 美佳と莉子はそう言うと舞にお金を渡し席を取りに行った。2人は昨日おすすめしてた物を食べるみたいだ。


「舞と沙耶香も食べるの決まってるのか?」


「私は地獄ラーメンの閻魔レベルにするよ♪」


 舞はやはり地獄ラーメンにするみたいだ。気になってはいるが辛さが全然予想できない為今回はやめておこう。

 

「私はピザにしようと思っているがマルゲリータにするかクアトロフォルマッジにするか悩んでいる」


 沙耶香の方も昨日おすすめしてたピザにするみたいだが種類で悩んでるみたいだ。


 「ピザって石窯で焼いてるんだっけ? しかし本格的だよな。わざわざ石窯作ったのか?」


「そうだな。なんでも校長が食べたいから作ったって話らしいぞ」


 校長やりたい放題だな……ってか校長ここで食べるの?

 ピザの話をしていると食べたくなってきた。


 「俺もなんかピザ食べたくなってきたな。沙耶香、その二つ別々に頼んで半分ずつ交換しないか?」


「いいのか? それは助かるよ」


「えーいいなぁ……私もやっぱピザにしようかな?」


 沙耶香は俺の提案に乗ってくれた。

 舞はその話を聞いて考え直すみたいだ。しかし変えられると地獄ラーメンを見られなくなる。


「一口やるから俺に地獄ラーメンとやらを見せてくれ」


「本当? やった〜♪ じゃあ地獄ラーメンにしとくね」


 よし! これで地獄ラーメンを見れる。しかし気になる事はもう一つある。


「そういや地獄って言うのに閻魔のが1番辛いんじゃないんだな?」


 俺が質問すると沙耶香が答えてくれた。


「あぁ、地獄ラーメンが初めて出た時は閻魔レベルが1番辛かったみたいだがもっと辛くしてくれと要望が多くて上が出来たみたいだ」


「なるほど。そういう事か。ちなみに今1番辛いのは何レベルなんだ?」


「今は神の領域レベルだな。なんでも挑戦した生徒は午後の授業に出れなかったみたいだぞ?」


 ……何で学食でそんな物作るんだ?

 いくら要望が多かったとはいえやり過ぎだろ。


「あとそれを完食出来たのは校長だけみたいだぞ」


 ……校長すげーな。



 ようやく俺達は食券を買うことが出来た。後は商業施設にあるフードコートみたいなシステムだったので食券を渡し出来るのを待つだけだ。


 数分後、みんなの分が出来上がりようやく食べられる。

 食べる前に俺と沙耶香はピザを半分ずつ交換した。

 美佳の気まぐれ定食は生姜焼きだった。莉子のパンケーキも美味そうだった。

 そして舞の地獄ラーメン……めっちゃ赤い。凄く辛そうだが舞は美味しそうに食べている。

 舞の食べてる姿を見ていたら舞が俺の視線に気づいた。


「お兄ちゃんも食べてみる? はい、あーん♪」


 そう言うと舞は箸で麺をすくい上げ俺が食べるのを待った。


 えっ? 麺類でそれをやる?

 俺が戸惑っていると


「早く食べないと麺のびちゃうよ」


 ……仕方ない。食べるか。

 俺は決心して舞がすくい上げた麺に顔を近づけて麺を口の中に入れてすすった。

 辛い……だが味が深く美味い。


「どうかな?」


「辛いが確かに美味い。でも俺はこのレベルだと完食は出来ないかも」


「美味しいよね〜♪ お兄ちゃん食べる時レベル下げれば大丈夫だよ」


「次はそうしてみようかな。んで舞はどっちのピザがいい?」


「どっちも美味しそう。悩むね〜」


「んじゃどっちも一口食べていいぞ」


「やったー♪」


 そう言うと舞は口を開けて待っている。今度は俺に食べさせて欲しいのだろう。

 やれやれと思いながらも食べさせてあげる。


「ほら、あーん」


 2種類のピザを食べさせてあげた。


「わー、どっちも美味しいね♪」


 舞は満足したみたいだ。そしてまた地獄ラーメンを食べ始めた。


「しかし本当に涼太と舞は仲がいいな。見ていて兄妹というより恋人同士みたいだ」


「なっ……」


 俺は沙耶香の言葉にびっくりし顔が赤くなる。

 舞の方はニコニコして落ち着いている。


「えへへ、いいでしょ。私一人っ子だったしお兄ちゃんが出来てとても嬉しいんだよ」


 どうやら恋人という言葉はスルーみたいだ。


「おやおや〜涼太君の方は顔が赤くなってますぜ」


 食べ終わった美佳がからかってくる。


「ラーメンの辛さがまだ残ってるんだよ」


 とりあえず誤魔化しておこう。

 そして辺りを見渡すとこっちを見ている人も多い。やはり注目されている。これで少しでも沙耶香が怖くないと分かってもらえるかもしれない。


 そして全員が食べ終わって学食を出る事にした。


「やっぱ注目はされてたからこれを続けてれば沙耶香も怖くないって分かってもらえそうだな」


「上手くいくといいよね♪」


「あぁ、みんなありがとう。私の方も他に何か出来る事あるか考えてみるよ」


「あぁ、でも無理するなよ」


 そして少し雑談をして昼休みも終わる為沙耶香と別れ俺達は教室へと戻る。

 明日は地獄ラーメンの1番下のレベルを食べてみようかな? と思いながら午後の授業を受けるのだった。

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