第25話 何の意味がある?

「くそっ! なんて奴等だ」


 俺達は寝るまでの間、トランプの7並べをする事になって俺がダイヤの7を場に出した為、順番は俺からなのだが俺は6と8を持っていない。その為パスをするしかないのだが、誰も6と8を出さずにパスをする。もう3周した。

 つまり俺はパスを使い切り自動的に負けとなった。


「これじゃあゲームにならないだろぉがぁぁぁ!」


 もう夜中なので親や近所迷惑にならない程度に叫んだ。

 そして俺は全部のカードを場に出した。


「あっ! お兄ちゃん本当に持ってなかったんだ? 何かの戦略かと思ったよ」


 舞の言葉に3人が頷く。この4人は最初の俺がパスをした為、何かあるのでは? と思いみんなパスをしたみたいだ。


「そんなわけないだろ? ゲームの中盤ぐらいからなら駆け引きも大事だがこんな初っ端から仕掛けないって」


「そっか! ごめんね」


 そして俺が負け抜けしたので4人で続きをしている。みんなパスを使い切ったので後は出せないと負けていくだけだ。駆け引きも何もない7並べを見ているのはとてもつまらなかった。


「よっしゃ! 勝ったぁ」


 勝ったのは美佳だがそれで勝てて嬉しいか?


「しかし7並べってこんなつまらなかったっけ?」


 美佳の言葉に3人は首を傾げている。……本当に原因わからないのか?


 7並べがつまらなかったからと次は神経衰弱をしたのだが舞が無双状態だ。ぶっ飛んだ所しか見てないから忘れていたが舞は頭が良いらしい。一度めくったカードを完全に覚えてミスがない。完全記憶能力を持っているのだろうか?


 そして神経衰弱は舞が圧倒的な差で勝利した。もう舞と神経衰弱はやりたくない……



「おっ! そろそろ寝ないとヤバいな」


 美佳がそう言ったので時計を見てみるともう3時になろうとしていた。


「それじゃあ寝るか。舞、布団はどこにあるんだ?」


「私の部屋に出して置いてるよ♪」


 なら寝るのはそっちの部屋でよくない? と言ってみたのだがスルーされて結局布団を取りに行く事になった。


 布団も敷き終わり寝る準備は万端なのだが問題はただ一つ。本当に舞と沙耶香は俺の横で寝る気なのだが俺のベッドはシングルベッドなので広くはない。2人はいけたのだが3人は無理じゃないか?


 ベッドは壁際に置いてあって少し隙間を空けてあるがそっち側は落ちる心配はないだろう。だがもう片方はサイドボードもない為、落ちるかもしれない。……大丈夫なのか?


「よし、じゃあ私が奥に行こう」


 俺は心配してるのだがそんな事は関係ないと言わんばかりにまず沙耶香がベッドの壁側に壁に背を向けるように左向きに横になった。


「じゃあお兄ちゃん真ん中に仰向けに寝てね」


 俺は舞に言われるがままにベッドの真ん中で仰向けになった。


「じゃあ私も入るね♪」


 そして舞がベッドに右向きになるよに入ってきて横になった。

 ギリギリだがなんとか入れた。


「おー、涼太羨ましいぞ。可愛い子2人に挟まれてよかったな」


「写メ撮ってもいい?」


 美佳と莉子がこの状態を揶揄ってきた。


「ダメに決まってる。なんなら代わってやろうか?」


 だが2人は遠慮しとくと断ってきた。


「もー! お兄ちゃん真ん中じゃないと意味ないでしょ?」


 舞がほっぺたを膨らませている。

 しかしこれに何の意味がある?


「意味は分からないが……舞、ベッドから落ちても知らんぞ?」


「じゃあお兄ちゃんにしがみついておくね♪」


 舞が俺の腕に抱きついてきた。


「涼太、もっとこっちに寄っても大丈夫だぞ?」


 沙耶香も俺の腕に抱きついてきてそのまま少し引き寄せられた。そのおかげで舞の方に少しだが余裕ができたみたいだ。


 しかしこの状態はかなりヤバイ。

 2人が俺の両腕に抱きついている為、2人の胸が当たっている。今日は両腕に神経を集中させてしまう。


「じゃあ電気消すぞ?」


 美佳と莉子はこの状態を見て笑っていたが満足したのだろう。2人は布団に入り、そして電気が消された。


 この状態で寝れるのか? ……しかし俺達がベッドじゃなく布団で寝ればよかったんじゃないの? と思ったのだがもう遅い。舞と沙耶香はもう眠りについていた。


 よく寝れるな……というか眠りに入るの早くね?

 仕方ない。俺も心を無にして寝よう。俺は目を閉じたのだがより鋭く両腕に神経を集中させてしまった。


 暫くの間、葛藤していたのだが遅くまで起きていたおかげで急に眠気が襲ってきて俺はそのまま寝る事が出来た。

 

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