第10話 初めての仲間?

「行ってきます」×2


 朝になり身支度を済ませた俺と舞は学校へ行くため家を出た。


「お兄ちゃん、沙耶香さん大丈夫かな?」


「ん? まぁ俺達と話す時みたいな感じでいけば大丈夫とは思うけどな」


 俺達が沙耶香の事を話ながら登校していたら途中で沙耶香の姿を見つけた。

 

「あっ! 沙耶香さんだ」


 舞も気づいて声をだした。

 すると声が聞こえたのか沙耶香はこちらを振り向いた。向こうも気づいたようでこちらに近寄ってくる。


「おはよう、2人共」


「あぁ、おはよう」


「沙耶香さんおはようございます」


 朝の挨拶をして3人で学校に向かう。

 俺達に会ったからだろうか?

 沙耶香からはまたも威圧的なオーラは感じなかった。


「どうだ? クラスの人に話しかけれそうか?」


「頑張ってみようとは思うのだが、やはり緊張してしまってな。怖い雰囲気が出てしまってたみたいだ」


「そうか。今はそんな感じないんだけどな。まぁ焦っても仕方ないし、とりあえず先に落ち着けるように努力みるか?」


「2人の姿を見てホッとしたからな。しかしやはりその方がいいのかもしれないな」


「沙耶香さん、頑張りましょうね」


 クラスメイトに話しかけるのはとりあえず先延ばしにする事になった。

 ここで失敗して悪いイメージが付くよりかはいいだろう。


「後はこの見た目とかも変えた方がいいのだろうか?」


「えー、沙耶香さんそのままで十分可愛いですよ」


 沙耶香の質問に舞が答えた。しかし今の質問の答えにはなってないだろう。


「落ち着いて見えるようにするって事か? そういやいつからそんな派手な格好になったんだ?」


「これはだな……中学の時も周りに話しかける事が出来なくてな、思い切って高校に入る時にだな」


 なるほど。高校デビュー失敗ってやつか。しかしそんな事は関係ない。


「俺は沙耶香がそれを気に入ってるなら変える必要はないと思うよ。今の姿に無理してるってなら変えた方がいいけど」


「そうか? 実は前から憧れててな。結構気に入ってはいるんだ。前からどうしようか迷ってたけどこのまま頑張ってみるよ」


「私もそのままで大丈夫だと思います。とても沙耶香さんに似合ってますし」


 舞が褒める度、沙耶香の顔は真っ赤になる。

 そういえば今思うと沙耶香って照れ屋だったり人付き合いが苦手なだけで

まともなんじゃないか? こっちに来て初めてこっち側の仲間を見つけた気がする。一つ確認してみるか。


「そういえば沙耶香は今年の体育祭の色分けは知ってるか?」


「あぁ、勿論だ。」


「何か思わなかったか?」


「そうだな……」


 おっ!この反応はいけそうだ。


「私の投票した無色がなかったのは残念だ」


「えっ?」


 結果、期待はずれだった。しかも色分けの投票なのに無色を選んでいる。

 もう色ないじゃん……何故それを選ぶんだ? やはりこの学校の人だった。


「どうしたんだ?」


「いや……なんでもない。気にしないでくれ」


 沙耶香の頭の上には?マークが出ている。

 チームの色と聞いて舞が質問をした。


「沙耶香さんは何色のチームになったんですか?」


「私は抹茶だったよ」


「わー、私と同じです。頑張りましょうね」


「そうなのか? よろしくな。涼太は何色だ?」


「……俺は白でチームというか俺1人だ」


「どういうことだ?」


 また沙耶香の頭の上に?マークが出た。説明する気力のない俺の代わりに舞が説明してくれた。


「なるほど。涼太、負けないからな」


 沙耶香も俺が勝てると思っているのか? やはりぶっ飛んでいた。

 この学校に通っていたら俺もいつかそう思えるようになるのだろうか?

 ……考えたくもないな。



そうして学校へと着き沙耶香とは別れて教室へと向かう俺達。

こうしてまた1日が始まるのであった。

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