第22話 違うのか?

「それで? 何して遊ぶんだ?」


 俺は寝かしてくれない4人に聞いてみた。


「はい!」


 美佳が勢いよく手を挙げた。


「よし、美佳何したいんだ?」


「筋トレやろーぜ?」


 ……何でだよ? 泊まりにきてやる事なのか? それに風呂入った後に汗かきたくないわ。


「却下だ!」


「えーっ?」


 美佳は残念そうだ。そんなに筋トレしたいのなら1人でやっても構わないのだが、それでは何しに来てるのか分からなくなるだろ?

 次に莉子が手を挙げた。


「じゃあ、莉子は何したい?」


「自主映画撮るのはどう?」


「えっ? どうやって撮るんだ?」


「まだ何も決めてない。まずは脚本からかな?」


「……却下だ」


「やっぱりダメか……」


 せめて脚本書いてから言ってくれ。どれだけの時間が掛かると思っている? ……というか誰が観るんだ?

 次は沙耶香が手を挙げた。


「沙耶香は何したい?」


「みんなでUFOを呼ぶのはどうだろうか?」


「……呼んでどうする気だ?」


「もしかしたら宇宙人と友達になれるかもしれない」


「却下だ」


「ふむ、ダメか」


 ダメに決まっている。宇宙人がいたとしても友達はせめて地球の人間にしてくれ。

 最後に舞が手を挙げた。


「却下だ」


「もー! まだ何も言ってないよー」


「すまん、つい流れで! それで何したいんだ?」


「野球拳しようよ♪」


「却下だ……というか何するか分かって言ってるのか?」


「勿論だよ! ジャンケンして負けた方が服を脱ぐんでしょ?」


 正解だ。しかし何故それをしたいんだ?


「おっ? やっぱ涼太見たいのか?」


「ふっ、やっぱ涼太だな」


「仕方ないヤツだな」


 何故か3人は俺が言い出したかのように捉えている。


「待て! 俺が言い出したんじゃないぞ? それに却下したはずだ」


「やらないの?」×4


 4人の頭の上に?マークが見える気がする。なんかこの状況、似たようなの前にもあったな……


「やらねぇーよ! お前等そんなに脱ぎたいのか?」


「あー! お兄ちゃん、私達を変態だと思ってるの?」


 違うのか? もうこの4人の考えてる事は分からん。


「そう言うお兄ちゃんは何したいの?」


 逆に舞が俺に聞いてきた。


「そうだな、こういう時はトランプとかじゃないか?」


 俺がそう言うと4人は『それがあっか』という顔をしている。むしろ何故これが出てこなかったんだ?


「それでやるのか?」


「トランプでいいけど私持ってないよ?」


「それぐらい俺が持ってるよ」


「わー! お兄ちゃん準備いいね♪」


 この為に用意していたわけではないぞ? 前から持ってただけだ。それなのに他の3人も俺を褒めてくる。


「涼太なかなかやるじゃないか」


「見直したぞ」


「私も見習わなければな」


 だからトランプ持ってただけだぞ?

 というかそれだけ俺の評価って低かったのか? まぁ気にするだけ無駄か……


 そして俺は机の引き出しからトランプを出した。そして4人にトランプで何をするか聞いてみたのだが……


 舞

「トランプタワー作ろうよ♪」


 美佳

「トランプ投げしようぜ?」


 莉子

「占いがいい」


 沙耶香

「手品見てみたいな」


 見事にバラバラだ。しかも俺が思ってるトランプの遊びは1つもなかった……もうこうなったら強制的に2択にしよう。


「全部却下だ! ババ抜きか7並べどっちがいい?」


「ババ抜き」×4


 これは揃うのかよ……まぁいい。


「ババ抜きだな?」


 俺はjokerを一枚抜いてシャッフルし始めた。


「涼太、不正は無しだぞ?」


 俺は普通にシャッフルしてただけなのに美佳が不正を疑ってきた。

 ババ抜きの不正って何だ? jokerを指定の人に配るとかか? まぁ疑われるのは面倒だ。


「なら美佳もシャッフルしたらいい」


 俺は美佳にトランプを渡した。


「よーし、みんな何回かシャッフルしていこーぜ」


 そこまでやるか……

 そしてみんなシャッフルしてトランプは俺の手元に戻ってきたので俺は順番にカードを配った。

 配り終えそれぞれ配られたカードを確認してペアになったのを出していった。

 jokerは俺のとこにある。早くどっか行ってくれ。


 ジャンケンをして順番が決まった。

 沙耶香が俺の手元からカードを引きそれから左回りに莉子→美佳→舞となった。


 沙耶香は俺からどのカードを引くか悩んでいる。そして決めて引いたそのカードはjokerだった。

 沙耶香は顔に出さず手元のカードを軽くシャッフルした。


 次は沙耶香から莉子が引く番だ。莉子は悩まずカードを1枚引いた。そして莉子は険しい表情をした。おそらくjokerを引いたのだろう。カードをシャッフルしている。


 莉子から美佳がカードを引くと美佳も険しい表情をした。


 この2人ババ抜き向いてないな……


 美佳もシャッフルしてから舞が引いた。舞はニコニコしているが手元ではしっかりシャッフルしている。


 そして舞から俺が引くとやはりというかそれはjokerだ。ただ一周みんな引いて俺の手元に戻ってきたのだ。


 このままではゲームが進まず終わらない。俺はあえてシャッフルしないで引いたカードを分かるように左端にした。しかし沙耶香はそのjokerを引いてしまった。


 くそっ! よく見とけよ。このままじゃいつ終わるか分からない。


 この4人とババ抜きをするとこうなるのか…… と後悔してしまった。


 そして勝負はかなり長引いたが俺と沙耶香と舞は先に上がった。美佳と莉子の一騎打ちになった。まぁ表情で分かりやすいから当然なのだが。


 何回かjokerだけ移動したが莉子がペアのカードを引いて勝負は終わった。


「あぁー、負けたぁぁぁ」


 負けた美佳はかなり悔しそうにしている。そして何故かパジャマの上を脱ごうとしだした。


「待て! 何故脱ごうとしている?」


「ん? 負けた人が脱ぐんだろ?」


「いつそんなルールを決めたんだ?」


「その方が面白いし涼太も嬉しいだろ?」


「面白いかどうかは分からんが、それよりまだやる気か?」


「当たり前だろ? 負けたまま終われるかー!」


「ってか美佳は明日部活なんだろ? いつ寝る気だ?」


「そうだったな。まぁ3時ぐらいに寝れば大丈夫だ」


 ……3時? 今は22時になったばかりだ。まだ5時間も遊ぶ気か?

 一応他の3人にも聞いてみたが3人もまだやる気でルールも面白いからそれでいこうとなった。


 お前等、やっぱ脱ぎたいんじゃないの? と思ってしまう。もう俺は知らん。脱ぎたきゃ脱ぐがいい。


 こうしてババ抜きは脱衣ババ抜きになってまだ続くみたいだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る