第21話 脳裏に焼き付いた

 あの4人を早く寝かせる方法を考えながら風呂に入っていたが何も思い浮かばない。

 それもそうだろう。あいつ等の考えてる事はよく分からない。考えるだけ無駄だとようやく気づいた。

 それに長湯をしてしまうと何かやらかしそうで不安だ。

 仕方ない。もう上がるか。

 俺は早めに風呂を済ませて部屋へと戻る事にした。

 部屋の前まで戻ってきたが何やら驚いている声が聞こえる。不安だ……


「おーい、上がったぞ。 開けるけどいいか?」


 俺の部屋なのだが一応ノックをして声を掛けた。


「いいよ〜」


 俺は舞の返事を聞いて部屋のドアを開けた。


「おわっ!」


 だが驚いてすぐに閉めた。なぜなら4人は下着姿だったのだ。


「いや〜ん♡涼太のえっち♡」


 美佳がすかさず揶揄ってきた。


「ノックしただろぉがぁぁ! ってか何やってたんだよ?」


 俺は大声を出してしまった。すると舞が答えた。


「みんながお兄ちゃんの選んだ下着見たいってなってそのまま見せ合いっこになったんだよ♪」


「何故そうなる? というかこれから風呂だろ? その時でいいだろ?」


「お風呂まで待てないからだよ♪」


「分かった。それはもういいとしてそれなら何故開けていいと言った?」


 本当は理解出来ないがこれ以上聞いても無駄だろう。しかしそれならドアを開けていいはおかしいだろ?

 それには美佳が答えた。


「いや、だってこの後覗かれるわけだし同じだろ?」


「覗かねぇーよ! ってかお前等この前、一緒に風呂に入るのはおかしいって言ってくれただろ? なのに覗きはいいのかよ?」


「そりゃ一緒に入るのと覗くのは別だろ?」


 ……何が別なんだ? どっちもダメだろ? しかも覗きは犯罪だ。


「しかし覗きに来ないのか? 今見たから満足したのかい?」


「涼太の意気地なしめ」


「そうだぞ、涼太。男を見せてみろ」


「お兄ちゃん頑張れ♪」


 ……俺は何故か4人から責められている。舞に至っては応援している。

 俺が間違っているのだろうか?

 というかお前等は覗かれたいのか?


「だから覗かねぇーって! もういいからさっさと服着て風呂入ってこい」


「どうせお風呂で脱ぐんだしこのまま移動した方がよくないか?」


 美佳の意見に3人は肯定している。

 だが許す訳にはいかない。


「ダメだ。女の子が男がいる家の中を下着姿で歩き回るんじゃない」


 これには流石の4人でも反論はできないみたいで嫌々ながら服を着だしたたみたいだ。


 4人が服を着終わるのを待ってる間俺はダメだと言いながらもさっきの瞬間の事を思い出してしまった。やはり男なので仕方ないのだろう。一瞬とはいえ脳裏に焼き付いたのだ。


 美佳は黒だった。なんていうかイメージ通りな感じだ。


 沙耶香はピンクだ。見た目に反して可愛らしい感じだった。やはり中身は乙女なのだろう。


 舞は本当にアレを着けていた。間違えたとはいえ俺が選んだ事になっている。もしかするとみんなに俺の好みだと思われているかもしれない……


 莉子は……まぁいいや。


「おい、今失礼な事考えてなかったか?」


 ……莉子は人の心が読めるのか?


「考えてねーよ」


 俺は反省しながらも否定しといた。

 そして服を着た4人はようやくお風呂へと向かった。


 既に疲れた。ツッコミを入れなければいいだけなのだがどうしてもツッコミを入れてしまう。

 とりあえず出て来るまで漫画でも読む事にした。


 そして1時間後に4人はお風呂から上がってきた。しかしよく4人で入れたもんだ。まぁ交代しながらだろうから

早い方かな。


「それで今から何するんだ?」


「その前に1つ。 涼太いつ覗きに来たんだ? 分からなかったぞ?」


 美佳はまだ言っている。他の3人も頷いている。


「だから覗いてねぇーって!」


「なんだ〜。せっかくみんな可愛い下着を着けたのに」


「……何だと?」


 しまった! つい反応をしてしまった。


「おやおや〜! 涼太君興味津々だね〜」


 美佳は聞き逃してはくれなかった。

 他の3人は笑っている。こっちは笑い事ではない。


 ……もうこいつ等放って置いて寝ようかな?


「ほらほら、お兄ちゃん拗ねないで遊ぼうよ♪」


「そうそう、夜はこれからだぞ?」


「簡単に寝れると思うなよ?」


「楽しみだな」


 まぁ、やはり寝かしてくれる4人ではない。早く寝れる事を祈って、結局4人に付き合う俺であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る