第20話 定番なのか?
「お邪魔しま〜す」×3
夕方になり美佳と莉子と沙耶香の3人がうちに泊まる為にやってきた。
3人を迎える為、俺と舞は玄関へと来たのだが母親も付いてきた。
「待ってたよ〜♪」
「いらっしゃい。あらあら、可愛い子ばかりね。涼太、よかったわね」
……何がだよ?
そして母親は俺にひそひそと耳打ちをしてきた。
「お友達は女の子だけなのね?」
……何を当たり前の事を聞いてくるんだ? 俺が転校したの女子高だぞ? 男友達作りたくてもそもそも男子生徒が俺以外にいないんだよ。
俺は呆れながらも母親に耳打ちした。
「女子高なんだから当たり前だろ?」
「えっ? 他に男の子いないの?」
……この母親は女子高を何だと思っているんだ? もういい。これ以上突っ込んでいられない。
「お兄ちゃん、何ひそひそ話してるの?」
「いや、何でもない。とりあえずみんな上がれよ」
「待て、涼太! その前にやる事がある」
俺が3人に上がるように言ったのだがそれを美佳が止めた。
「ん? 何だ?」
「美味しい夕飯を食べる為にお腹を空かせよう。今からランニングだ!」
美佳は部活して来たんじゃないのか? しかし流石に強豪校の運動部員なだけはある。考える事が熱血っぽいな。
しかし莉子は首を横にブンブンと振っている。俺も正直行きたくない。
「よし、分かった。行きたい奴だけ行ってこい。俺はここで待ってるよ」
「私も待っとく」
俺と莉子は待つ派になった。
しかし……
「ダメだ! こういうのはみんなでやらなきゃいけないんだ。連帯責任ってヤツだ」
誰も悪い事してないぞ? 自ら罰を作ってみんなを巻き込むじゃない。
「そうだよ、お兄ちゃん。みんなでやらなきゃだよ!」
「うむ、そうだぞ涼太」
舞と沙耶香はやる気になっていた。
お前らよくやる気になれるな……
その中、莉子はさっさとうちに上ろうとしていた。
「待て! お前だけ逃さないぞ?」
「いやだぁぁぁ……」
そうしてみんなでランニングする事になってしまった。
30分後、ランニングを終えて家の前に帰ってきた。
美佳は疲れた様子はない。流石だ!
その一方で莉子は今にも死にそうだ。
「おい、莉子。大丈夫か?」
「はっ、はぁ……来るんじゃ……なかった……」
「まぁまぁ、今夜はすき焼きだぞ?」
「何、本当か?」
莉子が生き返った。すき焼きすげーな。
そうしてお腹を空かせた俺達は夕飯のすき焼きを美味しく食べれたのである。……しかしもう夕飯前に走りたくはないな。
夕飯を食べ終えた俺達は俺の部屋へと集まった。
「何故、俺の部屋に集まる? って美佳、何ベッドの下を覗いている?」
「いや、男の部屋ってベッドの下にエロ本があるんだろ?」
……そんなバレバレの所に隠してあるわけないだろ? ってか探すなよ。
「もー、美佳ダメだよ? お兄ちゃんちゃんと隠してるつもりなんだから探さないであげて?」
……どう意味だ、舞? もしかしてバレてるのか?
「ちぇー。まぁ、いいや。んじゃ何するよ?」
「とりあえず先に風呂入らないか?」
「やだー涼太のえっち」
「……誰が一緒に入ると言った?」
もうすでに俺はツッコミで疲れてしまった。
「私達は4人で入るからお兄ちゃん先に入ってきていいよ♪」
「4人ってあの浴槽には無理だろ?」
「なんとかなるよ♪」
なんとかなるもんなのか? まぁ舞がそう言うならいいか。
「んじゃ、俺は先に入ってくるぞ? 勝手に部屋漁るんじゃないぞ?」
「はーい」×4
こうして俺は先に風呂に入る事になったわけだがあいつらが何するかわからない為不安だ。早く上がって戻ろう。
そう思いながら脱衣所で服を脱ごうとした時だった。スーっと音を立たずドアが少し開いた。
「おい、何してる?」
「あっ! ヤバっ。少し早かったか」
この声は美佳か。俺は呆れながら脱衣所のドアを開けた。すると美佳だけではなく舞、莉子、沙耶香まで勢揃いだ。
「お前等、何やってんだよ……」
「何って覗きだよ。お泊まりの定番だろ?」
美佳は堂々と答えた。
定番なのか? しかしやるなら普通は逆だ。
「誰か止めるヤツはいなかったのかよ?」
「いや、すまない。これが定番だと言うのでな……」
沙耶香は簡単に流されやすい。悪気があったわけではないのだろう。しかし詐欺にあわないか心配になるな。
舞と莉子は楽しそうと付いてきたのだろう。全く困った奴等だ。
「もういいからおとなしく部屋で待ってろ」
「はーい」×4
返事はいいんだよな。やる事はめちゃくちゃだけど……
俺は4人が部屋に戻るのを確認してから風呂へと入った。
しかし美佳は明日、部活があるとは言ってたがあの様子だとおとなしく寝ないだろうな。
なんとかして寝かす方法を考えながら風呂に浸かるのだった。
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