Ver 2.20 ゴットゥムのサロン 2

商人か、経営を任せられる人物は今のところトールとクリスだけ

更にトールはいずれ帰る可能性もあるので是非欲しいところだな

トールがいるうちに鍛えてもらいたい


「それは願ってもない申し出です。是非ケラウノスで力を発揮していただきたい」

「本当ですか!?ありがとうございます。必ずお役に立って見せます」


カルラは喜び、深々と礼をする


「うむ、うむ、ワシが懇意にしている商会とも繋がりがあるので取引もスムーズになろう。今後ともよろしく頼むぞ」

「ええ、是非」


ゴットゥムが去り、カルラが残った


「イズル様、何か欲しいものはございますか?これからお世話になるのですから何か手土産をご用意したく存じます」


積極的な娘だな

欲しいものか、今だと竜魔石の解析を手伝うものがあればいいけど


「そうだな…竜についての文献や魔法について知れる書物とか…?があれば」

「かしこまりました!探してまいります。他にはございませんか?」


食い気味でぐいぐい近寄るカルラ

どうしてこんなに興奮しているのだろうか


「今のところないが…ずいぶんやる気に満ちているね」

「それはもう!ケラウノスの盟主様と言えば未知の魔法を使う大魔導士として街では結構有名なんですよ!?さらにワイバーンを一度に何匹も倒すほどの実力をお持ちだと聞いております。街の娘の間では知らないものはおりません」


春だ、俺にもやっと春が来た

これから俺のハーレムが始まるんだ


リタを見ると両腕を腰に当ててドヤ顔を決めている

嫉妬の心配はしなくていいのだろうか?ルトラの時は結構モメた気がするが


カルラはリタを見て更に話しを続ける


「リタ様はイズル様の恋人なんですよね?とても羨ましいです」

「ふっふー。イズルとあたしはベストパートナーだからね!」


珍しく調子に乗っているな

魔石割れるような娘は他にいないしベストパートナーであることは間違いない


「あの…リタ様がよければ、私も末席に加えて頂くことは可能でしょうか」


へ?どういうことだ


「ん、あたしはいいよ。イズルはどうするの?」

「ちょっと待て、末席って何?」

「この街は一夫多妻制だぞ?あたし達が結婚すれば第二夫人という事になるね」


いつの間にか結婚する話しになっている

一夫多妻制ってそんなに軽いものなのか?それとも俺が軽いのか?


「元の世界だと一夫多妻制じゃなかったからな…どうしたらいいのか。そもそもリタは俺と結婚するのはいいのか?」

「え?断るわけないでしょ、あたしはいつでもおっけーだよ」


それはそれでうれしいが…なんか結婚に対する意識が違うな

めちゃ軽い気がするなんなんだろう


カルラがイズルとリタの顔色を伺いながら話し出す


「あの…ご結婚はいつされるんですか?」

「まだ考えてなかったけど…なんでみんなそんなに急ぐの?」

「急ぐというか…イズル様ほどの財力と実力をお持ちであれば相手が嫌がっていても娶れますよ…リタ様がご心配なら早めに式を挙げておかねば今後どこかの貴族と問題に発展しかねません。急いだほうがよろしいかと」


うそでしょ、そんなに強引なのこの街は

うむむ…リタが誰かに強引に攫われるとなると正直心中穏やかではない

ぐぅ…恥ずかしい

どういえばいいんだろうか


「うむむ…わかった。考える」

「考えるって…本当に大丈夫ですか?準備が必要な際はお申し付けください。私がお手伝い致します」

「ありがとう」

「はい、本日はとても有意義でございました。それではまた後日お伺いいたします」


カルラは去っていく

リタが笑顔で俺を見る


「う…」

「ふふ、別に焦ってないよ。でも、早くしてね」

「わかったよ」


◆ ◆ ◆


翌日 ケラウノス


早速カルラが竜に関する書物をいくつか携えクランにやってきた


イズルが寝ぼけた顔で吹き抜けに向かうとカルラが気づいて近寄ってくる


「おはようございます。イズル様」

「お、早いね」

「はい、ご希望の書物を持ってまいりました。本日よりお世話になります」


カルラが手を伸ばす先に馬車が待たせてあり、荷物が続々運び込まれている


「よろしく、部屋は空いてるとこ使ってくれ」

「ありがとうございます。イズル様のお部屋はどちらですか?書物をお届けします」

「あぁ、ありがとう。俺の部屋はあっち」


イズルが指をさすとカルラは礼をして荷物のところへ走っていく


吹き抜けからカルラを見ていると1階はそろそろ手狭と言っていいほど冒険者たちがひしめくようになっていた


結構な人数になってきたけど部屋はまだ空いてたかな

今より大きな物件があるならそろそろ引っ越しも視野に入れないといけない

トールに相談してみよう


トールとカルラを引き合わせ、世話を頼むついでに引っ越しについて聞いた


「トール、カルラの事よろしく頼む」

「はい、お任せください」

「よろしくお願いいたします!」


カルラが深々と礼をする


「トール、そろそろ引っ越したいんだけど他にいい物件あるかな」

「はい、そう仰られるかと思い探しているのですが大きな物件はあまりなく」


そうか、大きくなったクランほど安定するんだろうな

既に空いてるところはないって感じか

一度安定してしまえばそうそういなくなることもないだろうしどうしようか


「前例はありませんが、街の外にクランハウスを作るのはいかがでしょうか?」

「街の外?なるほど…土地は余ってるな」

「はい。タイフーンの矢面に立つことになりますが、攻めてくる方向は毎回似たようなものですし、地形を十分に考慮すれば守り切れると思います」


なるほど、来る方向さえわかっているなら兵器で先制できる

悪くないな


「採用しよう、すぐに土地の選定を進めたい」

「かしこまりました。防衛に強く拡張が見込めそうな土地を見繕っておきます」

「頼んだ」

「承知しました」


なんだかタワーディフェンスゲームみたいでちょっと面白くなってきた

防衛用の兵器もバリスタだけではなくもっと広範囲を攻撃できるものも用意したほうがいいだろうな

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