Ver 2.03 牛乳の魔導士と魔石の危機

さっそくレーダーの開発に取り掛かり、割とすんなり望み通りの物ができてしまった

1週間くらいだったろうか


開発も慣れたもんだ

すぐにクリスとトールが商品化し、開発者登録も済ませるとすぐに売れた

連日ケラウノスにレーダーを取り扱いたいと商人達がひっきりなしにやってくる

クリスは毎日対応に大忙しだ


イズルもレーダーの在庫を作るのに毎日時間を裂いている

冒険する暇がない


そんな事を嘆いているとある人物が訪れてきた

応接室にいるというので向かうとヨハナが座っている


「あれ?懐かしいね」

「お久しぶりね、最近よく名前を聞くわ」


ヨハナはドリアルトに雇われている女魔導士

牛のように巨大な乳房が印象的だ

以前クリスの魔道具屋に訪れてイズルと術式について語り合った


「今日はどうしたんだ?」

「結論から言うと私もここで働きたいのよ」

「え?ドリアルトはいいの?」

「いいわよ。嫌いだって言ったでしょ、それにあいつは魔法にそれほど興味無いから研究だってそれほど予算もらえないのよ」

「まぁそれでいえばうちも…まだ小さいぞ」

「でも研究用のモノは揃っているでしょ?私ならイズルのお仕事手伝えるわ、魔道具の在庫だって作れるし」


む、それは本当にありがたい


「それに私だってイズルのように開発者として名を残したいわ。お手伝いさせてくれないかしら?」


正直言って彼女は欲しい

防衛魔法陣だって得意だし術式に対しても理解が深い

さらに俺の手が空くなら万々歳だ


「給与は十分に払えると思うけど、ヨハナはうちで何をしたいんだ?」

「え?防衛用の魔法陣だって書けるしお手伝いできるし…じゃあダメなの?」

「違うよ、うちの資産は使っていい。開発が成功したらもちろんヨハナが開発者として登録してうちから使用料を払う。聞きたいのは何を作りたいの?研究したいの?って事」

「あぁ、そういう事ね。私は土地の魔力を増幅する研究がしたいの、以前イズルに教えてもらった吸魔の術式の欠点でもある場の魔力を補完する研究ね」


そういう発想はなかった、拠点を守備する魔導士ならではの発想だ

リタに魔石割ってもらえばいいや程度の俺の脳ではそうならなかったな


「よし買った。いつから来れる?」

「あら、思い切りがよくて素敵よ。ドリアルトとの契約がまだ残ってるから早くても来週になるわ。いいかしら?」

「問題ない、歓迎するよ」

「ありがとう。ドリアルトにお仕置きするときは言ってね。私も参加したいわ」

「ハハ、頼りにしてるよ」


◆ ◆ ◆


1週間経つとヨハナが荷物を持ってケラウノスに到着した


リタ、クリスがヨハナの胸に釘付けになる


「クリス…」

「あれは…強敵よ…」


お前ら一回会ってるだろう

今更何を警戒しているんだ


ヨハナはとにかく注目を集めた

歩くたびによく揺れる胸が男たちの本能を刺激してしまう

例外なくイズルもだ


ヨハナはイズルに気づくとにこりと笑い手を振って近寄ってくる


「今日からお世話になるわ。盟主様」

「ようこそ、部屋はこの先にある空いてる場所を使ってくれ」

「あら、盟主様はどちら?」

「俺は反対側だな」

「お隣空いてるかしら?いっぱいお話や相談したいの」


リタが割って入る


「と、隣はあたしがいる!ダメだよ!」

「あら、じゃあ向かいは空いてるかしら?」


クリスが割って入る


「向かいはアタシよ!おっぱいなんかに負けないわよ!」


ヨハナは首を傾げる


「じゃあ毎晩盟主様のお部屋にお邪魔していいかしら?」

「ハァー!?別に夜じゃなくてもよくない?」

「そ、そうよ!あんな事やこんな事企んでるんでしょ!」


クリスは下に走りすぎ

落ち着けよ

どうせ術式の話とかだろ、俺に興味あるわけないじゃん


「あら…ダメなの?交際や婚約されている方はいらっしゃるの?」


リタが自信なさそうにうつむきながら話す


「そ、そういう…人はいないと…思う」


クリスが声を上げる!


「あ、アタシが婚約してるわよ」

「おいやめろ、さすがにそれは無い」

「くっ………」


ヨハナはわざとらしくイズルに抱きつき、その大きな胸を押し当てる


「じゃ、問題ないでしょう?」

「うぅぅぅ………!!」

「ちょ!破廉恥よ!!」


こんなに迫られた事なんて前生も今生も一度もない

故に、どうしたらいいかまったくわからない

ただ何かの争いに巻き込まれているのはわかる


「イズルちゃん!息子が目を覚ましてるわよ!冷静になりなさい!」


うるせーよ自分の意思でどうにかなるもんじゃねーの


「うぅ…イズル…おっぱいなんかに負けないで…」


無理負けそう


「うふふ、これも女の才能よ?筋肉鍛えてないで栄養を正しいところに使ったらいかが?」

「「キィー!」」


挑発すんなよ、巻き込まれるの俺なんだから


「冗談はその辺にしてやってくれよ…俺が大変になるだろ」

「あら、冗談じゃないわよ?小娘たちには真似できない違う大人の世界を知りたくな~い?」


クリスがイズルの股間を叩いた


「イズルちゃん負けちゃだめよ!」

「いてぇっ!本体そっちじゃねーだろ」

「うふふ、タッチしちゃった~♪」


くっそ…オカマめ…


「あ、あたしも…」


イズルは青ざめ、真顔になって首を振る


「やめろリタ、握力増強スキルの事を忘れるな。魔石は割ったら元に戻らないんだぞ」

「だ…だって…」


やめろ!絶対にだ!


「ヨハナもう十分だろう…勘弁してくれ」

「うふふ…じゃあ夜議論に付き合ってね」

「はいはい…」

「え!?あたしも行く!」

「は!?アタシも行くわよ」


お前ら術式理解できんだろう

まぁいいや…俺の息子に乱暴しないでいてくれれば

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