46.ゴブリンの巣を偵察です!

 運良くガイルさんを見つけることができて装備も充実しました。

 スキルも攻撃魔法が増えて戦いやすくなったのではないでしょうかね。

 というわけで、お昼を食べてきましたので午後はゴブリンの巣を偵察してきましょう。


「東の森というとこの辺りですね……ああ、ゴブリンがときどきいるようになってきたんだよ」


 東門から出てずんずん歩いて行くと、ゴブリンと遭遇することが多くなってきました。

 最初の間は弱いゴブリンばかりだったのですが、先に進むにつれて強くなってきましたね。

 いまではレベル10くらいのゴブリンが数匹まとめて襲ってくるようになりましたよ。


「まあ、新しい魔法があれば楽勝だったのですが」

「ワン」


 『ライトボール』の魔法による目潰し効果、これがゴブリンにはとてもよく効きました。

 戦闘開始時に一発たたき込めば、あとは見当違いの方向に攻撃を繰り返すゴブリンを倒すだけの作業ですからね。

 本当は光魔法のスキルレベルを上げたいのですが、MPにも限りがあるのでいまは剣と鞭のレベル上げ中ですよ。


「しかし、街道沿いでもこのレベルのモンスターですか。ゴブリンの巣は大変そうなんだよ」

「ワフン」


 それからもときどき襲ってくるゴブリンを倒しながら進む事しばらく、ようやく東の森が見えてきたんだよ。

 ただ、森の入り口には、大きな斧を持ったゴブリンと弓を持ったゴブリンがペアで道を塞いでますが。


「……あれがゴブリンウォーリアーとゴブリンアーチャーだね。レベルは……13ですか。ボクとほぼ一緒ですか」


 あれが噂に聞く上位種のゴブリンですね。

 いままで戦ってきた雑魚のゴブリンに比べてはるかに賢く強くなっていると聞きましたが……果たしてどれくらいなんでしょう?


「このままみていても仕方がないですね。一度戦闘を仕掛けてみましょうか」

「ワフン」


 まずはいつもどおり黒号に敵をおびき寄せてもらってからの戦闘開始ですよ。

 いつもどおりと言うことで、まずは近場にいるゴブリンウォーリアーから倒そうとしましたが……。


「うわ、危ないのですよ!?」


 ボクがゴブリンウォーリアーに攻撃しようとすると、アーチャーの矢が飛んできます。

 どうやら、アーチャーは黒号で引きつけられないようですね。


「むむ、このままではまずいのです。一度退却ですよ!」


 黒号がそれなりにダメージを受けプリムの攻撃でもウォーリアーを倒しきれない以上、長時間の戦闘は危険です。

 全力で遠ざかれば相手は追ってこようとはせずに、また森の入り口まで戻っていきましたよ。


「うーん、どうやらあいつらは森の入り口をひたすら守っているだけのようですね」

「ワオン」

「さて、どうやって攻めましょうか。……シズクちゃんの魔法はまだ温存したいのですよね」

「ワフン」


 微妙にやる気だったシズクちゃんですが、いまシズクちゃんの魔法に頼ってしまうとこの先もシズクちゃん頼みになってしまいます。

 それだけは避けたいのですよ。


「うーん、なにかいい方法はないですかねぇ」


 どのように戦えばいいのかわからないので、とりあえず先ほどの戦闘を思い返してみます。


「さっきの戦いで問題だったのは、アーチャーがボクの行動を邪魔してきたことですよね」


 もし、アーチャーが邪魔してこなければ、普通にウォーリアーと戦えたはずなのですよ。


「……そういうことなら、先にアーチャーを倒すしかないのでは?」


 答えは簡単でしたね。

 でも、どうやって倒しましょうか?


「うーん、さすがにシズクちゃんの魔法も届きませんし、なにより妨害されそうですしね」

「オン……」


 こればっかりは仕方がないことなのですよ。

 倒すための道筋が見つからないと倒せそうにないのです、あいつらは。


「……プリムにがんばってもらいましょうかね」

「プー!」


 ボクが思いついた方法は、黒号がウォーリアーの注意を引きつけている間にプリムがアーチャーを倒してしまうというものでした。

 この方法なら、簡単には邪魔されませんからね。

 ただ、上手くいくかは賭けなのですよ。

 プリムはやる気ですので、大丈夫なのだと思いますが。


「それでは、改めてあのゴブリンたちとの戦闘なのです!」


 再び黒号が駆けていき、ウォーリアーの注意を引きつけてくれます。

 今度はプリムがウォーリアーの横をすり抜けて、アーチャーのほうへと向かいました。

 ……おお、上手くアーチャーの元までたどりつけましたね!

 プリムの存在に気づいたウォーリアーが戻ろうとしますが、黒号が邪魔をして行く手を遮ります。

 その間に、プリムはアーチャーに襲いかかり……一気に倒してしまったんだよ!

 さすが、プリム。

 クリティカルが出たときの攻撃力は半端じゃなく高いですね!


 アーチャーがいなくなればあとはこちらのものです。

 ウォーリアーは攻撃力もHPも高めでしたが、それだけでした。

 なので少し時間がかかったものの、無事倒すことができましたよ。


「これで入り口が通れるようになったんだよ。……MPも回復アイテムもまだまだ余裕があるし、もうちょっと先に進んでみようかな」


 ここで帰ってしまうとなんのために偵察にきたのかわかりませんからね。

 ゴブリンの巣の中に入っていきましたが……いまは昼間の時間帯のはずでしたがかなり暗いんだよ。

 なんというか、木々が密集して光を遮っているのです。

 そこはかとなく不気味ですね。


「……あ、ゴブリン発見。今度は剣持ですからソードマンですね」

「ワオン」


 ゴブリンソードマンは、普通のゴブリンがそのまま強くなったモンスターらしいです。

 つまり複数で襲いかかってくる敵ですね。


「まずはどの程度の攻撃力があるか確認ですよ。黒号、行きましょうか」

「ワン」


 黒号が駆け寄りソードマンたちの注意を引きつけてくれました。

 ソードマンは全部で三匹のようですね。

 敵は黒号に斬りかかりますが……ダメージ的には十分耐えられる範囲でしょう。


「これなら大丈夫そうですね。ライトボール」


 ライトボールの目潰しはほとんど効きませんでした。

 でも、ダメージはそこそこ与えることができたので、あとはプリムが処理してくれましたよ。


「ふう、これならまだ先に進めそうです。行きましょう、みんな」


 軽い偵察のつもりでしたが、どこまで進めるか楽しみになってきたんだよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る