8.さあ、アプリとも合流なんだよ!
「お疲れ様、リーン。その様子だと無事に講習はクリアできたみたいね」
「お疲れなんだよ、サーシャ。講習はクリアできたのですが、早くテイムに行きたいのですよ!」
「テイムに? ……ああ、ファーラビットがほしいのね」
「そのとおりなのです。サーシャはいらないんだよ?」
「うーん、見た目はかわいいと思うんだけど、戦闘力がねぇ……」
「見た目がかわいいなら問題ないじゃないですか」
「……リーン、私たちの初期パートナー契約数って知ってる?」
最大契約数ですか?
そういえば、講習でもそんな話が出ていたような。
「えーと……どこで調べられるのですかね?」
「ステータスを見れば調べられるけど、初期契約数は変わらないから教えてあげるわ。最大五匹までよ」
なんですと!?
モフモフ五匹しかテイムできないんだよ?
「あと、コントラクト……じゃない、テイマーの場合はテイムね、テイムをしたパートナーを同時に連れ歩ける最大数は三匹までだからね」
「……なんということでしょう。ボクのモフモフ王国の夢が……」
「……そんなに甘くはないってことよ。それよりも、アプリがギルド前で待っているそうよ。行きましょう」
「あ、その前にちょっと確認したいことがあるんだよ」
サーシャにちょっと待ってもらい、ギルドに併設されている売店へ向かいます。
目的はパートナーのお手入れ用ブラシなどを買うためなのですが……どうやら置いていない模様ですね。
「お手入れ用のアイテムはこの先の街で取り扱ってるそうなのです」
「それなら、急いでレベルを上げないといけないんじゃない?」
「……そうかもしれませんが、モフモフを楽しむ時間も捨てがたいのです」
「はぁ……本当にあなたは変わらないわね。ともかく、まずはアプリと合流よ」
「はいなのです。今後のことも決めないといけないですしね」
さっき聞きましたが、アプリはすでにこのギルドの前に来ているとのこと。
ボクたちよりも先に講習を受け始めたのですから、早く終わったのでしょうね。
ギルドの建物を出てアプリの姿を探すと、広場のようになっているところのベンチにオレンジ髪の女の子を発見しましたよ。
彼女がアプリでしょうね。
我が妹の雰囲気がどことなく残ってますし。
アプリのところに行こうとすると、サーシャが先に動き出してアプリと合流します。
ボクも早く行かないといけませんね。
「待たせたわね、アプリ。こっちがあなたの姉、リーンよ」
「ちょっとぶりなんだよアプリ。なんだか凜々しい装備と表情ですね。……そして、やっぱりあなたのほうが背が高いんだよ」
「ちょっとぶり、お姉ちゃん。お姉ちゃんって種族変えたでしょ? その影響もあると思うな」
「……よく種族を変えたことがわかりましたね。ハーフリングに変えたのですよ」
「ハーフリングは耳が人間のものとは形が違うからよく見れば気がつくわ。それよりも、まずはリーンと私たちの間でフレンド登録をしてしまいましょう」
フレンド登録ですか。
耳慣れない言葉が出てきましたね。
「はーい。というか、お姉ちゃんたちもまだなの?」
「講習を優先したからね。さあ、リーン登録するわよ」
「ちょっと待つんだよ。フレンド登録ってどうやってするの?」
「メニュー画面を開いてフレンドの項目から登録を選べばいいけど……今回は私たちから申請するから、リーンは申請を許可してくれればいいから」
「よくわからないけどわかったんだよ」
「それじゃあ、申請を送るわね」
「私も送ったよ」
ふたりからフレンド登録の申請とやらをしてもらったようで、ボクの目の前には申請が来ているというメッセージが表示されているんだよ。
メッセージを確認すると、サーシャとアプリからフレンド申請が来ていると確かに表示されていますね。
よし、これを承認して……うん、これで大丈夫だと思うんだよ。
「……フレンド登録完了ね」
「私のほうも大丈夫だよ」
「……で、フレンド登録するとなにかいいことがあるのかな?」
「それはまた今度話すわ。それよりも、今後の予定よ」
おお、そうでした。
早くファーラビットを捕まえに行きたいんだよ!
「はいはい! ファーラビットをテイムに行きたいんだよ!!」
「お姉ちゃんらしいね。……でも、レベル上げのためにもファーラビット狩りは間違いじゃないかな」
「うーん、私とリーンがいれば、最初からもう少し上のモンスターでもいけると思うんだけど」
「……そういえば、サーシャは初期パートナーをなににしたんだよ?」
サーシャはサマナーのようなのですが、パートナーを連れ歩いていません。
なので、なにをパートナーにしたのかわからないんだよ。
「ああ、あなたには見せていなかったわね。いま見せてあげるわね、サモン、クラウド」
サーシャの呼びかけに応じて姿を現したのはドラゴンでしたよ!
でも、思っていたような大きなドラゴンではなく、五十センチくらいのミニサイズでした。
「これが私の相棒、ミニドラゴンのクラウドね」
「……ドラゴンってもっと大きなものだと思ってたんだよ」
「成長すると大きくなるわよ。それに、この大きさでもアインスベル周辺のモンスターより強いわ」
「それなら、ファーラビットは適当に倒すだけにして次にいけそうだね」
「私はそれがいいと思うわ。リーンは?」
「ボクはファーラビットが手に入るのならなんでもいいのです!」
「……聞くまでもなかったわね。じゃあ、出発……」
サーシャが出発の合図をしようとしたとき、突然声をかけられたんだよ。
「ねえ、あなたたち、ちょっとだけいいかしら?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます