7.テイマーギルドの講習ですよ!
「今日はテイマーギルドの講習を受けに来たんだよ!」
「受講希望って言うことは初心者かしら? ……ああ、女神の使徒なのね」
「はい、そうなのですよ。早く講習を受けさせてください!」
「はいはい、ちょっと待ってね。いま担当の人を呼んでくるから」
この講習が終わらないと街の外に行けないと思うと、早く受けたくなるんだよ!
さあ、まだですか!?
「おまたせ。講師の冒険者を呼んできたわ」
「ほう、この少女ね。女神の使徒は見た目で判断できないそうだけど……ライトニングシーズーを連れているとは珍しいわね」
「この子はシズクちゃんなのですよ。さあ、早く講習を始めてください!」
「あ、ああ。やる気があって結構。……それでは、奥の訓練場に行きましょう」
「はいなんだよ!」
講師のお姉さんに連れられて、ギルド奥にある校庭のような場所に移動しました。
ここが訓練場のようなんだよ。
「さて、女神の使徒ならば基本的な戦闘方法は学んでいるはずね。なので、ここで教えることはテイマー向けの技能になるわ」
「了解なんだよ。それでなにを教えてもらえるのかな?」
「まずはテイマーの基本スキル『テイム』よ。このスキルを使うことで、モンスターをパートナーにすることができるわ」
おお、ここで念願のモフモフを仲間にするためのスキルですか!
テンションが上がりますよ!!
「さてテイムの使い方だけど、基本的に魔法と一緒でMPを消費して発動するスキルよ。そのためMPがなくなれば、当然使用できなくなるわ」
「なるほどです。MPをなくさないようにすることが大事なんですね」
「そういうことよ。それからテイムの成功率は、基本的にモンスターのHPが低いほど成功しやすくなるわ。実力の差を教えてやれば従いやすくなると言うことね」
うーん、なんだかこういうところは現実っぽいんだよ。
「基本はこんなところよ。それから、これとは別に例外があるのだけれど……これはあとで話しましょう」
「わかったんだよ。テイムについては理解できましたね」
「そう。ならば実戦テストよ。いまからファーラビットを連れてくるから、そいつにテイムをかけてみなさい」
「わかったんだよ」
そう言ってお姉さんが奥から連れてきたのは、もこもこウサギさんだったのです!
なんとかわいいのでしょうか!
「……この子は受講者のテスト用だからね。物欲しそうにしても譲ってやれないわよ」
「……残念なんだよ。とりあえず、テイムをかけてみますね」
この子はとくに攻撃する必要はないらしいので、テイムをかけてみることにします。
何回か拒絶されましたが、無事テイムに成功しましたよ。
テイムが成功すると、モンスターとの間になんとなくつながりのようなものができる気がするのですぐにわかるのです。
「無事テイムは成功したようね。次にテイムの逆のスキル、増えすぎたパートナーを手放すためのスキル『リリース』を教えるわ」
「……そのスキルは覚えなければダメなんだよ?」
「ダメね。テイマーにせよサマナーにせよ、同時に契約出できるパートナー数には限りがあるわ。そのため、必要な場合はパートナーと別れる選択もあるのよ」
「……仕方がありません。使わないとは思うのですが、覚えるんだよ」
「結構。使い方は簡単よ。パートナーに対してリリースのスキルを二回かけてやればいいの。そうすればパートナーとのつながりが切れて、パートナーは野性に帰っていくわ」
「そうなのですね。……シズクちゃんに使った場合はどうなるのです?」
「ああ、それなんだけど。リリースが効かないパートナーもいるのよね。そこは注意が必要かしら」
〈課金パートナーは通常の方法では削除できません。削除したい場合は特殊な操作が必要になります〉
お姉さんの声に続けて謎の声が聞こえてきましたね。
ゲーム的な説明なのでしょう。
シズクちゃんとお別れするつもりはないので、これは無視でいいんだよ。
「さて、それじゃあそのファーラビットにリリースをかけてみて」
「……くっ、せっかくのモフモフですが仕方がありませんね。リリースなのですよ」
お姉さんの指示どおりリリースを二回ファーラビットにかけると、ファーラビットとの間にあったつながりのようなものが消えましたね。
これがリリースの結果なのでしょう。
「次にパートナーの呼び出しと帰還についてね。パートナーの呼び出しスキルは『コール』、帰還スキルは『リターン』よ」
「なるほどなんだよ。これって、サマナーも一緒なんです?」
「いいえ、サマナーは『サモン』と『デポート』になるわ。使える状況も違うから、テイマー用の情報をきちんと覚えておくように」
「わかったんだよ」
テイマーとサマナーの違いがよくわからなかったのですが、この辺が違うのですかね?
今度サーシャに聞いてみましょうか。
「さてコールとリターンだけど、基本的に戦闘中やダンジョン内では使えないわ。戦闘中にパートナーを入れ替えたい場合、特別なアイテムが必要になるから覚えておいてね。今日は説明しないけど」
「気になりますが、了解したんだよ。それで、実際にはどういう風になるんだよ?」
「それも実際に試してもらったほうが早いわね。あなたの……シズクちゃん、だったかしら。その子にリターンとコールをかけてごらんない」
なんと、一時とはいえシズクちゃんとお別れしなければならないのですか!?
「………………わかったんだよ。リターン、シズク、コール、シズク。うん、大丈夫なんだよ」
「……すごい早業ね。使ってわかったと思うけどコールはMPを使うから、パートナーを入れ替えるときの残りMPには注意してね」
確かに、コールを使ったときに少しだけMPが減ったんだよ。
普段はあまり気にする量ではないのかもしれないけど、外で戦うときは注意しないといけないのかも。
「以上で講習は終了ね。最後に特殊なテイム相手について説明するわ」
「特殊なテイム相手です?」
「ええ。モンスターにはノーマル、レア、ユニーク、ネームドと四段階の格付けがあるのよ。ユニーク種までは普通のテイム方法で通用するんだけど、ネームド種は普通の方法ではテイムできないことがほとんどね」
そんなモンスターもいるのですね。
初めて知ったのですよ。
「そういうモンスターの場合、どうすればいいのです?」
「正直、モンスターの種族によってとらなくちゃいけない対応がバラバラだから説明できないわ。あなた自身で情報を集めることね」
なるほど、攻略サイトなどを調べろと。
運営的にそう言うことを言っていいのですかね?
「これで説明は終わりだけど、なにか確認したいことはある?」
「……講習内容ではとくにないんだよ」
「そう。それじゃあ、受付に戻ってギルドカードをもらってね。それじゃ、これからの旅路、無事と繁栄を祈るわ」
うーん、このお姉さんもなんだか別れ際にかっこいいことを言いますね。
ボクもなにか考えたほうがいいのかな?
訓練場から受付まで戻ってくると、受付のお姉さんから一枚のカードをもらえました。
これがギルドカードらしいですね。
いろいろと説明されましたが、細かいことなので省きますよ。
ともかく、これでボクも一人前の初心者テイマーなのです!
さあ、サーシャとアプリのふたりと合流してモフモフを捕まえにいきますよ!
とくにあのファーラビットのもこもこ感はたまらないのです!
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