6.次にテイマーギルドです!

「待ってくださいよ、サーシャ。そんなに焦らなくてもギルドは逃げませんよ、多分」


 ギルドがどういうものかは知りませんが、逃げるようなものではないでしょう。

 ボクとしては、このあとどうやってモフモフを捕まえるかが大事なのですが。


「どうせリーンのことだから、どうやってモフモフを捕まえるかって考えてるんでしょ?」

「正解なんだよ。それじゃあどうすればいいか、サーシャは知ってるの?」

「そのためにもギルドに向かうのよ。このゲーム、オープニングイベントのギルド講習を受けないと街の外に出られないのよね」


 なんと!

 街の外に出られないと、モフモフを捕まえること自体ができないではないですか!?


「あとモフモフを捕まえるのはいいけど、どうやって捕まえるかは考えているの?」

「それは……どうやってでしょうね?」

「はぁ……そう言ったところも講習で教えてくれるらしいわよ」

「それは講習を受けないといけませんね!」

「そういうことよ。……さて、見えてきたわ。あれがサマナーギルドとテイマーギルドよ」


 そう言ってサーシャが指さしたのは犬の看板が掛けられた建物でした。

 大きな犬の横に杖と鞭の紋章が刻まれているんだよ。

 ここがギルドなんですかね?


「序盤のほうではサマナーギルドとテイマーギルドは一緒の建物が多いそうよ。それじゃあリーン、入りましょうか」

「わかったんだよ。たのもー」

「……そのセリフ、やめてよね」


 むぅ、知らない道場に入るときはこのセリフだとお爺ちゃんが言っていましたよ。


 さて、屋内に入ってきたギルドなのですが……割と人が少ないですね。

 街中にはあんなに人がいたのにこういうものなんでしょうか?


「……うーん、やっぱりいまの環境じゃサマナーやテイマーって不人気職なのね」

「そうなんだよ?」

「最初強くなろうと思ったら初期投資がそれなりに必要だし、中盤以降はその差も無くなるらしいからねぇ」


 よくわかりませんが、サーシャがそう言うのでしたらそうなのでしょう。

 まあ、ボクにとっては関係ありませんけどね!


「そんなことより講習なんだよ! あのお姉さんに話せばいいのかな?」

「それもそうね。早く講習を済ませてしまいましょう」


 ボクはエントランスホール? でいいのかな、そこの中央付近にあるカウンターに座っていた女性に話を聞いてみたんだよ。


「こんにちは。ここがテイマーギルドであってるのかな?」

「いらっしゃいませ。はい、ここがテイマーギルド兼サマナーギルドですよ。お嬢様方」

「おお、そうなのですね。では、講習を受けたいのですがどうすればいいのでしょう?」

「受けたい講習はテイマーとサマナーどちらの講習になりますか?」


 どっちの講習かですか。

 これは職業ごとに受ける講習が違うのですかね?


「ボクはテイマーの講習なんだよ。サーシャは?」

「私はサマナーの講習ね」

「かしこまりました。テイマーの講習は右手側奥の受付、サマナーの講習は左手奥の受付にて承っております」

「わかったんだよ、ありがとうねお姉さん」

「いえ、これから頑張ってくださいね」


 お姉さんに応援されたあとサーシャと一緒に奥の方まで移動する。

 すると説明されたとおり、向かい合うようにふたつのカウンターが設置されており、それぞれ鞭と犬、杖と犬の紋章が取り付けられていたんだよ。


「どうやらこっちがサマナーギルドのようね」

「え、サーシャは見ただけでわかるのですか?」

「事前に軽く調べていたからね。杖に狼がサマナー、鞭に狼がテイマーの紋章よ」


 あ、犬じゃなくて狼だったのですね。

 親戚みたいなものですし、問題はないでしょう。


「じゃあ私は自分のギルドで講習を受けてくるわね。リーンも早く終わらせてきなさいよ」

「了解なんだよ。またあとでね、サーシャ」


 サーシャと分かれて、ボクはテイマーギルドのカウンターへと足を運びます。

 そこには先ほどとは違う、ウサギ獣人のお姉さんが待ち構えていたんだよ。


「ようこそ、テイマーギルドへ。今日のご用件はなにかしら?」

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