20.おにゅーな武器は曲者揃いですよ!
「昨日渡した装備の中じゃ武器も弱かったからな。今日渡すのがちゃんとしたものだ」
「ちゃんとしたものねぇ。ガイル、また遊んだんじゃない?」
「失敬だな、ユーリ。ちゃんと攻撃力が高い装備を作ってきたぞ」
ガイルさんとユーリさんがやりとりをしていますが、なんだか不安になる内容なんだよ。
大丈夫なんですかね、これ。
「ともかく、装備の配布だ。まずは一番わかりやすいアプリの槍からだな」
「はい」
「お前の槍は『甲虫の双槍』だ。防具と同じように虫系素材でできているから、大きさのわりには軽い上に丈夫だぞ」
「うわ、本当に軽いですね。さすがに片手で扱うのは無理そうですが」
「一応、持ち手の部分にガード用の盾もつけてあるが念のための装備だ。防御力には期待するな」
「わかりました。ありがとうございます!」
アプリがもらったのはわかりやすい槍だったんだよ。
ただ先っぽの部分がかなり大きくて、刺すだけじゃなくて振り回して切ることにも使えそうですね。
その辺りはアプリの機転に任せるとしましょうか。
「次はサーシャなんだが……その防具にあわせた装備でいいか?」
「あわせた装備ってどういう意味ですか?」
「あー、なんだ。ゴスロリ衣装っていうのは日傘もセットだろう。というわけで、日傘型の魔法杖だ」
ガイルさんがインベントリから取り出したのは、一本の黒い日傘だったんだよ。
これがサーシャの武器になるんです?
「うわぁ、この杖、本当に日傘として使えますね」
「もちろんだ。それに魔法杖としての性能も十分に高い代物だぞ」
「……確かにかなり強いですが。ユーリさん、これってそんなに強いんですか?」
「性能的にはアインスベルで扱うには強すぎるほどに強いわ。ガイル、手加減って言うものを知らないの?」
「せっかくだから最高の武器を作りたいだろうが。それで、サーシャはどうなんだ?」
「作ってもらったものですし、デザインも気にしませんので大丈夫です。ありがとうございました」
サーシャの武器もあの日傘で決定のようですね。
しかし、アプリの武器はまだ槍とわかるのですが、サーシャの武器は杖と思いませんよ?
ガイルさんって変わったものを作りますね。
「さて、最後にリーンの武器なんだが」
「……なんだかいやな予感がしますね」
「……まぁ、なんだ。変わり種の武器ができたんで、それを使ってみてもらいたいんだ」
「変わり種の武器、ですか」
「ああ、
蛇腹剣ですか。
ボクの武器は鞭なのですが。
「ガイルさん、ボクは剣を使えないのです」
「知ってるよ。とりあえず、実物を見せてやるから中庭に移動するぞ」
ガイルさんがそう言うので、全員で中庭に移動しました。
そこにはちょうどいい感じのかかしが立っていましたよ。
あれ、どう考えても的ですね。
「さて、蛇腹剣だが、まずは普通に剣として攻撃することができる。当たり前だがな」
かかしに斬りかかりながらガイルさんが説明してくれます。
というか、それは説明してくれなくてもなんとなくわかるんだよ。
「さて、ここからが蛇腹剣の機能なんだが、こいつは変形機構がついている。変形させると……」
「おお、なんだか鞭みたいになりましたよ!」
剣と剣の間がワイヤーみたいなものでつながれていて、まるで鞭のようですね!
「ああ、この形態なら武器種別は鞭になる。これで攻撃すれば鞭としても使えるぞ」
「ふむ、なかなか便利そうですね」
剣としても使えるし、鞭としても使える。
ひとつで二役とはすごいのですよ。
「リーンちゃん、そう簡単に考えてはダメよ」
「ユーリさん? どうしてです?」
「実際に使うときは、剣と鞭どちらで使うかを考えないとダメなんだから。形態変更も一瞬ってわけじゃないようだし」
「……それはそうなんだがな」
あ、ガイルさんが目を逸らしましたね。
どうやら図星のようなんだよ。
「だが、少なくとも攻撃力はかなり高めだぞ。いまはまだ試作品だからバランスが悪いが、今後も改良を重ねていく予定だし」
「……はぁ、仕方がないわね。リーンちゃん、どうする?」
「うーん、ボクはこの武器を使ってみますね」
「おお、使ってくれるか! よしよし! それじゃあ、おまけで左手用の盾も渡すぞ。こっちも試作品だから存分に使ってくれ」
ボクは盾とか使ったことがないのに、ガイルさんから無理矢理盾を渡されましたね。
ユーリさん曰く、左手は空いているしあっても損はしないから持っていてもいいんじゃないかとのことですよ。
ただ、スキルなしでうまく扱うのは難しいので、【剣】と【盾】のスキルを覚える必要はあったけど。
「さて、これで渡すものは全部だ。クエストがんばってこいよ!」
「わかったんだよ。行ってきます、ガイルさん」
さて今度こそクエストに出発ですよ。
これから受けるクエストはどんなクエストなんでしょうかね?
できればモフモフが増えるようなのがいいんだよ!
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