19.ぴっかぴかの新装備ですよ!
「待ってもらったのはほかでもない。新しい装備を渡しておこうと思ってな」
「新しい装備です? 昨日もらったのですよ?」
「あれなぁ。装備の在庫が切れててつなぎの装備だったんだよ。それで、正式な装備を用意できたからそれをプレゼントだ」
なるほどなんだよ。
でも、昨日もらった巣立ち装備でも十分に強い気もするんだけど。
「それでだが、まずはリーンとサーシャの装備だな。ふたりは後衛なんだよな?」
「そうですね。私たちは後衛になります」
「それなら、布装備だよな。それならそろそろできるはずなんだが……」
「そろそろできる?」
どういう意味なのかな?
いま作っているっていうことなのですかね?
「ガイル、頼まれていた装備ができた。……その子たちが新しく入ったプレイヤー?」
新しくこの部屋にやってきたのはウサギ獣人のプレイヤーさん。
なんだか眠たげな目をしていますよ。
「ああ、そうだ。自己紹介をしておけよ、シリル」
「わかった。私はシリル=ソーイング。『瑠璃色の風』所属の裁縫士。基本的に布装備は私が作るから」
「わかりましたよ。よろしくです、シリルさん」
「よろしくお願いします、シリルさん」
「よろしくお願いします」
眠たげな表情のままうなずくシリルさん。
シリルさんはガイルさんに装備を渡すと、部屋の隅にあるソファに座ってしまいましたね。
説明はガイルさんに任せると言うことなのでしょうか。
「さて、シリルから装備も受け取ったし説明だ。まずはリーンからだな。リーンにはブルースカイシリーズっていう装備だ」
「おお、青い装備ですね。なんとなくきれいなんですよ」
水色ブラウスにキュロットスカート、トレッキングシューズにトレッキング帽、そして指貫グローブのセットのようですね。
防御力を考えても巣立ち装備に比べてもずっと強いのですよ。
「リーンはその装備で問題ないか?」
「問題なんてないのですが、どういう意味です?」
「デザインとかの話だよ。ファッション性の問題は本人の感性だからな」
「ボクは問題ないのですよ」
むしろ、新しい装備のデザインはお気に入りなんだよ。
動きやすそうで楽ですしね。
「さて、次はサーシャだが……ゴスロリ装備って大丈夫か?」
「ゴスロリですか? ……着てみないとわからないですね」
「そうか、それならこれだ。ブラックローズシリーズって装備だな。性能はいいんだが、見た目で好みが分かれてな」
装備を変更したサーシャは、ガイルさんが言っていたとおりのゴスロリ衣装に身を包んでいたんだよ。
黒いドレスでしたが、サーシャには不思議と似合っていましたね。
「……悪くはないですね。それに、MPや魔法攻撃力が上がるのがいいです」
「わかった。サーシャはそれで決定だな。最後はアプリなんだが……」
「私の装備はなにか問題でも?」
「いや、ランサーってことは重装備タイプか軽装備タイプかで分かれるんだよ。アプリはどっちがいい?」
「そうですね……軽装備タイプのほうがいいです」
「それなら、こっちだな。……ただ、この装備ちょっと好き嫌いが分かれてなあ」
ガイルさんの装備はどれも好みが分かれている気がするんだよ。
そんな風に一言断ってから取り出した装備は立派な鎧だったのです。
もっとも、なんだか妙な光り方をしていますが。
「軽装備ならこいつが一番便利だ。羽甲虫鎧シリーズっていうんだがな……」
「甲虫ですか?」
「素材が虫系の装備なんだよ。……それって平気か?」
なるほど、虫が素材ですか。
女の子は嫌いな人がいそうなんだよ。
「私は全然気にしませんよ?」
「そうか、それじゃあこれだな。装備してみてくれ」
アプリは装備を受け取って身につけてみます。
おお、巣立ち装備のときとは全然違いますね!
「……うん、大丈夫ですね」
「よっし、それじゃ、防具はこれで終わりだな!」
防具を整えたボクたち三人は一気に強くなった気がしますね。
これで次のクエストもクリアできるんだよ!
「……防具を渡し終わったし、私はもうログアウトしていい?」
「おう。助かったぜ、シリル」
「ん。それじゃ、新人ちゃんたちもがんばって」
シリルさんはログアウトしてしまいましたが、やっぱり眠かったのですがね?
さて、それでは出発……。
「じゃあ、次は武器の配布だな!」
「ガイルさん、一度に渡してほしいんだよ……」
新しい装備は嬉しいのですが、勢いをそがれるのは困りますね……。
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