18.ファイ村の問題なのです!
「あら、リーンちゃん。思ったよりも早く帰ってきたのね」
「ただいまなんだよ、ユーリさん。テイマーギルドの雑用クエストはひととおりこなしてきましたよ」
ユーリさんのアドバイスどおり雑用系のクエストは受けられる範囲で受けてきました。
金銭的な実入りもよかったので、なかなか有意義な時間だったのです。
「それにしては困った顔ね。なにかあったの?」
「ええ、実は帰り際に新しくクエストを頼まれたのです」
困りごとというのは、帰り際に頼まれたことなんだよ。
ちょっとばかりボクの手に余るというか……。
「帰り際に? ……ひょっとして【ファイ村の頼みごと】かしら?」
「おお、そうなのですよ。よくわかりましたね」
「アインスベルのテイマーギルドで雑用をある程度こなすと受けられるクエストなの。まさか、半日にも満たない時間で受けられるとは思ってもみなかったけど」
「ふむ、それではボクでは力不足ですかね?」
「ソロではまだ無理でしょうね。でも、ファイ村関連はパーティ推奨のクエストだから大丈夫よ」
「おお、そうなのですね。それではサーシャやアプリにもお手伝いしてもらいましょう」
「それがいいと思うわ。経験値的にもそこそこおいしいクエスト群だし、そこのところを説明してあげれば断られることはないと思うからね」
ユーリさんのお墨付きももらえましたし、不安は解消ですね。
そうなると、いつからこのクエストを始めるかですが。
「このクエストって期限はあるのですか?」
「あら、リーンちゃん。クエストに期限があることを知っていたのね」
「今日教えてもらったんですよ。それで、このクエストには期限があるのでしょうか?」
「メニューからクエスト情報を選べば詳細情報を確認できるわ。それで見てみるといいわよ」
ユーリさんに操作方法を習ったので早速試してみます。
……なになに、期限は約七日後、一週間が期限ですか。
「期限は一週間後だったんだよ」
「ええ、ファイ村関連のクエストは一週間で期限が切られているわ。でも、早めに行ったほうが報酬が比較的おいしいわよ」
むむ、確かにそうなのですよ。
これは困りましたね。
できれば、午後はファーラビットを捕まえに行きたかったのですが。
「ちなみに、午後になるとまた少ししたら夜時間になるからファーラビットはお預けね」
「……サーシャとアプリを説得してファイ村に行ってくるんだよ」
「それがいいわ。私も同行するからよろしくね」
「よろしくですよ。それでは、お昼ご飯を食べてきます」
「私もそうするわ。またね」
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「それで、そのファイ村とやらに行きたいわけね」
「はいなのですよ」
お昼を食べて午後のログイン。
三人が揃ったところでファイ村の件について説明ですよ。
「それって経験値がもらえるの?」
「メインは経験値ですね。お金も少しもらえますが」
「レベル上げをしたい側としては受けても問題がないわね。それじゃ、午後はそのクエストを受けるとしましょう」
「そうだね。そうしよう」
サーシャもアプリも乗り気なようでなによりですよ。
これで無事、クエストが進められますね。
「それで、リーン。そのファイ村とやらはどこにあるの?」
「ええと、アインスベルの東らしいですね。詳しい場所はわからないのです」
「……それって大丈夫なの?」
「道なりに進めば大丈夫と聞いてきましたから大丈夫ですよ」
道から外れなければ迷わないらしいので平気ですね。
ですが、どれくらいの時間がかかるかわからないのは不安ですよ。
「あら、もう揃ってたのね」
「あ、ユーリさん」
「こんにちは、ユーリさん。今日も引率よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「ええ、よろしくね。それで、なんの話をしていたの?」
「ファイ村に行く方法を話していたんだよ」
「ああ、なるほど。ファイ村に行きたいのなら、東門そばにある馬車乗り場から駅馬車に乗ればいいわ。十分くらいでつくわよ」
「……ずいぶん近いんですね」
「歩くと一時間以上かかるから近くはないわよ」
つまり馬車が速いんですね。
世の中便利なものがあるんだよ。
「さて、三人の準備は大丈夫かしら? と言っても、回復薬は私が準備してあるんだけど」
「ボクは大丈夫ですよ」
「私も大丈夫です」
「私もです」
「それじゃあ、皆大丈夫ね。出発しましょうか」
準備ができていることを確認していざ出発なんだよ!
「お、三人とも揃っているのか、ちょうどいいや」
「うん? ガイルさんなにか用事?」
「おう。……これから出かけるところだったのか? それなら少し待っててくれ」
はて、なんの用事でしょうね?
急ぎの旅でもないので待ちますけど。
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