第六章 完成したお家と食糧問題です

41.完成ボクのマイホームです!

 皆さん、おはようございます、リーンなんだよ。

 本日はゲーム開始五日目、ハイネさんが庭の完成予定日と言っていた日なのです。

 あ、昨日はなにをして過ごしていたかというと、三人バラバラにすごしていました。

 ボクはギルドで雑用クエストをいろいろとこなしてましたね。

 これも報酬のためなのですよ。


 さて、庭が作り終わっているとのメールも届いていたので大丈夫と思いますが……一応、行ってみましょうか。


「お、きたな嬢ちゃん」


 庭作りのため出しっぱなしにしていた門の前に、ハイネさんが待っていたんだよ。


「あ、ハイネさん。おはようございます」

「おう、おはよう。そっちの準備がよければ早速庭の案内を始めるが大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。ハイネさんこそ時間は大丈夫なんです?」

「儂も大丈夫じゃ。それでは庭に行くぞい」


 一歩門をくぐり抜ければ、そこはボクの飛行庭です。

 ただ、二日前に購入したときはなにもなかったその庭に、いまはいろんなものがあるんだよ!


「どうじゃ。遠目でみてみた感想は」

「ここからみてもかなり変わりましたね。実際に説明を受けてみるのが楽しみなんだよ」

「そうかそうか。それではまず、外周部の説明からいこうかの」

「外周部ですか?」


 ハイネさんの先導に従って外周部に向かうと……おや、ぐるっと木の柵ができてますね。


「庭の外周は見てのとおり木の柵で囲わせてもらった。まあ、落ちることはないんじゃが……気分の問題じゃな」

「確かにこの方が安全そうですね。細かいところもありがとうなんだよ」

「気にするな。それでは実際の施設を説明していくぞ」

「お願いします」


 再びハイネさんに導かれてやってきたのは森エリア。

 ここには森を主な生息地とするパートナーが棲み着きやすい……らしい。

 なんでも、庭にパートナーを放つと基本的には元の環境に近い場所にいることが多いっぽいのですよ。

 でも、元のエリアとはまったく違った環境の場所に行く子もいるらしく……その辺はよくわかっていないらしいですね。

 あとは、気まぐれにいろいろな場所を行き来したりする場合もあるそうですし。


「森は見てのとおり森じゃ。質問されてもこういうものとしか答えられんがのう」

「すごいですね……庭にどうやって木を持ち込んだのですか?」

「木材を材料にしてさまざまな『樹木』の家具があるのじゃよ。それを配置して作ったのがこの森じゃな」

「なるほどですよ。ボクには作れそうにないのです」

「何事も経験と慣れじゃよ。次の場所に向かうかの?」

「はい、よろしくお願いします」


 森はみたので次の場所へ。

 次の場所は……湖です!?


「ここは湖じゃな。嬢ちゃんの好みから外れるかもしれんが、水棲系のモンスターをテイムした場合はこういった場所も必要になるのじゃ」

「……すごいですね、庭作りって。まさか湖まで作れるなんて」

「仕組みを説明してもよいが、理解できるかの?」

「多分できないと思いますので、説明してもらわなくても大丈夫です」


 水棲系のモンスターと言うことは魚とかでしょうかね。

 確かに好みから外れていますが……あって困ることはないでしょう。

 お花畑とかも作ってあってきれいですし。


「ここは休憩スペースも兼ねておっての。あそこに四阿あずまやを建てておいたわい」

「あずまや……ですか?」

「休憩スペースと覚えておいてくれればそれでよい。ほかに聞きたいことはあるかの?」

「ここに咲いている花も家具ですか?」

「そうなるのう。一本一本というわけではなく、ある程度の塊でひとつの家具じゃがな」


 家具っていろいろあるのですね。

 自分で改築することはないと思うのですが、勉強になるのですよ。


「それではここで聞きたいことは大丈夫です。次に向かいましょう」

「わかった。庭の説明としては次の場所が最後じゃな」


 そう言って案内してくれたのは、広い草原でしたよ。

 ここには、召喚していなかったシズクちゃんや黒号、プリムに星兎も集まっています。

 文字通り飛び回るシズクちゃんを黒号が追いかけ、プリムは……キックの練習をしていますね。

 星兎はと言うと、所々にある木の陰で寝てるんだよ。


「ふむ、嬢ちゃんのパートナーたちはこのエリアが好みらしいな」

「そうですね。黒号も星兎もアインスベル周辺でテイムした子ですし、プリムも似たような環境が好きなのでしょう。シズクちゃんは……どこにでもいそうなんだよ」

「課金系のパートナーはよくわからんのが多いからのう。さて、ここは草原エリアじゃ。見てのとおり広い原っぱになっておる。ここならばパートナーたちを存分に走り回らせることができるじゃろう」


 これだけ広ければ十分に遊ぶことができるのですよ。

 疲れたときはインベントリから飲み物とかを出せばいいので楽ちんですしね。


「うん、ここなら大満足なのです。本当にありがとうございました、ハイネさん」

「まだ、庭部分の説明だけなのじゃがな。あと家部分の説明が残っておるぞい」

「家……あ、ガイルさんからもらったログハウスです?」

「そうじゃ。あの家は庭の中心部に建っているでの。そこに向かうぞい」


 庭の説明が終わったため、今度は家の説明をしてくれるそうなんだよ。

 草原エリアから庭の中心部方面に歩けば、すぐに家が見えてきましたね。

 家の前には噴水が見えますし、あれも温水ですかね?


「まず家の前の噴水じゃが、ギルドの中庭にあるものと一緒じゃ。ユーリが持ってきたので今度お礼を言っておくといい」

「わかりました。そうさせてもらうんだよ」


 やっぱりユーリさんだったのですね。

 これで、自分の庭でもグルーミングができるのですよ。


「さて家の外にもベンチやテーブルを用意してある。ここで休憩を取ることも可能じゃ」

「なるほど。家の周りが林みたいになっているのはなぜですか?」

「ログハウスなら自然の中にあった方がいいじゃろ」


 なるほど、イメージの問題ですか。

 特に困ることもないので、そのままにしておきましょう。


「さて、外の説明はこれでよいな。内部の説明に移るぞ」

「はいなんだよ」


 ログハウスの扉をくぐると、さまざまな調度品が並んだ空間が広がっていたのです。

 リビングにはソファーやテーブルもありますし、キッチンも用意されていますね。

 それから天井には照明みたいなものが取り付けてあるんだよ。


「一階は見てのとおりリビング空間じゃな。友人を招いてのんびりするといい」

「わかりました。キッチンって使えるのです?」

「使えるぞい。と言っても、中級の料理設備と同じレベルじゃがな」


 中級の料理設備がどの程度かわかりませんが、料理はできるそうなのですよ。

 ボクのスキルにも【料理】はありますし、少し鍛えてもいいかもしれませんね。

 ……そういえば、もうひとつ気になるものが。


「ハイネさん、冷蔵庫がありますが使えるのです?」

「ああ、これか。これはハウジングの収納スペースにつながっているのじゃ」

「収納スペースですか?」


 説明を聞くと、庭には収納スペースが付属しているらしいのです。

 そこにアクセスするためのアイテムのひとつがこの冷蔵庫みたいなんだよ。

 あと、いままで案内してくれた庭の場所にもアイテムボックスが置いてあって、それからも収納スペースにアクセスできるらしいのです。

 まあ、そんなアイテムがなくてもメニューからアクセスできるらしいのですが。

 そこは気分の問題というのがハイネさんらしいですね。


「一階は大丈夫かの。二階に向かうぞい」

「了解です。二階には何があるんですか?」

「それはついてからのお楽しみじゃな」


 二階にはふたつの部屋があり、ひとつは見るからに作業部屋という感じに仕上げられていました。

 実際に作業部屋らしく、生産系のスキルを覚えて作業をするときはこの部屋を使うといいとのことですよ。

 まだまともに使っていませんが、【調合】もありますのでありがたいですね。


 さて、最後に残った部屋ですが、ここは個人の私室になっていたんだよ!


「とりあえず、家にあわせて木目調の家具で一式そろえてあるでの。ほかの家具がほしければ、自分で買うか儂に相談するとよい」

「大丈夫なのです。ありがとうございます」


 ほかの家具と言われてもよくわかりませんからね。

 しばらくはこのまま使わせていただきましょう。

 あ、ボクが持ってきたランプもこの部屋に飾ってありますね。


「これで庭の説明は以上じゃ。全体で質問はあるかのう?」

「質問ですか? そうですね……」


 そういえば、ひとつ疑問に思っていたことがあるのです。


「なんで、庭に出る門の周辺は手を加えていなかったのですか?」

「ああ、そこか。今後なにか拡張したくなったときの備えじゃよ。全部を使ってしまうとなにかと大変じゃからな」

「なるほどです。そこまで考えてもらってありがとうですよ」


 拡張ですか。

 するかどうかわかりませんが、なにかあったときのスペースは必要かもしれないですね。


 説明が終わったあと、庭に配置した家具の所有権をボクに譲ってもらって作業は完了らしいです。

 使ってるアイテムの数は数十個もあったのですよ。

 これは数十万かかるという話も嘘じゃなさそうですね。

 何はともあれ、無事に庭が完成してよかったんだよ。

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