40.マイホームの完成が楽しみですね!
「よし、クエスト完了報告も終わりと。リーン、そっちは?」
「ボクも終わったんだよ。アプリはどうなのです?」
「私も終わったよ。あとは、ランサーギルドに戻ってランクアップクエストの報告だけかな」
プレーンウルフ狩りを楽しんだ帰り、しっかりとクエストボードで各種クエストを報告ですよ。
引き受けていたプレーンウルフ退治のクエスト報告もしっかりこなし、サーシャとアプリのレベルも上がったようです。
これでまた、攻撃力が強化されますね!
「それにしてもアプリの新しい槍、強かったわね」
「そうですね。攻撃力は高かったです。ただ、耐久値が……」
「ガイルさんもそんなことを言ってたんだよ」
「もう半分ちょっとしか残ってないんですよね」
おお、そこまで減ってるのですか。
そんなに使い込んでいるわけでもないのに早すぎますね。
「なるほど、確かに試作品だわ」
「ですね。ログアウトする前に一度ギルドに戻って、ガイルさんがいないか探さないと」
攻撃力の代わりに耐久力が低いとは聞いてましたがここまでとは。
ガイルさん、さすがにこの武器はきついと思うのですよ。
「さて、このあとはどうしようかしら」
「解散でいいんじゃないでしょうか。ランサーギルドに付き合ってもらう必要もないですし」
「……それもそうね。用事もないし解散しましょうか」
このあとはプレーンウルフを倒して手に入った素材を換金するだけですからね。
それは個人でやっても問題ないですし、解散でいいでしょう。
……そういえば、クエストボードにはアイテムの納品依頼ってないのでしょうか?
「……リーン、どうしたの?」
「クエストボードにアイテム納品系の依頼がないか探してるんだよ」
「ああ、それね。存在しているけど、あまりおいしくないわよ?」
「そうなんだね。それじゃ、素材は普通に売った方がいいのかな?」
「その方がいいらしいわ。昔は素材もクエストで納品してたらしいけど、経験値が見直されてその必要性がなくなったらしいし」
「ふむふむ。それじゃあ、納品クエストはやめておくんだよ」
金銭的にも経験値的にもおいしくないのでしたら、クエストを受ける必要がないのです。
どうしてそんなクエストが残っているのでしょうかね?
「あ、お姉ちゃん。こっちに面白い納品依頼があるよ」
「面白い依頼?」
「うん。家具が手に入るんだって」
ほほう、家具ですか。
いま、ハイネさんに庭を作ってもらっていることですし、ちょっと興味があるんだよ。
「……プレーンウルフの牙を五十個でランプ一個と交換ですか」
「ね、面白い依頼でしょ」
「面白いは面白いけど……さすがに牙を五十個も持ってないんだよ」
「ああ、それなら。私のをあげるわよ、リーン」
「本当ですか、サーシャ」
「牙って売ってもほとんどお金にならないからね。毛皮だとそこそこの金額になるんだけど」
「私もあげるよ、お姉ちゃん。そうすれば一個か二個くらいはもらえるよね」
「助かるのですよ、アプリ。……うん、牙が百個ちょっと集まりましたね」
三人でクエスト二回分の牙が揃ったんだよ。
早速、クエストを受けてランプと交換です。
「ふむ、これがランプですか」
「間違いなくランプね」
「ランプですね」
もらったランプは、ランプとしか言いようがないくらいランプでした。
銅みたいな色をしたカバーの中で灯りがともっているのですよ。
これはこれでなかなかいい感じですね。
早速ふたつ目も交換してしっかり二個ゲットです。
「ほかには家具の交換クエストってないのかしら?」
「あるにはありますけど……ナイトオウルの風切り羽とかを要求されてますよ」
「と言うことはまだまだ受けられないわね」
ナイトオウルですか。
ボクが次に狙っているモフモフの一匹ですね。
確か適正レベル帯は15から17でしたっけ。
「あと、期限も今日中になってます」
「ひょっとしたら家具の交換は日替わりなのかもね。明日にはまた別の納品依頼が出ているのかもよ」
「ほほう。それは興味深い」
「まあ、私たちには関係のない話だけどね」
庭作りをしているのはボクだけですからね。
サーシャたちには関係ないことでしょう。
「ちなみにサーシャとアプリは庭を持つつもりはないのです?」
「私は当分ないわ。なくても困るものじゃないし」
「私もないかな? よくわからないっていうのもあるけど、必要そうじゃないから」
まあ、ボクだって必要じゃなかったら買わなかったですからね。
リアルマネーを使いましたし、そこそこな買い物でしょう。
「さて、今度こそ用事はなくなったわね」
「そうですね。あとはバラバラでも大丈夫だと思います」
「それじゃ解散するわ。リーン、あまり遅くまでゲームをしていちゃダメよ?」
「ボクだってそこまで夜更かししませんよ」
「それなら大丈夫ね。また明日、ふたりとも」
「お疲れ様だよ、サーシャ」
「お疲れ様でした」
サーシャとアプリのふたりと別行動になったあと、戦利品の換金はあとにしてギルドへと戻りましたよ。
ボクの装備は痛んでいませんが、アプリの装備は大分ガタガタですからね。
ガイルさんがいたら捕まえておきましょう。
「お、リーンじゃないか。いま帰りか?」
「あ、ガイルさん。ちょうどよかったんだよ」
ガイルさんを捕まえようと思っていたら、すぐに見つけることができました。
と言うか玄関口であったということは、どこかに出かけるところだったのですかね?
「リーン、なにか用事か?」
「ボクじゃなくてアプリの装備が壊れそうなんだよ」
「……あー、やっぱりか。プレーンウルフと一日戦っただけで修理が必要なら、耐久力をもっと増やさないとダメだな……」
「それで、アプリがこのあと修理の依頼にくるんだよ」
「よっしゃ了解だ。それじゃ、悪いんだが代わりにお使いを頼まれてくれないか?」
「お使いですか? 簡単なことなら大丈夫ですよ」
「なに、ハイネの爺さんに素材を届けてほしいだけさ。頼まれていた素材をいろいろかき集めてきたからな」
「そういうことならお安いご用なんだよ。ボクも用事がありますからね」
「じゃあ、そっちは任せた」
「任されました」
ガイルさんから素材を受け取り、ボクの庭で作業をしているはずのハイネさんに会いに行きます。
ボクの庭の門をくぐると、向かって左手に森ができていてびっくりしたんだよ。
「おお、リーンの嬢ちゃんか。なにか用かの?」
「ガイルさんに頼まれて素材を預かってきたんだよ」
「そうかそうか。それでは素材を受け取るぞい」
ガイルさんから受け取った大量の素材をハイネさんに渡しました。
それにしても、庭作りってこんなに素材を使うのですね。
「……ふむ、素材をここまで使うことがそんなに珍しいかの?」
「はい、驚きなのです」
「庭作り……ハウジングでは珍しくないのじゃよ。使う素材の量も設置する家具の量も多いからのぅ」
なるほどですよ。
設置するものが多いのでそうなるのですね。
「ああ、そうだ。ハイネさん、これってなにかに使えますか?」
ボクはさっき手に入れたランプ二個をハイネさんに見せてみた。
それを受け取ったハイネさんは、少し考えてから返事をしてくれたんだよ。
「ふむ、今日はランプの交換日じゃったか。ランプも庭作りに使えるぞい。使っていいなら預かるがかまわんか?」
「大丈夫なんだよ。ハイネさんに使ってもらうために交換してきたものですし」
「了解じゃ。では完成は明日遅く、リーンの嬢ちゃんならば明後日の朝に確認するといいじゃろう」
「わかりました。それでは、よろしくお願いします」
「うむ。……そうそう、先ほどユーリがきて噴水を置いていったのう。これを庭の真ん中に置きたいがかまわんかの?」
「はい、大丈夫ですよ」
「よし。大体のイメージはできた。あとは家具を作って配置するだけじゃな。明日は一日設置作業を行うから、庭には近づかんほうがいいじゃろ」
「了解です。あとは、お願いしますね」
「任せろ。久しぶりのフル作製じゃ、腕がなるわい!」
これであとはハイネさんに任せておけば大丈夫そうですね。
ボクのレベル上げもそうですが、庭の完成も待ち遠しくなってきましたよ。
それでは今日のゲームはこれくらいで終了ですね。
おやすみなさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます