第一章 アドラステア世界に到着です!
4.到着、アドラステア世界!
「おい、お嬢ちゃん。もうすぐアインスベルに到着するぞ?」
んむぅ?
どうやら、あのまま寝てしまっていたようです。
そして、ここはどこでしょうかね?
「……はて、ここはどこですか?」
「寝ぼけているのか、嬢ちゃん。ここはアインスベル行きの客船の中だろうが」
「アインスベル行きの客船……乗った覚えがありませんね」
「はぁ? ……ああ、嬢ちゃん、女神の使徒ってやつか。異世界から渡ってきたって言う」
女神の使徒ですか。
確か、NPCから見たプレイヤーの呼び方ですね。
逆にプレイヤーからNPCを呼ぶ場合は【現地人】または【住人】と呼ぶらしいのですよ。
「多分そうなのですよ。それよりも、ボクのシズクちゃんは知りませんか?」
「シズクちゃん? よくわからないが、足下で丸くなってるのがそうじゃないのか?」
おじさんの言葉に従い足下を見てみると、そこには丸くなっているシズクちゃんがいましたよ。
ボクが起きていることに気がつくと、シズクちゃんも起き出してこっちにすり寄ってきますね。
うんうん、かわいい奴め!
「はい、この子がシズクちゃんですよ! かわいいでしょう!!」
「確かにかわいいが、そいつ魔獣だろ? 見た目どおりの強さじゃないから容易に手は出せないよな」
「大丈夫ですよ。なでるくらいならかみついたりしないのです。さあ、どうぞ」
「……そうか? じゃあ。……おお、いい、毛並みしてるな」
「でしょう? 自慢の毛並みなのですよ」
本当はお手入れもしてあげたいのですが、グルーミング用の道具が手に入るまでは我慢なんだよ。
そういえば、もうすぐアインスベルに着くって言ってましたね。
アインスベルってどこでしょう?
「ねえ、アインスベルってどんな場所なんだよ?」
「うん、アインスベルか? そうさな、女神の使徒にとっては最初に訪れる街らしいぞ。俺らにとっては港町で商売が盛んなところってイメージだが」
「なるほど、わかったんだよ」
「そうだ、展望デッキに行ってみろよ。いまからいけば、アインスベルが見渡せるかもしれないぞ」
ほう、それは面白いかもしれないんだよ。
ここでおじさんと話をしていてもいいのですが、展望デッキとやらに行ってみるとしましょうか。
「教えてくれてありがとうなんだよ。早速行ってみることにするね」
「おうよ。そうだ、俺はセンドっていうんだが、最後にお嬢ちゃんの名前を教えてくれないか?」
「名前ですか。リーン=プレイバードというのですよ」
「リーンな。俺は行商をしてるから、もし旅先で出会うことがあったらよろしくな」
「はいなのですよ。ではまた」
「おう、それじゃあ、女神の加護があらんことを」
なんだかちょっとかっこいいことを言ってきたセンドさんと別れて、展望デッキへと向かいます。
この船にはボク以外にもたくさんの人が乗っていますが……プレイヤーさんはいそうにないですね。
はて、沙樹ちゃんや杏はどこに行ったのでしょう?
ほとんど同時に始めているので、ここに来るのも同じだタイミングだと思うのですが。
「おお、展望デッキからの眺めは本当に素晴らしいんだよ!」
「ワオン!」
教えられたとおり、展望デッキは遠くまで景色が見渡せて最高ですね!
左手には陸地が見えていますが、右手側はなにもない水平線が広がっていますよ。
さて、目的地であるアインスベルは……あれですね。
まだあまり大きくは見えませんが、陸地のほうに街が見えていますよ。
城壁と港で囲まれた白亜の街並みが遠目でも美しいですね。
「あそこがアインスベルなんですね。あとどれくらいで着くのでしょうか」
この客船、動力がわかりませんがかなりのスピードで動いています。
遠目に見えていたアインスベルが、だんだん大きくなっているのがわかりますからね。
『お待たせいたしました。アインスベル行き客船ベルジュ号、まもなくアインスベルに到着いたします。ご乗船の皆様はお忘れ物のございませんようお願いいたします』
船内アナウンスのようなものが流れましたね。
どうやら、もうすぐ到着のようですよ。
実際、ここから見える街もかなり近くなってますからね。
さて、それでは、船を降りる準備をしましょう!
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