45.ゴブリンの巣へ向かう準備です!
ボクがゴブリンワーカーをテイムする、と決めたことで庭の見学会は終了となりました。
ユーリさんもユエさんも帰り際に、なにか力になれることがあったら呼んで、と言ってくれました。
ゴブリンはそれなりに強いみたいですし、行き詰まったら聞いてみましょう。
「……さて、何はともあれ、いまの武器やスキルじゃ不安が残るんだよ」
「クゥン」
庭からいつもどおりシズクちゃんを連れ出します。
そして、ギルドの廊下を歩きながら現時点の問題を洗い出すんだよ。
「まずは、武器ですね。ボクは物理攻撃をほとんどしないのに、物理攻撃用の武器を持っていても仕方がないのです」
当たり前と言えば当たり前の結果ですね。
できれば魔法攻撃力が上がる武器がほしいところです。
そうすれば、回復魔法の効果も上がると聞いていますし。
「次は、ボク自身のスキル構成ですね。剣と鞭以外に攻撃スキルがないのは致命的になってきたんだよ」
そう、近づかないと効果を発揮しないこのふたつのスキル。
でも、ボクは後衛から回復魔法を使うだけですので、滅多にこのスキルを使うことはないのです。
さて、困りましたね。
どうすればいいのでしょうか。
「お、リーンじゃん」
「あ、ガイルさん。どうしたのですか?」
「暇だったからログインしてきた。お前は?」
「ハイネさんから庭の説明を受けて、ユーリさんたちとお話をしたところです」
「ほう。それで、これからどうするんだ」
「それを悩んでいたところですよ」
「ふむ、よければ相談に乗るぜ? なにか解決策が示せるかもしれん」
確かに、ガイルさんも先輩プレイヤーですものね。
ユーリさんのほうが詳しいかもしれませんが、別の視点から意見を教えてくれるかもしれません。
というわけですので、いま時点での悩みをすべて聞いてもらいましたよ。
「……ふむ、お前もいろいろ考えてるなぁ」
「そうですよ。いつもモフモフのことばかり考えているわけではないのです」
「まあ、いいや。まず、武器の話だったな。こっちは少し待ってくれ。すぐに新しい武器を用意してやるよ」
「本当なのです?」
「ああ、元から次の蛇腹剣をそろそろ渡そうと思ってたんだ。魔法攻撃力がほしいって言うなら、そういう改造を施した蛇腹剣を作ってくるさ」
「おお、助かります」
本当に助かるんだよ。
これで、多少無茶をしてでも黒号が大丈夫になるのです。
「でだ、次にお前のスキルの話だが」
「はいです」
「まずは、【光魔法】あたりを覚える事だな」
「【光魔法】ですか。それはなぜです?」
「【光魔法】と【回復魔法】のスキルレベルが上がると、【支援魔法】を覚えられるようになるんだ。それのための布石だな」
「その【支援魔法】とやらは強いのですか?」
「育てると強いぞ。仲間の防御力を一時的に二倍にしたりとかもできるようになるからな」
二倍ですか!?
それは強いですね。
ぜひ覚えねば!
「それでは【光魔法】は確定ですね。ほかに覚えておいた方がいいスキルってありますか?」
「そうだなぁ……SPに余裕があるなら【MP回復速度上昇】なんだが……あれって、コストが高いからな」
「……覚えられる一覧にないのです」
「……ああ、キャラクターレベル30以上からだっけか。まあ、覚えておくといいぞ」
「はいなのです。それではとりあえず、【光魔法】だけ覚えればいいでしょうかね?」
「それだけでいいんじゃないか? いろいろと一度に覚えても使いこなせないだろ?」
むぅ、それもそうですね。
そう言うことならば、この一種類だけを集中して鍛えた方がいいでしょう。
「わかりました。今回はこれだけにします」
「そうしとけ。それじゃ、新しい蛇腹剣を作ってくるから少し待ってろ」
十分ちょっとでできるそうなので、どこにも行かず談話室で待っていることにしましょうか。
とりあえず、【光魔法】のスキルを覚えて……うん、できました。
このスキルを覚えてもスキルポイントにはかなり余裕があります。
ガイルさんが言っていたもうひとつのスキルを覚えるまで温存しておくか、ユーリさんにも話をきいてみましょうかね。
新しく覚えた光魔法の使用可能スキルは『ライトボール』ひとつのみ。
ただ、このスキル、広範囲の敵を同時に攻撃できる上、相手の視力を奪える優れものらしいですね。
攻撃力自体は低いですが、サポート力は高そうですよ。
「おう、いま戻ったぞ」
「お帰りなんだよ、ガイルさん」
「ほれ、これが新しい蛇腹剣だ」
ガイルさんから渡された蛇腹剣は、『蛇腹剣・試作魔法式一型』と言う名前だったんだよ。
性能を調べてみると、物理攻撃力は据え置きでしたが、魔法攻撃力がそこそこ上がる便利アイテムになってましたね。
これで、回復魔法や攻撃魔法の威力が上がるんだよ!
「とりあえず、渡せるもんはこんなところか。それで、今度はどこに向かう予定なんだ?」
「ゴブリンの巣ですよ。そこにいるゴブリンワーカーをテイムしてくるのです」
「……なんでまた、ゴブリンワーカーなんだ? お前の趣味じゃないだろう」
「……畑の管理を任せるためなんだよ」
「なるほど、理解した」
いまの会話で理解できるなんて、さすがはガイルさんですね。
ボクだったらちんぷんかんぷんなんだよ。
「しっかし、そうなるとまだレベル不足だな。サーシャにアプリも誘って数日かけての攻略を目指せよ」
「わかったんだよ。……でも、偵察くらいなら大丈夫ですよね?」
「死に戻り前提ならな。デスペナは一定時間のステータス減少だけだが、あまり無茶はするなよ?」
「了解です。では行ってきます」
さーて、ゴブリンがどれくらい強いのか実際に確認ですよ。
さすがに、シズクちゃんの雷にはかなわないでしょうが、それ抜きだとどれくらいのダメージが与えられるのか調べなくちゃですね。
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