25.キックラビットゲットです!

「クエストクリアの表示も出ていますし、これでクエスト終了ですかね?」

〈うむ、気に入った。十分に力を見せてもらったぞ。吾を従えたければテイムするがよい〉

「では遠慮なく。テイム、なのです!」


 サンダーボルトの直撃を受け、ボロボロだったウサギさんをテイムしたよ。

 すると、テイムははじかれることなく成功して新しい仲間、が増えたのです!


〈キックラビットのテイムに成功しました。この個体はネームドモンスターのため名前がはじめからついています〉

〈同一種族内で初めてのネームドモンスターをテイムしました。ボーナスSP1が与えられます〉


 ふむ、なにかシステムメッセージが流れましたが、よくわかりませんね。

 とりあえず、ネームドモンスターということだけ覚えておいて、ユーリさんに質問してみましょうか。


「さて、ウサギちゃん……名前はプリムのままですか。ステータスは……レベル15。ボクたちよりずっと上じゃないですかね」


 ボクやシズクちゃんたちのレベルってまだ9ですよ?

 いきなり15の仲間が増えるって大丈夫なんでしょうかね。


「スキルは……【蹴撃】に【斬撃】ですか。【斬撃】はMPを消費して攻撃力上昇とクリティカル上昇のスキルですね」


 なんというか、このウサギさん。

 本当に戦闘特化なのですよ。


「それから、この【不屈の闘志】とはなんでしょうかね?」


 詳細を調べてみると、『HPが50%以上残っているとき、残りHPより大きなダメージを受けてもHPが1だけ残る』というスキルのようです。

 これがあったから、サンダーボルトに耐えたんだね。


「ふむ、スキルについてもこれくらいでいいでしょう。ひとまず皆のところに戻りましょうか」

「ワン!」

「ワオン」

「プー」

「……仲間になったらしゃべらないのですね、プリム」


 なんとも都合のいい話ですが、つっこむのは野暮なんだろうね。


「プープー」

「なんですか、プリム……ってお守り?」


 プリムがボクにくれたのは、ウサギの毛を使ったお守りだったんだよ。

 効果を見てみるとテイム成功率などにも影響するLuckが50も上がるアイテムだったのです!


「おお、こんなものをもらってもいいのですか、プリム?」

「プー!」


 かまわないと言っているようですので、早速装備です。

 これで少しは強くなりましたかね。


 プリムの用事も終わったようなので、湖のほとりで待っていてくれた三人と合流ですよ。


「お帰り、リーン。そのウサギが今回仲間にできたパートナー?」

「はいそうですよ。キックラビットのプリムです」

「そうなんだ。ファーラビットとは違うんだね」

「どうも、そうらしいんですよ。ユーリさんはその辺り知ってます?」

「キックラビットはこのイベント専用の種族ね。進化パターンも一種類しかないけど、優秀な高速アタッカーになってくれるわよ」


 おお、それは期待大なのですよ。

 これからがんばってもらいましょうか!


「それにしても、大分派手に戦ってきたわね。リーンちゃんの服はともかく、盾がもうボロボロじゃない」

「おお、そうでした。ガイルさんにはお礼をしなくてはいけませんね。この盾のおかげで、無事テイムできたのですから」

「それならいいんだけど。……まあ、キックラビットの攻撃くらいで壊れる盾を渡してきたガイルが悪いか」

「ユーリさん、なにか言いましたか?」

「いいえ、なにも。それより、クエストもすべて終わったしそろそろ引き上げましょう」

「そうですね。あとそんなに経たないうちに晩ご飯の時間です」

「えっ、もうそんな時間なんだよ?」

「そんな時間よ。だから、ギルドに戻っていろいろ後始末をしたら今回は解散よ」

「わかったんだよ。……ファーラビットはまたお預けなのですね……」


 ああ、もこもこウサギちゃん。

 いつになったら会えるんだよ……。


「お姉ちゃん、やっぱりファーラビットを仲間にする気は変わらないんだ」

「当然なんだよ! ファーラビットは癒やし枠なのです!」

「精神的な面じゃなくて物理的にも癒やし枠になれるんだけどね。さあ、帰りましょう」


 来たときにものった馬車に乗って、アインスベルに戻るんだよ。

 ああ、今回はいい冒険でしたね。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


「ふむ、やっぱり試作品の盾じゃ耐久力が微妙だったか」


 ギルドに戻ったところでガイルさんに会えたました。

 ちょうどよかったので、壊れた盾の相談ですよ。


「はい、プリムの蹴りを受けたら一撃でその状態になったんだよ」

「……まあ、キックラビットの斬撃が乗った蹴撃を受ければこうなるだろうなぁ。まあ了解した。夜までには新しい盾を用意しておくよ。あと、蛇腹剣も更新な」

「おお、いいのですか? 蛇腹剣もほとんど使っていないのですが」

「装備は少しでも強化しておいたほうがいいだろ? それに、新しい装備は俺もいろいろ試してみたい」

「わかりました。それではお願いするんだよ」

「おう、任せろ。次のログインは晩飯とかを済ませたあとか?」

「その予定なんだよ。それじゃあよろしくね」

「ああ、またな」


 ガイルさんにあとのことを任せてボクはログアウトなのです。

 夜こそはファーラビットをゲットですよ!

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