13.ワイルドドッグと戦闘です!

「そろそろプレーンマウスの相手は大丈夫かしら」

「そうですね。スキルのレベルアップも大丈夫ですし、私は大丈夫です」

「ボクも大丈夫なんだよ。アプリは?」

「私も大丈夫です。手加減スキルの取得条件も満たせましたし」


 なんと、しばらく放置している間にアプリは強くなっていますね。


「それなら、次のステップね。ワイルドドッグのところに行きましょう」

「わかったんだよ。それでは行こう」


 ワイルドドッグはもう少し離れた場所にいるということなので、ボクたちは移動します。

 移動した先にいたのは野犬の名前がふさわしいような、薄汚れた犬なんだよ。


「あれがワイルドドッグですか。あまりモフモフしていない気がしますよ」

「パートナーにすればかなりきれいな犬になるわよ。まずはあの群れにサンダーボルトをたたき込んでみて」

「わかったんだよ。シズクちゃん、お願い」

「ワン!」


 シズクちゃんがひと吠えすると、ワイルドドッグたちに落雷が落ちたんだよ。

 ワイルドドッグはやっぱり耐えきることはできず、落雷を受けたモンスターは全滅したね。


「さすがすごいわね、リーン。それが連発できればすごいんだけど……」

「サンダーボルトのリキャストタイムは三十秒。そのほかにも、ライトニングシーズーがサンダーボルトの消費MPを回復するのに六十秒かかるからねぇ」

「やっぱりそんなにうまくはいかないんですね」

「そういうことよ。さて、いい感じにばらけたし倒していきましょうか」

「わかりました。手加減したほうがいいですか?」

「そうね、アプリちゃん。手加減で瀕死にしてくれれば、私が拘束して練習用にするわ」

「はーい。がんばりますね」


 シズクちゃんのサンダーボルトで減ったワイルドドッグ相手に、ボクたち三人で戦うのです。

 試しとしてサーシャが魔法で攻撃したところ、いい感じにワイルドドッグが瀕死になりました。

 なので、サーシャも手加減スキルの練習を始めましたよ。


「サーシャも手加減スキルを覚えようとしてずるいんだよ」

「そうは言われてもね。あなたの攻撃力不足が問題なんだから、そっちをなんとかしなさいな」

「ぐっ……」


 ボクの攻撃力不足は深刻なんだよ。

 なんとかして攻撃力を高めたいけれど……厳しいのですよ。


「ユーリさん、なにか攻撃力を高めるいい方法はないのですか?」

「うーん、リーンちゃんはハーフリングでしょう? そうなると、そもそも直接攻撃力は低めなのよね。もうしばらくレベルを上げるか、武器を強くしないと攻撃力には期待できないわ」

「……やっぱりそうなのですね」


 ユーリさんに聞いても、結果は一緒だったんだよ。

 レベルアップはいまがんばってるとして、強い武器はどうやって手に入れよう?

 今度、ガイルさんに相談すればいいのかな?


「よし、コントラクトに成功したわ。……本当にきれいな犬になるのね」


 ボクがいろいろ考えている間に、サーシャはコントラクトを練習していたようなのですよ。

 どうやら成功したようで、サーシャの前には愛嬌のあるミックス犬がいたのです。


「これがワイルドドッグですか。悪くはないですね」

「あら、リーンちゃんもワイルドドッグは大丈夫なのね」

「ボクの求めるモフモフとはちょっと違う気はしますが、これはこれでモフモフになる気がするのです」

「なるほどね。ちなみに、ワイルドドッグは進化するといろいろな種類の犬種になれるわよ」


 ほう、違う犬種ですか。

 詳しくは教えてくれませんでしたが、興味はありますね。


「それで、サーシャはその子を育てるのですか?」

「うーん、この子はやめておくわ。どうせならレアリティが高い子のほうがいいもの」

「そういうものなのですね」

「そういうものなのよ」


 ボクはあまり詳しくないのですが、やっぱりサーシャはゲームに詳しいのですよ。

 サーシャはコントラクトしたワイルドドッグを手放して、次のモンスターと戦闘を始めます。

 ボクも負けてはいられませんね。


「……それにしても、ボクのテイムは成功しないんだよ」

「まだスキルレベルが低いんじゃないの? その辺はどうなのかしら」

「それなりにレベルは上がってきているんだよ。どんな感じなのかな」

「スキルレベルが足りているなら、あとは運だからね。そこは祈るしかないわ」


 ユーリさんにも言われてしまいました。

 ボクのリアルラックの問題なんですかね。


「ほらほらお姉ちゃん、次の獲物行くよー」

「ああ、待つのですよ、アプリ。MPを回復しないといけないのです」

「じゃあ休憩?」

「時間がもったいないのでポーションで回復ですよ。……不味いですけど」

「オッケー。サーシャさんも大丈夫?」

「私も調子がいいしいまのペースを保ちたいわね。……ポーションの味はどうにかしてほしいけど」


 ボクたちがポーションを飲んで回復していると、僕たちの近くに黒い体毛をした少し立派なワイルドドッグが出現したんだよ。


「あ、ワイルドドッグのユニーク種よ! 逃がさないように、テイムかコントラクトしましょう!」


 ユーリさんが少しテンション高めで教えてくれます。

 ユニーク種とはそんなに珍しいのですかね?

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