23.おまけクエストはモフモフですね!

「うん、無事にクエストクリアできたみたいね」

「ありがとうございます、ユーリさん。ちなみに、あのときゴブリンを逃がしていた場合どうなっていたのでしょう?」

「いい質問ね、サーシャちゃん。逃げ出したゴブリンがいると、またゴブリンを探し直す必要があるわ。その都度、ゴブリンの群れは復活するから、結構面倒なのよ」

「そうなのですね。ユーリさん、物知りなんだよ」

「ファイ村のチェーンクエストは有名だからね。いろいろなギルドで受けられるのよ、このクエスト」

「そうなのです? 確かに、テイマーじゃなくちゃダメな内容でもなかったですが」

「今度調べてみるといいわ。……最後のおまけクエストは職業ごとに変わってくるんだけどね」


 おまけクエストですか。

 なんだか興味がわいてきましたね。


「ともかく、クエストは終わったわ。村に戻って報告よ」

「そうですね。行きましょう、リーン、アプリ」

「わかったんだよ」


 帰り道もアプリが罠を調べながら歩きましたが、帰り道にはなにもありませんでしたね。

 やっぱり、クエスト中だけの演出だったみたいなんだよ。


 ファイ村に帰り着いたら早速村長さんに報告です。

 報告係は、こういうことに慣れていそうなサーシャが担当ですよ。


「おお、それではゴブリンどもは倒してもらえたのですな」

「はい。一グループだけですが、倒してきました」

「一グループで結構ですよ。こんなところに何グループもいるとは思えません」

「そうですか。依頼は終了ですね」

「ええ、ありがとうございます。こちらが報酬になります」


 差し出されてきた革袋をもらってクエスト完了なんだよ。

 さて、あとはアインスベルに帰るだけですね。


「皆様、ありがとうございました。このあと一緒にお食事でもいかがですかな?」

「……食事ですか。どうしよう、皆?」


 サーシャが聞いてきましたので、ボクはユーリさんにどちらがいいのか確認してみます。

 ここはどちらを選んでもこのあとの展開に関係ないそうなので、断ってもらうことにしたんだよ。


「……そうですか、ならば仕方がありませんな。いろいろとありがとうございました」

「いえ、大丈夫ですよ」

「また何かありましたらギルドに依頼をさせていただきます。ご縁がありましたら、またよろしくお願いいたします」

「はい、それでは」


 村長さんの家をあとにして、村の広場まで戻ってきました。

 さて、次はどうすればいいのでしょうね?


「ユーリさん、この先はどうすればいいのです?」

「村の正門から出て行こうとすれば、衛兵から最後のクエストの情報がもらえるわ。そっちはいま受ける必要もないけどね」

「そうなのです?」

「ええ、そうよ。というより、いまクリアするのは難しい、というべきかしら」


 そんなに難しいクエストなのでしょうかね。

 もっと詳しく聞いてみましょう。


「最後のクエストだけは、最初にクエストを受注してきたプレイヤー単独で受けることになるのよ。そして、クエストの要求レベルは15。いまのリーンちゃんじゃかなり足りていないわね」

「むむ、確かに足りていないんだよ。でも、受けて試してみることはできないのです?」

「試しにクエストにチャレンジしてみることは可能ね。失敗しても、何度でも挑めるタイプだから。それじゃあ、一度挑戦してみるのかしら?」

「そうしてみたいのです。ふたりもそれでかまいませんよね?」


 サーシャとアプリに確認をとりますが、ふたりも承諾してくれましたよ。

 ボクがこう言い出したら止まらないだろうということです。

 なんだか失礼なんだよ。


「話はまとまったわね。クエストを受けに衛兵のところまで行こうかしら」

「はいなんだよ」


 村の広場から正門前まで移動して村を出て行こうします。

 すると、ユーリさんが教えてくれたとおり衛兵さんが話しかけてきましたよ。


「お嬢ちゃんたち、無事に問題解決してくれたようだな」

「できたんだよ。こんなところでゴブリンと戦うなんて思ってなかったけど」

「そりゃそうだろうな。ゴブリンがこの辺に棲み着くなんて珍しいしよ」

「そうなのですね。それで、なにかあったのですか?」

「おう。これは依頼というわけじゃないんだが、この村から少し南に行ったところに湖がある。そこにウサギ型のモンスターがいてな。普段襲ってくることはないんだが、やっぱり村の連中は怖がってるわけだ」

「それを退治してこいと?」

「うーん、ちょいと違うかな。お嬢ちゃん、テイマーだろう? だったら、そいつをテイムしてみたらどうだ? 俺も一度戦ってみたが、かなり強かったぞ」

「ウサギなのに強いのですか。興味がありますね」

「そっか。報酬は出してやれないが……まあ、がんばってみてくれ」


 衛兵さんが戻っていくとシステムメッセージが表示されます。

 内容は、クエストの受領。

 クエスト名は……【月光兎は静かにたたずむ】ですか。


「……ユーリさん。このクエストをクリアできればウサギのモンスターが仲間にできるのですか!?」

「うーん、ちょっと違うかな。テイム条件を満たせれば、テイムできる。普通に倒してしまうと、普通にクエストクリアになってしまう。そんなクエストよ」


 むむむ、そうなのですね。

 でも、俄然やる気が出てきましたよ!

 目指せ、ウサギなのです!

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