聖なる村で怪我人を手当てする事になりました

 翌日には聖なる村(表向きは名も無き村)に手配書の詳しい内容が届いたんだけど…。


「何だよ、これ・・・」


 言葉遣いを男性に固定して居なければボロが出ると思って、吐き出す時は男性を意識してるんだけど、手配書の文章が、お粗末すぎ…。


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  シオール王城より指名手配


 以下の特徴を持つ女性を見つけた者には

 100万エンダー、保護した者には200万エンダー

 連れて来た者には300万エンダーを報償として

 与える。


 1.黒髪で有る少女

 2.オッドアイの少女

 3.異世界から来たと発言した者

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「あらサクヤ、手配書を見に来たの?」


 そう声を掛けたのは養母となってくれたエミーさん。


「母さん。一応、俺も村の人間だからさ、

 とは言っても、ざっくり過ぎるね手配内容」


 もうこれ、肩を竦めるどころじゃないわ。


 王様だったら、もう少し気の利いた手配書を書きそうだけど、そう言えば森の入り口付近で皆、何をしてるのかしら?


「サクヤ大変だ!手を貸して欲しい!」


 村の長老んとこの長男レイモンドよねぇ?何か有ったのよね私を呼ぶって事は…。


「手を貸すと言われてもな、

 俺は独眼だぞ?貸せる出来事・・・

 「第一騎士団がSSクラスの魔物と遭遇したらしく、

  怪我人が多数、村の入り口に運ばれて来たんだ」

 何だって!?

 (この世界ってSで終わりじゃないの?!

  SSまで居るのか、だったら急がないと!)」


 イアンさんが作ってくれた眼帯には、見える魔法が組み込まれて居るのだけれど、見た目は某武将そのもの。


 恋愛シュミレーションにも出て来てたけど、恰好い…じゃなくて。


 今は怪我人の手当てが優先!


 駆けつけたサーヤことサクヤは、その惨状に目を見開いてしまう。


 多くの騎士が腕を落とし、足を落とし息もえな状態で運び込まれて居た。


「レイ!何でもいい、

 赤、黄、青…取り敢えず、

 この色の軽い布は無いか?」


「あ、ああ!

 村の織物なら有ると思う持って来よう」


 私が一瞬で判断した方法はトリアージ。


 急がないと命の危険が有る者には赤、それ程危険は無いが危険な事に変わりがない者には黄色、手当てを最後に回しても大丈夫な者には青を使おうって思ったのよね。


 勿論、本職では無いから判断は鑑定に頼るしかないけれど、それより急がないと…。


 サクヤはレイモンドが持って来た布を使い重傷者から軽傷者まで区分し、腕がギリギリ残されて居る者から繋ぐ行為を魔法を使って施して行く。


「痛みを伴う可能性が有るから噛んでおいてくれ。

 必ず助ける」


「す、すまな…うあっ!」


 モルヒネとか麻酔が有れば…と無い物ねだりしても仕方ないわね。


 魔法を掛ける時に鎮静効果も加えて…神経を繋いで…骨を繋いで…傷が残るのは仕方ないわよね。


 そこは騎士だから覚悟してるでしょうし。


 1人目の手当てを終えると2人目…3人目と次々、手当を施す。


「サクヤ手伝える事ない?」


 メリーか…助かるのだけど私より年下の彼女に、この先に向かわせるのは…駄目ね。


「気持ちは有難いが、

 この向こうは惨状だ。

 君が心の病を発症してしまう可能性が有る限り、

 行かせたくない。

 だから青い布を持って居る騎士の手当てを頼めるかい?

 彼らは簡単な手当てで十分な人たちだから、

 そこまで悲惨では無い」


 メリーも実は女性って言うの知ってるからかな心配そうな顔してる。


「でもサクヤ…(あなた女性…なのに…)」


「俺はだから平気だよ。さ、行って」


 パタパタと駆ける姿は少女だけど、しっかりしてるから安心ね。


 こっちはレイも居る…し…って、あれ…何?あの人、こんな重傷者居た?!


 サクヤの目の前には今運ばれて来たばかりだろう。


 大けがを負い廃屋から拝借したのか、扉に乗せられ、余命幾ばくかの男性が担ぎ込まれたのだ。


 直ぐにそちらへ移動し止血魔法を掛け流れる血を止め、鑑定を掛けると全身骨折の上、内臓損傷まで負って居ると判明した。


「そいつを俺の自宅へ運んでくれ!

 今すぐ取り掛からないと死んでしまうんだ!急げ!!」


 騎士服…?黒い筈の騎士服が鮮血に染まって居るなんて、もしかして団長さんだったりする?


 部下をかばって大けが負いながらも討伐対象に立ち向かった…って所かしら。


 かく、急がないと…。


 サクヤは自宅に運び入れ、時間を掛けて損傷した内臓を元通りにし、骨を形成し、危機的状況の体を回避する事に成功した。


 まさか、その人物が第二王子とは思わずに助けたのだ

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