番外編

王と王妃の謝罪

 アレンから聖女への面会が許されたと通達され、王と王妃は謁見の間へと案内されたのだが、重々しい雰囲気が漂っている。


 その原因は、今から聖女が謝罪を受けると聞いていたからでもあった。



 * * * *


 アレンと共に現れたサーヤは、サクヤの恰好で、王と王妃そして宰相の前に姿を現し、本来なら玉座に座らなければならない者が下手しもてひざまずき、上手かみてにサクヤが立っているのだ(流石に玉座に座って待つ勇気なんて無いもの)


「ほ、本日は、お時間を頂き誠に有難う御座います。

 此度こたび、王家が犯してしまった、

 多くの罪に謝罪させて頂きたいと存じます」


「万が一、私を侮辱しているような発言があった場合は、

 再び罪の烙印を刻む事となりますので、

 覚悟して発言して頂きます」


「「「はっ・・・」」」


 本来なら王様が威張り散らす発言をすべき何だけど、私がしちゃってんのよね。


 まあ、立場が今だけ逆転してるから仕方ないけど。


「謝罪…でしたね?顔を上げて下さい」


「はい…。この度は我が愚息が聖女様を無視し、

 召喚に携わった全ての者が置き去りにしてしまった事、

 又、私の判断が甘く、 尋ね人では無く、

 手配犯として探してしまった事に対し、

 深くお詫び申し上げます」


 この世界に土下座ってあんのかねぇ。


 土下座しちゃってる…これを許さなきゃ鬼畜じゃん。


「済んだ事を取り返す事は出来ませんが、

 許す事は可能です。

 なので王様と王妃様、

 そして宰相様の罪は許す事にします。

 ですがエヴァン王子の烙印は、一生、

 封印したままとさせて頂きます」


 顔を上げた王は「当然だ」と言う表情。


「勿論で御座います。

 あやつめの脳みそは花畑故の烙印。

 反省もしておらぬ様子ですので正しい判断かと存じます」


 自分の息子を花畑と言うとか…どんだけ阿呆なのよ。


「さて、私とアレン王子の結婚に際してですが、

 王様と王妃様には隠居して頂きます。

 そして宰相様は新たな宰相が育つまで、

 新しい王と王妃を支えて頂きます」


「「「えっ!?」」」


「サーヤ、私とグラシオールを復興へ導く為に、

 戴冠式を行う、と言う事かな?」


 アレン王子の疑問は判らなくも無いわね。


 謝罪を受けるだけだと思っていたのに、王様を退位させようなんて話、信じられないものね。


「駄目だったかしら?

 私が持ち合わせている、

 異世界にほんでの知識を生かして復興させるには、

 アレン様の手助けも必要ですが、

 私がお願いしても人が動くと思いますか?」


「あ・・・」


 そう、サクヤでありサーヤのままでは、誰も手助けをしようと思わないだろうと予測できる。


 何故なら、一般市民だけでなく、貴族にもサクヤがサーヤで聖女である、と言う事は周知されていないからだ。


「判りました聖女様。

 私が全身全霊を掛けまして支えて行きましょう」


 宰相が承諾の返事をし、王と王妃は隠居する旨を通達し、2人の戴冠式が行われる事が決定したのだ

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