衝撃の事実を知ったレイモンド

 アレンとサーヤの結婚式が決まった頃、サーヤが義父に報告する為、聖なる村へサクヤの恰好で戻って来た時の事。



 * * * *



「お?!サクヤか聖女様とアレン様の面会は、

 滞りなく終了できたか?」


 レイモンドはサクヤが仲介役として、アレンと聖女であるサーヤとの面談を見届ける、と言う事を聞かされていたので、結果を知りたかったのだ。


「ああ。問題なく面会して頂けた。

 聖女様とアレン様で元凶は封印され、

 2度と災いがグランシオールに訪れる事消えたよ」


「すげー事が起きたんだなぁ」


「ああ。もっと驚く事も起きたぞ?」


「何だ何だ?」


「まあ、長老から何が起きるのか聞いてくれ。

 長老に伝えなくてはならんからな」


 確かに、そうか。と納得してくれたから良かったものの、もし理由を聞かれたら、その場で自分はサクヤと言う名では無く、聖女サーヤであると白状しなければならなかったのだ。



 * * * *



 その足で長老の自宅を訪れたサクヤはアレンとの結婚が決まり父親役をお願いしたい、と申し出る事にした。


「長老…」


「サ、サー…サクヤ」


「遮音の結界を張りましたのでサーヤで構いません。

 実を言いますとアレン様と婚姻する事になりまして、

 長老にも立ち会って頂きたいと思いまして…」


「何と目出度い事になったのだのぅ」


「まあ、ヴァージンロードは、

 イアンさんが義父ちちとなって下さっているので、

 役目をお願い出来ないのが申し訳ないのですが…」


「それは仕方の無い事であろう?

 イアンとエミーが魔物に襲われている所に遭遇し、

 養父母となる事を願い出たのならば、

 わしがしゃしゃり出る訳には如何いかんであろう?」


 遮音の結界張っておらず、レイモンドが長老に詳細を聞きに来てしまった。


「それもそうですが、

 村でお世話になったにも関わらず…

 と言う思いも御座いますので」


「何とも複雑になってしまったのぅ。

 サーヤ様は今後、

 どのように振る舞うと定めたのですかな?」


「アレン様からは、

 私がサクヤとして行動する事も許して頂きましたし、

 サーヤとしてグラシオールの復興にも携われるでしょう。

 アレン様には本当にサクヤでもサーヤでも構わない、

 と言って頂けた事がありがたく思・・・」


「はぁ!?サクヤが女性で聖女ぉ?!」


「「あ・・・」」


 入れないようにしていなかった事を悔いたサクヤと、黙っていた事を恥じた長老の声が同時に漏れてしまう。


 あーあ・・・誰も入らないようにしときゃ良かった。


「お前なぁ…長老とサクヤが話し合っているって知ってて、

 何で入って来たりすんだよ」


「いや、そのっ…気になって…すまん」


「はぁ…しょうがない。いい?!

 正式な発表をする前にサクヤが実は女性だった事、

 聖女だった事を誰かにバラした時は、

 メリーとの結婚を認めないわよ!?」


「ちょっ!!何で知って・・・」


「誰が見てもメリーに想いを寄せておると、

 判ってしまっておるぞ?」


「うっ…」


「長老も結婚式、

 当日までサクヤがサーヤと言う聖女である、

 と言う事は伏せて下さいね」


「判っておる。レイモンドと一緒にするでない」


「ひっでぇ・・・」


「本当の事でしょ?

 長老と重要な話し合いをしている所に、

 何も知らないレイが来て、

 村に混乱を招いてしまうなど、本末転倒だもの」


「ご、ごめんって」


「じゃあレイ。

 村にいる間は『サクヤ』だからな。

 今までと違う態度を取ったりしたら、

 メリーとの結婚を妨害するからな」


「うわぁっ!それだけは止めてくれっ!!」


 冷や汗タラタラのレイを見てサーヤは「いい気味」とばかりにプイっ、と顔を背け、長老の自宅から自分の自宅へと戻って行く。


 勿論サクヤとして・・・

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