人が増え活気に満ち溢れる村
騎士団一行が大けがを負った翌日、動ける者は動けない騎士の治癒を促進させる為に森に自生する薬草を集め、薬師に頼んでポーションを用意し始めていた。
そしてサクヤの自宅で静養して居た第二王子アレンも又、動けるまでに回復はして来たが完治には至って居なかった。
「サクヤ…だったな。
君の自宅を占領してしまって申し訳ない」
「王子様を路上で休ませた…
何て知れ渡ったら俺が厳罰を受けてしまう。
それは避けたいってだけですよ」
はぁ~。
ここまで男性としての言葉が、定着してしまうと思わなかったわ。
それもこれも脳内お花畑な王子と、お粗末な王様の
王都がどうなろうと知らないわよ(ふん)!
「サクヤ、父さんが呼んでる」
「長老が?」
「ああ。何でも王都からの流出者の住まいをどうにかしたいそうで、
知恵を借りたいそうだ」
(あら~。衰退が始まっちゃったのかしら?早いわねw)
「そうかアレン様は療養して下さいよ?
目を離すと直ぐに行動しようとなさるからな」
「う・・・」
取り敢えず釘さしといたから大丈夫とは思うけど念押しておくか。
「メリー、王子様が無理して動こうとなさらないよう見張っててくれる?」
「そ、そんな事して不敬罪で捕まったりしないかしら?」
「大丈夫。命を助けた村人を売るような真似は、
第一王子様と違ってなさらない筈だからね」
脳内お花畑な王子と比べたくないけど、あの王子は救いようも無かったものねぇ。
(聖女で有る事を鑑定せず、
見た目重視で少年を連れて行ったもの。
今頃は王様から何かしらの罰を受けている頃かしら)
「サクヤ」
「ああレイ、行こう」
確かに商人やら住民やらが、村の噂を頼って傷だらけで到着する
長老の自宅に到着したサクヤは、増えた住民を住まわせる為に森を切り開く事を提案する事にしたのだが、そこは魔物の巣窟…そう簡単に行かないのが実情でもあった。
「おお。来てくれましたか」
「長老…この状況は一体…?」
(何、これ…恐らく王都から来た身分のある方々…だよね?)
「実は聖女様が村にいるのでは?
と疑う貴族の方々がいらっしゃっておるのだ。
そこでな、サクヤから、
この周辺に聖女様はいないと、
断言してやってはくれないだろうか、
と思ったのだ」
ようするに私が聖女って知ってる長老としては、いると判れば処罰を受けてしまうから、いないって事を大々的に宣言して欲しいって事ね(納得した)
「村を守り、治療を請け負わせて頂いておりますサクヤと申します。
この村周辺は第一騎士団の方々ですら、
怪我を負ってしまう危険な森が点在しております。
故に聖女様が王城から行方不明になったとしても、
村にたどり着くのは困難かと思われます。
ですので村で聖女様を匿う等、出来かねるのです」
元騎士としての振る舞い…これで合ってるか否か判らないけれど、誠心誠意、答えたから疑う余地…ないよね?
「だとしても急激な村の成長は、
聖女様がいらっしゃると言う証では無いのか?!」
(あらま。そこ突っ込んで来る?だったら)
「…それは
村では聖女様の伝承を受け継いでおります故、
聖女様の加護が発動しているだけですが?」
(呪いを解いた事に気付いた貴族がいると思わないけれど、
これで回避できるかしら?)
「…そうでしたか。
それは失礼いたしました。
長老殿、我らも村で暮らす事を許可頂けるだろうか?」
納得してくれて助かったわ。
「今は宿と言う場所が無い、それでも宜しいですかな?」
「はい」
王都から脱出して来た人の住まいを確保する為に森を切り開く許可を貰い、溢れ出てしまった人たちを村にある空き家へ、何とか受け入れる体制を取る事が出来たのだ
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