厄災の源(みなもと)

 王と王妃は、とある場所を目指し進んでいた。


「民が我ら王族を見放してしまった状態では、

 厄災を避けたとしても戻る事は無いであろうな」


「王様…」


第一王子アレが召喚魔法が終わった後に鑑定をし、

 聖女様を迎え入れたら変わっいたであろうか」


「・・・判り兼ねます。

 我が息子と言え、

 あれ程までに脳みそが、

 花畑となってしまっていたとは、

 本当に情けのうございます」


 厄災の地…それは王城の裏手にある龍が住まいと定めた場所。


 300年に1度起こる厄災は、龍王が怒りを表した物とされているからでもあった。


 そうして王は龍王に向かって謝罪の意味を込め両ひざを付きこうべを垂れる。


「龍王様…我が国に起こるであろう厄災を、

 我が身のみに請け負わせては貰えぬであろうか」


 全ての責を王だけで負うつもりで言葉を発したのだが、龍王は怒りを露わにした声で返答を返して来た。


『そなたらの行いを見させて貰っておったが、

 流石に許す気にもならぬ粗末な物である』


「なっ?!」


『第一王子の罪は重い…

 にも関わらず、にえともせず、

 自分たちだけで責任を負うつもりで我に許しを請う始末…。

 片腹かたはら痛いわ。

 エヴァンを処分せず、

 アレンの帰宅を待つ事なく城を捨て、

 民は王都を捨て始めた。

 そなたらに同情の余地すら無い。

 さっさとね!』


「お、お待ち下さい!龍王様!!」


 龍王の声は二度と聞こえる事は無かった。


 その瞬間から幻夢げんむの魔法が発動し、王が王妃に目を向けると石化した姿と見え、そして罪の烙印が体に刻まれたのだ。


「ひっ・・・!」


 王妃を残し一目散に逃げ出した王。


 そんな王が王都から出る事が出来る訳も無く、堂々巡りをしている事に気付くのは1刻後だった。


「龍王様の怒り…それもこれもエヴァンっ!

 お前の…お前の所為せいだ!!」


 精神が狂ってしまった状態にさせられた王は、抜き身の剣を持たされ城へと戻り、元凶となったエヴァンを探し幽鬼の如く徘徊し始めた。


「エヴァーン!!お前の所為せいで…

 お前の浅はかな行動の所為で!!」


 で見せられて居る光景は、足枷を付けられたまま身動きが取れない状態のエヴァン。


 彼は王の姿を見て自由を手に入れられる、と思った矢先、王がエヴァンを見つけ口角を上げた。


「父う・・・何を?!」


「死ねぇ~!!」


「ぎゃー!!!!」


 断末魔が誰もいなくなった城内に響き渡り、王は自分の息子を自分の手であやめた瞬間、厄災のさいは投げられたのだが、全ては作り出された幻であったと気付くのは、罪を認めた時だけとなるのだ

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