村長に相談

 アレン様に気付かれつつ有る状態だと村長に相談すべきよねぇ。


 本当は気づくまで白状すまいと決めていたものの、感づいてしまったのか、はたまた村の開拓に手を出し過ぎてしまった故に気付かれたのか…そこまでは判らないけど、相談しておいた方が無難ね。


 サクヤはサーヤで有り冴子で聖女だと、アレンに告白すべきか否か、自分では判断がつかないくらいに心が壊れて居る状態だった。



  * * * *


 サクヤは長老の家に到着すると、人払いをして貰い、会話が漏れないように結界を張った上で話始めた。


「長老、相談したい事がありまして…」


「・・・もしや、アレン様に気付かれなさったのですか?」


「ほぼ間違いなく、

 気づき始めていますね。

 ただ、確証が無い為、

 問い詰める事が出来ない、

 と言ったところでしょう」


「ふむ。ならば、

 聖女として書簡をアレン様宛てに、

 出してみてはどうですかな?」


「・・・長老が預かる事になるでしょう?

 いくらなんでも、それは…」


「だからじゃ。

 だから誤魔化しが利くであろう?」


「あ・・・」


聖女わたしが投函した、

 では無く私の所に書簡が届き、

 が聖女からの書簡で、

 指定した場所での謝罪を申し出れば、

 村の者に私が聖女だと気付かれる事は無い!?)


 聖女が村にいる…と言う事が知れ渡ってしまうと、パニックに陥る可能性が高いと踏んでの事。


 それ故の指定場所での謝罪を考えたのだ。


「サクヤ・・・いや、

 今はサーヤ様と呼ぶべきじゃな。

 お前さんが王家の方々を許せん気持ちも判らん事は無い。

 じゃがな、アレン様は討伐に駆り出されておった身じゃて、

 彼に責任の全てを押し付けるのはめたらどうじゃ?」


「・・・許す方向で動きます、

 と言っても言葉遣いは戻らないと思いますが…」


 そう、サクヤは内側の言葉ですら、男性になりかけているのだ。


 それだけでなく態度や歩く姿…何もかもが男性なってしまい始めている。


 そうなってしまった元凶を許す事など出来ないとは思いつつ、許す方向に考えを変えなければ…と思い始めているのだ。


「サーヤ様…女性で有りながら男性を演じ続けた代償が、

 今になってのしかかるとは、何とも難儀な・・・」


「王様が

 こうなりませんでしたよ」


 結界を解除したサクヤは、自宅へと戻り、王子への文面を考える事にした。


 相談を受けた長老は、何とも言えない苦い顔になっている。


(王城での出来事を聞いた限りでは、

 許す事など到底できぬであろう。

 それなのに気づかれたからと言って、

 許す方向に進むと言う心の広さ…

 それ故の聖女様だと言えるカモ知れぬ。

 だが、彼女は数か月の間、

 男性として振る舞い続けてしまったツケが今、

 襲い掛かっておる。

 これをアレン王子が受け入れてくれるだろうか…)


 長老もサクヤも懸念は女性なのに男性を装わざるを得ない状況で、男性の言葉や態度にならざるを得なかった事を理解して貰えるか?と言う事なのだ。


 それでも疑われて居続ければ、いつかボロが出るのは周知の沙汰と言うもの。


 印象よく迎え入れられるのであれば、譲歩するしか残されていない、ともいえるのだ

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