龍王を聖女と共に封印へ・・・

 正気に戻ったサーヤは、完全なる封印を施す為に龍王が鎮座する場所へ向かうべく、アレンに声を掛ける。


「アレン様、厄災を防ぐべく、

 聖女が召喚され続けて来た歴史に、

 幕を降ろしに向かおうと思います。

 龍王が住まいにしてしまった場所まで案内して頂けますか?」


「(厄災を防ぐ訳では無い…?一体、どう言う事だろう)

 ・・・それは構わないが、聖なる村での『サクヤ』は…」


「サーヤは封印までの名にすればよいだけでは無いでしょうか?」


「それでは…私が…困る」


「え?」


 最後の一言「困る」と言うのを聞き漏らしてしまったサーヤ。


 意を決したアレンは、サーヤの正面にひざまずき、右手で左手を持ち上げ、唇を寄せ


「私と結婚して下さい」


 と求婚したのだ。


 サーヤは真っ赤に顔を染め、人生初のプロポーズを異世界の王子様から受けた事実にワタワタとしてしまう。


「ちょ…ア、アレン様?!

 本気なのですか!?

 私はサーヤでありサクヤで、

 封印が終われば、

 サクヤとして生きて行く事にした……

 の…に…」


「私の為にサーヤは残して欲しい。

 召喚された聖女は正式に、

 王家へ迎え入れる事が決まっていました。

 だからこそ、兄上は別人を聖女だと誤認し、

 両親へ婚姻の許諾を貰いに行ったくらいなのです。

 本来なら、私に告白の資格はありません」


「アレン様…」


「だが、私以外の王家の者が、

 聖女を置き去りにしてしまった事は変えられない事実。

 それを詫びるすべは私には持ち合わせて居ない…

 それなのに…私は…貴女に一目惚れしてしまった」


「だ、だって、初めて逢った時はとしてだったのに?

 女性の言葉では会話した事も無いのに?!」


「勿論、疑ってはいた。

 だが、決定打を見出す事は出来なかった。

 魔物が村を襲撃して来た時に対峙した君は、

 元騎士だと決定づける活躍をしていたし、

 メリー嬢が襲われそうになった時に恋人を装ってたから、

 女性では無いのか?と言う疑問は消えかけていた。

 手紙を受け取り、逢いに来てサクヤが聖女で、

 サーヤと言う名を隠して聖なる村に滞在していたのだと知り、

 ようやく謎が解けたんだ」


「・・・」


「私の前だけで構わないから…

 サーヤを消さないで欲しい。

 私の妻として…グラシオール再建の為に力を貸して欲しい」


「・・・その話は龍王を封印してしまってからにしましょう。

 王のをこれ以上、

 野ざらしにする訳に行かないですから…」


「我がまま…?」


「あら、知らなかったの?!

 龍王様は伴侶を得る為に地上に居座ってるのよ。

 いい加減、龍宮で嫁を探せ、

 と言い聞かせて二度と、

 地上の女性に手を出さっせないようにしておかないと、

 300年後に再び召喚の儀式をしなくてはならなくなる。

 それだけは阻止するわ」


 そう…グラシオールに突如、現れた龍王は自分の都合で居座ってるだけなのだ。


 龍と人では寿命が違う為、300年に1度、龍王が姿を現す事となっているからだ。


「では、案内しよう」


 アレンに先導されてサーヤは、龍王の宮にしてしまった湖へと向かう事となった

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