【幻夢の世界】(王妃目線)
龍王から幻夢の魔法を掛けられた王妃が見た世界は、1歩でも動けば毒蛇が噛みつく状態に置かれ、その先には歴代の聖女が幻として現れ、サーヤの顔は隠された状態で見えている。
「ひっ…」
『王家の不穏分子により、
その責を死する事で
良く思いついたものだな』
「ごめんなさい…ごめんなさい…
エヴァンの教育を間違ったとは言い切れません。
ですが、あれが花畑になってしまった責は、
わたくしにあるのです!
どうか…どうか…お慈悲を!!」
『罪人とされてしまった私の名誉すら、
回復させないで死ぬつもりだった?
信じられないわね』
じわり…じわり…と毒蛇が王妃の体に巻き付いて行く。
「ひいっ…そ、そのようなつもりは…ごめんなさい」
『だったら戻りなさい。
王城に戻り手配は間違いで有った旨を通達しなさい。
それでも聖女に追手が近づいた暁には、
王家の誰かを犠牲に出させますからね?』
「そ、そんなっ!」
『やはり責任逃れする気、
満々だったのだな?
そなたの罪…王家が犯した罪…
末代まで歴史に刻みつけておこう』
「きゃぁ~!!」
毒蛇が首、足、腕、胴体に牙を立て、毒を流し込み王妃の幻は死亡と言う形で消え王城裏手にある湖傍で気絶した。
それを発見したのもアレンだった。
聖なる村に戻るつもりだったのだが、王妃を王城につれ帰らねばならない事を思い出し、迎えに来たのだ。
「?!母上!!」
駆け寄り生命の危機的状況にあるのか否かを把握したのだが、気絶しているだけと判り、ホッと息を吐き出し、団員2人に頼んで王城へと連れ戻る事にした。
「龍王様の怒りを何故、
私は受けて居ないのだろうか・・・」
召喚時、
だが、龍王も聖女が王家に恨みを抱いてると知っている。
だからこそ、事実を告げる事をしないのだ。
「アレン様、王妃様は寝室で休んで頂く形を取らせて頂きました」
「そうか。では我々は聖なる村に戻り、
残りの騎士たちの回復に当たろう」
「はっ!」
体中に残る痛みでアレンが生きている事が不思議な状態なのだ、と言う事には気付いている。
だが、それが聖女であるサーヤの仕業だと気付く事は無い。
「それにしても王都から村に流れ込む人材が多すぎるな。
それすら捌いてしまったサクヤとは一体、何者なんだ?
シオール騎士団には存在しない。
ならば隣国か他国か・・・?」
アレンはサクヤの経歴を疑い始めた。
ブルーの瞳が美しい青年では有るが、騎士だったと言うのに所属先が不明なのだ。
敵ならば1度は剣を突き合わせ、顔も見知っている筈。
なのにサクヤはアレンの記憶に一切、存在していない。
「今は騎士たちの怪我を治療しなければならない」
アレンに鑑定能力は備わっていない。
だからこそサーヤが村で、安心して暮らす事が出来ているのだった
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