新たなる王都

騎士たちの今後

 聖なる村で周辺の木々を伐採し、増えすぎてしまった移住者の為に家屋の建設に着手して貰う事になっている。


「サクヤ」


「ああ。すみません、遅くなりました。

 それで広げる範囲ですが…」


 もぉ~って牛じゃないけどさ、何で私ばかりに頼るかな…。


 元騎士って触れ込みが逆にあだとなるなんて聞いて無いわよ


(って泣き言いっても仕方ないけど言いたくもなるよね)


 王都を逃げ出した多くの人々の中にいたであろう、家屋建設に携わる人物も何故かサクヤを頼るようになってしまっているのだ。


 村の誰もが何か起きればサクヤを頼る事が原因なのだ。


 伐採された木々が多い為か、王都から村までの森は暗く近づきたく無い状態だったのが、今やの光が入り込みキラキラと道を照らし旅人が余裕で通過できるまでになっているのだ。


「サクヤ、第一騎士団の中で赤を持っていた連中を見て欲しい、

 とアレン様からの要請だが…大丈夫か?」


「家屋の配置に関してレイ、

 お前が考えられるなら今すぐにでも戻るけど、

 無理だろ?!」


「うっ・・・」


「俺に頼らざるを得ないのは判るんだがな、

 知恵を付けて助けてくれる人材が欲しい限りだな。

 ともかくレイ、お前は俺が用意した地図を見て、

 家屋の配置を大工に告げてくれるか?

 怪我人の様子を把握し動けるか否かは、

 俺じゃなきゃ判らんだろうから行くさ」


「お前…先を読んで用意してたのかよ」


「…戦地にも出た事が有る元騎士だぞ?

 それくらい出来なきゃ敵と渡り合えないだろ」


 なーんて嘘っぱちだけど、先読み出来るのは異世界あっちの知識を取り入れたからでもあったりする。


 使える人材がいなさ過ぎなのは否めないけれど、使えないなら使えるように持って行けばイイだけだしねー。


 っと頼まれてたのは赤を持ってた重傷の騎士たちだったわね。


 傷は残ってしまってるけれど動かし方とか聞いてみなければ不具合がありそう。


 家屋の配置をレイに任せたサクヤは、重傷者が点在する家屋が集まる場所を目指して行く。


 そして最初の1棟に到着すると同時に鑑定を掛け、完治している事を把握しておいた。


「どうだ?足の感覚、腕の感覚、

 筋肉の動き…悪い箇所があったら教えてくれ」


「き、君が治してくれたのか!?

 信じられないが怪我を負う前に戻ったように動きやすい」


「良かったな。戻るべき王城が機能していない、

 とアレン王子から聞いて居るから、

 これからの活躍が出来ない可能性があるが、

 私生活に影響が無ければ別の仕事も出来るだろう。

 それだけでなく聖女様を見つけ出せれば元通り、

 とは行かずとも元に戻せるよう努力は出来るしな」


「王城が・・・機能してないのか・・・」


「聞いた話だ。俺も見た訳じゃない。

 歩く練習をしておけよ?

 魔物の巣窟だった森は開発が進み失われはしたが、

 魔物が消えた訳じゃない。

 この村には若い男がいないからな、

 手助けして貰えると有難い」


「あ、ああ。何人くらいなんだ?」


「戦闘できる男と限定するなら俺だけだな」


「なっ!?そんなにいないのか?!」


「仕方ないさ。

 昔はさびれた村だったから、

 外へ出る以外に仕事は無かった。

 今は違うけどな」


 慌ただしく動いてくれる流入した大工たちの姿に目を向けたサクヤ。


 彼に助けられた命を村の為に使っても良いな、と騎士たちは考えるようになって行くのだった。


 それが新たな王都へと変化するキッカケとなるとは、サクヤも思っていなかった

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