アレン王子の覚悟
サクヤに助言を貰ったアレンは、早速ではあるが王城として建設が始まった近くの宿で筆を走らせ始めた。
(それにしてもサクヤの指摘は的を得ていたな。
まるで自分が聖女…では無いな。
彼が聖女な訳が…だが…しかし…
そうとしか思えない助言だった)
いくら内情を知らないから、と言ってもアレンが提案した謝罪内容を瞬時に判断し「それで良い」と断言した事が疑いを深める事になった。
もしサクヤが実は女性で聖女だったら…?と兄のように婚姻を結びたいと望むだろうか?
それは駄目だと直ぐに答えを出す。
先ずは龍王に厄災を起こさないで欲しいと願い出て貰わなくてはならない。
そして廃墟となってしまった王都シオールは捨てるしか道は残っていないとは言い切れない、とは思うが現状の打開は、謝罪を済ませてからだろう。
謝罪の文面を伝言人と呼ばれる人物に託し、伝えて貰わなければ別の国に行ってしまったとしたら、ここだけでは解決しないと言う事も踏まえていた。
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グラシオール王国・第二王子アレンより通達
聖女様を手配したのは王の誤りであり間違えであった事を宣言し
存命であるならば「聖なる村」に訪問を願う。
又、第一王子が聖女と気づく事なく置き去りにした罪は
王子の言葉を封印する事により
王の贖罪は聖女と発する事を禁じる事となり
王妃の贖罪はエヴァンと発する事を禁じる事となった
残された私アレンは聖女様に忠誠を誓い龍王様への
厄災回避願いを望むものとす
アレン・グラシオール
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「これで…本当に聖女様は許して下さるだろうか…」
【許してくれる筈よ】
聞こえる事は無いのだが、精霊たちはサーヤの気持ちを判っている。
だからこそ王子に気付いて欲しいと望むのだが、やはり精霊は聖女にしか見えぬのが惜しいところである。
「アレン王子、そろそろ旧王城の牢屋でしたか、
行かなければ
今すぐにでも正体を明かして不安を取り除いてあげたいけれど、それだと甘いと思うのよねぇ。
召喚された瞬間の屈辱は忘れられないもの。
「サクヤすまないな、こんな事を頼むなんて…」
「仕方ありませんよ。
洞窟の牢屋なんて王子様に教えていませんし、
王族の方を罪を犯したからと言って、
収監すると言う事を他の村人に頼むのは、
気が引けましたし…俺は元騎士ですから」
「それだけじゃなく荷車を貸して貰える事も有り難いんだ」
「流石に歩かせる訳に参りませんよ。
安全になったとは言え、
元王城は急激に森へと変貌し始めていると聞いております、
そこを王族の方々と宰相様でしたか、
彼らを連れ歩く訳に行かないですからね」
もうね、どんな仕打ちよ!って言いたいくらい。
聖女である私が男性として、王族を護送する事になるとは誰が思うモンですか。
サクヤことサーヤは内心悪態をつくしか方法が無かったのだ。
そして宰相がサクヤの正体を見抜く事になるのだが、サクヤが威圧する事で、アレンが気づく事すら出来ない状態となるのは明白となった
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