閑話~黒田の不運(文化祭での一幕)

 とある高校の、とあるクラスでは、喫茶店のような内装に飾り付けられ、訪問者を今か、今かと待ち構えているのだが、1人だけ恰好が違う事に気付き、クラスメートに形となった事に気付いたのは黒田。


 そう、全員(教師含む)が、の恰好をしているのだ。


「ちょ!待てよ!!何でお前ら全員、

 なんだよ!!!!(ハメられたのか?!)」


「えー・・・誰もとは言って無いもーん」


 言っちゃー何だが、俺のクラスはイケメン揃い。


 そりゃー執事服が似合うの何の。俺も着たかった(畜生)!


「・・・絶対、喋らないからな!!」


 給仕に徹するつもりで知らん顔したら、バツが悪そうにしたクラス委員長が


「すまん黒田。お前にも執事服…と言う案も出たんだがな、

 その…女性的な顔つきで執事になると、

 男装の麗人と化してしまう可能性が高いんだ」


 俺だけメイドの理由を教えてくれた。


 確かに、日ごろから「女性顔」とか「女装したら美人だろうな」と言われているが、納得いく訳が無い。


 だが、自分の顔に執事服を頭の中で着せて見ると、確かに女性が男装しているかのように見えてしまう事に気づき、盛大な溜息を吐き出すしか無かった。


「だからこそ、お前には悪いと思ったんだが、

 メイドとして案内役を担って貰いたいと思ったんだ」


 女性だけが来るとは限らないから、メイドが居た方が良いのは判る…判るんだ、が…俺1人がメイドって言うのがしゃくさわる。


「はぁ…。せめて他にもメイドがいてくれるなら、

 怒りも半減したんだがな…」


「本当に済まない」


 勿論、女性教諭もいるには居るのだが、隣のクラスを担任しているので、お願い出来る筈もないとわかっていたのだが


「あら、黒田くん、中々似合ってるじゃないの」


 と隣のクラスから顔を見に来た先生は、キッチリとしたに身を包み、まさに男装の麗人と化して居る様を全員が、顔を赤くして見惚れている。


「先生こそ、似合ってるじゃないですか執事・・・。

 まさか、執事として手伝ってくれるんですか?」


「そうね。メイド長の方が年齢的には最適でしょうから、

 直ぐにレンタル店へ行って来るわ。

 1人だけメイドって変だもの」


 そう言ってくれ、俺だけメイドと言う事態を回避してくれる事となったのだが、他にも数人、メイドになってくれると志願してくれる友人もいてくれて助かった。


 我がクラスは他のクラスに比べ、イケメン執事と美人メイドがいる…と言う事で大盛況となったのは言うまでも無い。


 ちなみに、執事たちのセリフに、女子高生だけでなく、マダムたちも顔を赤くしていたし、メニュー表に何故か「壁ドン」ってのがオプションとして付いた飲み物すらあり、クラスで一番のイケメンがドン…と壁に手を付いて甘~い台詞セリフでメロメロにしていたのを白目で俺は見て居ただけ(ようやるわ、てな感じ)。


 絡まれる事は無いだろうな、と高を括って居たのだが、何故か男子生徒に絡まれたり、告白されたりして大迷惑をこうむったのは言うまでも無い。


 後から聞かされた真実としては、ドッキリにするつもりだったのだが、如何せん、文化祭が始まってしまったが為に教えられなかったそうな(信じられねぇ奴らだぜ)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る