無視された聖女

坂崎まゆ

王都崩壊への序章

どうやら聖女召喚のようです

「やった!やったぞ成功した!!」


 私、鈴木冴子すずきさえこが気づいた時には、そんな声が周りから聞こえて居ました。


(何?一体これは何なのっ?此処って何処なの?!)


 それを把握するのは直後。


 何故なら隣に美少女が頬を赤らめ、周囲に目を向け戸惑うような仕草が可愛らしさを強調しては居たが、体格的に男性だと私は気づいた。


 異世界物の小説を読み漁って居た私は、近づく召喚を決行した張本人だと気付き、だろうなぁと思っちゃったのよね。


(うわぁ~、すんごい美形…眼福ぅ…じゃなくて!

 隣のが本命…なのかな?

 って事は私は巻き込まれただけ!?

 やだぁ~帰りた・・・戻っても、この目…では…無理ね)


 盛大な溜息を吐き出し、連れて行かれる美少年の背中を見送って居たけどぉ、周囲の人たちは私には目もくれずに、召喚を行ったで有ろう部屋から次々と出て…行きやがった!


(スルーするんかい!)


 怒りを覚えるけど、どうせ異世界にほんに戻れてもオッドアイの私はいじめを受けるだけ。


何より日本には未練など、これっぽっちも無いに等しい(有るとすれば何とか契約できたボロいアパートくらいだわ)


 それならば無視された恨みをかてに何処かで復讐の機会を伺ってやる!


 誰も手を貸してくれないと判った時点で自分で行動を起こさないと!


 この場所すら何処かを知る術が無い。


 だったら動け!とばかりにスクっと立ち上がり出口で有ろう扉を目指し進もうじゃないの。


(どうせ放置するなら、

 この国の通貨とか武器とか、

 くれてもイイと思うんだけど~)


 内心でブツブツ召喚した癖に放置した連中に悪態を付きます!


(いずれ当然のむくいを受けさせてやる!)


 出ようとする私を騎士と思わしき人物が、慌てて静止しようとして来やがった!


(今更、止めても無駄よ…サイアクだわ!)


「お、お、お待ち下さい!

 何も持たず外に出るのは危険すぎます!!」


「あら?

 今の今までして居た癖に、

 何様なの!?」


「うっ・・・」


 …正論を突き付けられたからでしょうかね、騎士様…一応、庶民扱いでしょうからは常識的につけますけどもぉ、青を通り越して顔が白くなってま~す(ざまぁ)


「だったら危険を回避するだけの武器なり金子なり渡して下さい。

 私巻き込まれただけの存在…ですよね?!ね!?

 (強調してみました~。騎士様ってば固まってま~すw)」


「……今まで待たせてしまい大変申し訳ありません」


 おや?この言い方ですと、小説の中に出て来るで有ろう宰相様あたり…かな?ちょ~っと勘繰り入れてみますか(少しだけ冷静にならないと会話は成り立たないカモ知れないわね)


「もしかして宰相様…?」


「・・・その通りで御座います。

 聖女召喚で呼び寄せた事に対して誠に申し訳有りません。

 ですが、外に出る為の備品をお渡ししたいので、

 別室にて話を聞いて頂けますと有難いです」


「(ストラ~イク!当たりました~。で?

  理由を教え武器と金子を渡すから来て欲しい‥‥

  ですか)

 ・・・判りました、お聞かせ下さい

 (確かに、どうして巻き込まれてしまったのか。

  は知りたいわね)」


 こうして私は何処かと言う事も通貨が何かも知らない、(恐らく異世界)召喚魔法で呼ばれた、と言う形で来たようです

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る