聖なる村

閑話~教室に戻る為に・・・

 黒田は異世界に召喚したで有ろう魔法を請け負って居る部署を知る為に、部屋を守って居る騎士の胸倉を掴み


「魔法陣を描いた人物が居る場所は何処だ」


 とドスの利いた声で脅しを掛けると


「ま、魔法省にいますっ。

 魔法省はっ…この部屋を出て左に2部屋進んだ分かれ道、

 左に5部屋進んだ場所に有ります」


 恰好は女性なのに声は男性で、怒りが顔ににじむ姿を見てしまえば、のは仕方ない事だ。


 正直に答えて貰えた黒田はニヤリと笑みを浮かべ、謁見の間から目的の場所に移動した。


(俺と一緒に召喚された、

 お姉さんが聖女…だろうなぁ。

 まるっきしスルーされてんじゃん。

 あれじゃ、この国も終わりだろうな。

 それより俺はレンタル衣装のままだから戻らないとヤバい。

 さっきみたいに脅してみるか)


 騎士から教えられた通り、出て左に2部屋進むと、十字の分かれ道に突き当り左に曲がり5個先の部屋…頭上に部署名が、グラシオール王国で使われて居る文字で「魔法省」と書かれている。


(これは魔法陣を通った事による文字チートってトコだな。

 さて、足で扉を蹴り倒して仁王立ちでもするか)


           ドゴンッ!!


「「なっ?!何事だ!?」」


 大音響で入り口の扉が蹴り倒され見えた姿に、全員が固まった。


 それもその筈、カツラを手にしメイド衣装で短髪な見た目女性の少年が立っていたからだった。


「異世界から召喚した責任者は誰だ?」


 そう聞かれ、階級で決められた役職の上司で有る人物が代表して黒田と対峙する為に、一歩前に出た。


「私はジョニーと言います。

 責任者と言う立場では有りませんが、

 魔法省で階級が一番上の私が担当いたしましょう」


「間違って召喚された

 元の世界に帰れない…って事は無いよな?」


「…申し訳ないのですが戻る事は…」


「じゃあ物を返す事は可能か?」


(こう聞けば「戻せる」と言えば、

 一緒に入ってしまえば戻れる可能性はある)


「それは…やってみなければ判り兼ねますが、

 戻せるかと…」


(やりぃ!これで教室に帰れる)


「で?戻したい品を今から戻して貰えるのだろうか

 (まあ、そこは聞いてみなきゃね)」


「こちらで魔法陣を展開させましょう」


 ジョニーが案内した場所は、あらゆる魔法を実験できるようにされた施設らしい雰囲気がした。


(へぇ…色々な魔法を覚えられたか否かを確認する施設ってトコか。

 これならジョニーさんだっけ、

 騙したとしても罪悪感は、

 それほど感じないカモ知れない)


「送り返せる大きさは…

 どれくらいが限度でしょうか?」


(人の大きさと言ったら万々歳だけど…)


「そうですね…戻したい品はどれくらいの大きさなのでしょうか?」


「うーん…人の大きさに近いかな

 (人の大きさだと言ったら疑うだろうから、

  洋服は近い品だもんな)」

「それくらいでしたら可能かと…」


 そうして展開された品物を戻す為の魔法陣に飛び込んだ黒田は、まんまとジョニーを騙し日本へと戻る事に成功したのだった

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