「美月、そんな下品な言葉使わないで。ソラ君の早とちりなんだから。今からソラ君に電話するね。１度切るから……また」

　美月に謝ってソラ君に電話をかける。なんだか手が震えている。ワンコールでソラ君の声がする。

「やっぱ、連絡来ると思った！ラキさん、805号室でいいね？明日学校に契約書持ってくから、印鑑よろしく。郷に入れば郷に従えだね。サインじゃだめなんだよね、日本てめんどくさ。じゃあおやすみ」

　――切れた。一方的に話して勝手に切った。私何にも話してない。慌ててまたかけ直さないと、少し苛立つ。

――ピコン。パソコンからだ。

　ソラ君の近況ニュース更新のお知らせだと女の人がしゃべった。見たことあるよこの人。<こはいかに>でガッツリ説明してくれた人だ。

「リアルタイムニュースです。日本の<こはいかに>の社長、小早川ソラのマンションに同級生二人が引越しします。本人からの発表です」

　ニュース番組の様に進行されてる！現地からの情報ですみたいに画面が切り替わる。

「こんばんはー小早川ソラです。いつも見てくれてありがとう！早速報告なんだけど、俺のマンションに同級生越してくるんだ！しかも二人。セキュリティしっかりしてるから、ラキちゃんファンも、美月ファンも会いたくても会えないよ！もちろん俺にも。……で、今夜報告した理由なんだけど……人間、ぐずぐずしてたらダメってことで。気が変わらないうちに勢いって大事だね。人生一度きり。楽しんでいきましょう！じゃ、おやすみ」

　電話と同じ挨拶でソラ君が消える。

　はめられた……私も美月と同じ下品な言葉を呟いた。