えぴそ~ど5 「三角ビキニでバインバイン」


 普通あげる? 女神のパンツ。

 せめて使ってからあげろっつーの。

 いや、あげるな、あんなキモオタにっ!


「……あれ?」


 ユニットバスの個室で不満をこぼす私は、そこで気づいた。

 ベーシックタイプの女神服を持ってきていたと思ったら、サマーバケーション(極)タイプだったことに。


 もう、私ったらおドジ。

 これって下はまだしも上の露出度が高くて、ほぼ三角ビキニなのよね。

 どうしよう、一回天界に戻ってベーシック…………そうだ♪


「おい、いつまでこもっているんだ。さっさと出てきて早く帰れ」


 どうやら苛ついているらしい平兵凡介。

 でもこの姿を見たら、そんなかん立ちも忘れて別の感情が発露するはずだわ。

 だって今の私、とってもセクシーだから。


 私はドアを開けて、六畳間へと入る。


「ごめんなさい。今、着替えが終わったわ。あー、涼しい。胸がとっても涼しいわ」


「……」


 バスト89のEカップでそこそこ豊満。

 そしてなんと言っても、きれいなまんまるお椀型っ。

 とある雑誌で、男が求める胸の形第1位を獲得した最高の型だわ。


 そんな垂涎すいぜん物の胸に三角ビキニしか付いていないという現実を前にしたら、まあ声が出ないのも無理ないわね、ウフ。

 さあ、まだまだ攻めるわよー。


「あれ? なんか耳の中に水が入ってるみたい。水抜きしなきゃ。確かこういうときってー、片足ジャンプするといいんだよね」


「……」


「えいえい。ジャンプ、ジャンプ。いっぱい、いっぱい、ジャンプ、ジャンプっ」


 ジャンプのたびに揺れる胸。

 それはまるで意志を持った生き物のように踊り狂う。

 正直、恥ずかしかったけど背に腹は代えられない。


 羞恥しゅうちをかなぐり捨てるのよ、私っ!


 そしてそれから約二分間、私は徐々に平兵凡介に近づきながら胸を揺らし続けた。


「あ、やっと水が抜けたわ。もう、しつこいお水さん、大っ嫌いっ」


 と最後に何の脈絡もなく、また胸をプルンッと揺らす。


 あー、何年ぶりかしら、こんなに胸揺らしたの。

 ……と、ところで、どうかしら?

 パンツで無理でも、さすがにこれなら劣情をそそるはずよ。

 

 私は、眼前にいる平兵凡介の表情を確認する。


 めっちゃ真顔で私の胸を凝視していた。


 か、感情が読めないわね。

 でも吸い込まれるように私の胸を見ているわけだし、ここで勝負よっ!!


「揉みたい? いいわよ、揉んでも。異世界『ポッパニア』に行ってくれるなら好きなだけ揉んでくれてもかまわないわ」


 私は平兵凡介の顔の前三十センチメートルのところに、ズイッと胸を差し出す。


「……これで、イケるかもしれない」


「え?」


 何? イケる……?

 ち、ちょっとっ、揉むのはいいけどこの胸でイクとかそれは駄目よ、絶対にっ! 

 そんなことしたらR18になっちゃって、通報されてVANされちゃう……って、何言ってんのかしら、私。

 と、とにかくそれだけは――はぅんっ!?


 そのとき、平兵凡介が

 両の手でがっつりと。


 きゃーっ、ほんとに揉みやがった、このエロガッパ!

 で、でもこれで異世界『ポッパニア』行き、決定っ!

 行かないとは絶対に言わせないわっ。

 そ、それはそうと、こっちだけは言っておかないと――ッ。

 

「も、揉むのは自由よ。いくらでも揉みなさい。でもこの胸でイクのはなしよ。揉む以上のエッチな行為は絶対にだーめ」


「いや、イク。イクぞ」


「だ、だからダメだっつってんのっ! もし本当にイったら、あなた――え?」


 平兵凡介が急に体を後方へと投げ出す。

 と思ったら、私の胸を掴んだまま足で押し上げて、後ろへと放り投げた。


「イったぞ。胸鷲掴みからの巴投げ」


 人の胸使って何しやがんだ、こらああああああああっ!!


 私は叫びながら転移門へと消えていった。 

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