えぴそ~ど56 「熱戦・烈戦・超激戦っ!! ―VS暗黒纏いのサキュリヴァイス―(3)」


「これならいけそうだすっ。この剣からも、まるで勇者様が持っでる『聖剣えくすカリばー』のような力強さすら感じるだすよっ」


 パコが『性交の剣』を見つめて、そんなことを言う。


 正直、どっちもどっちの名称ねっ。

剣えくすカリばー』なら、そっちに軍配は上がったかもだけど。 

 ……って、そんなことはどうでもいいとして、これでサキュリヴァイスの攻撃に押し負けることは――。

 

 いや、考えが甘い、甘すぎるわよ、ロゼリアっ。

 相手は四魔将軍なのよっ?

 やり過ぎなくらいが丁度いい――ッ!


「ふーん、そうなんだ。じゃあ、その力強さってやつを――試してやるよッ!!」


 サキュリヴァイスが大地を蹴って仕掛ける。

 その表情に警戒の様子は一切ない。

 パコにかけられた補助魔法の効果など、まるで気にしていないかのようだ。


「返り討ちにしでくれるだっしゃらればああああッ!!」


 パコはパコで物怖じの気は全くなく、サキュリヴァイスの猛進に果敢に攻め込んでいく。

 

 最初押していたのはサキュリヴァイス。

 でも徐々にパコが形勢を有利なものへとしていった。

 

 そのパコの体は今や七色に輝いていて、めっちゃド派手だ。

 それは私が、本当にやり過ぎなくらいに補助魔法をかけたからであり、パコがサキュリヴァイスに押し勝っている大きな要因でもあった。


「くっそっ 腹立つ! 余計なことばっかりしやがってッ。そこの金髪のブスがぁッ!!」


 殺意の矛先を、パコから私に変えるサキュリヴァイス。

 

 やっばッ。


 パコばかりに補助魔法をかけていて、自分には一切かけていない。

 完全丸腰であることを思い出して、私は本気で焦った。


 ――のだけど。


「おんめぇの相手はそっちじゃねぇ出すよッ――性交破斬剣ッ!!」


 パコの放った必殺技っぽい神々しい光の球が、サキュリヴァイスの脇腹に直撃。

 食らったサキュリヴァイスは呻き声を出して、横に吹き飛んだ。


「あ、ありがとう、パコっ。助かったわ」


「気ぃにするな。それはそうと補助魔法感謝だす。さすがの女神様だすな」


 ほんっとぉぉぉに、とぉすまって何っ!?


 ……ところで今の技、聖光破斬剣のほうがしっくりくるわね。

 そもそもデザインとかも、『聖光』のほうがどう考えても合っているのよね。

 一体何が『性交』なのかしら。

 もしかして誤植?

 いや、誤植って何よっ。


 正しくどうでもいいことに頭を悩ませていたそのとき、サキュリヴァイスがむくりと立ち上がった。 


 体全体から暗黒の炎が激しく燃え盛っている。

 それはまるで、怒りを体現したかのようだった。


「……あたいが地面に突っ伏すだと? ……許さない――絶対にユルサナイッ! この、かっぺがあああああああああああッ!!」


 憤怒の形相のサキュリヴァイスが、まるで跳躍するようにパコに迫る。

 そして繰り出される、左手での一撃。

 

 パコがそれを『性交の剣』で受け止める。

 防御自体は間一髪のところで成功。

 しかしサキュリヴァイスの持つ暗黒の剣は、圧倒的な瞋恚しんいの力でもってパコの『性交の剣』を根本からパキリと折った。

 ――その瞬間、




 あっはああああああああああああああああああんっ!!


 

 

 

 まるで性行為で絶頂に上りきった女性の声のようだった。


 いや、そこっ!?

 性交の意味、それだけっ!!?


 ――閑話休題。


 サキュリヴァイスの怒りの攻撃はまだ終わらない。

 右手で振り上げた剣が纏う、まるでがそれを示していた。


「これで真っ黒な灰になりなっ!――『暗黒の滅殺竜ダーク・バハムート』ッ!!」


 燃え盛る右手の剣が連続するようにパコに振り下ろされる。

 そのパコは今度は『性交の盾』を眼前に構えた。

 達した『性交の剣』を捨て、両手でしっかりと。


「ま、まげねぇぞっ!! この『性交の盾』はどんな攻撃だって防ぐんだんべえええええええええッ!!」


 と、気合十分でサキュリヴァイスの攻撃を受け止めるパコ。

 でも『性交の盾』はパコリと割れた。




 あっはああああああああああああああああああんッ!!

 



 はいはい、予想通りの展開ねっ!!

 閑話休題っ、閑話休題よッ! 


「うわああああっ!!」


『性交の盾』が破壊され、パコが衝撃で弾き飛ぶ。

 幸いにもサキュリヴァイスの言った“真っ黒い灰”にはなっていない。

 ふざけた盾だけど、四魔将軍が放つスーパー必殺技を防ぐだけの能力は有していたようだった。


 でもその盾もすでに破壊され、今やパコは攻撃も防御の手段も持たない只の田舎っぺ。

 

 と思ったら、背中から剣や盾と同じデザインの短剣を取り出すパコ。

 すると短いモーションでサキュリヴァイスに投げつけた。

 しかし、難なく払いのけるサキュリバイス。

 短剣はペキリと折れた。








 ……。

 …………。

 ………………。


 


 

 

 普通の短剣かいっ!!!


 

 ――閑話休題。

 

 戦意を失いかけているパコの元へ、悠然と歩を進めるサキュリヴァイス。

 たずさえる二本の剣は、これ以上ないほどに暗黒の炎をたぎらせている。

 

 

 このままでは

 


 どうする……どうすればいいっ!?

 次のエピソードまでになんとか考えるのよ、ロゼリアッ――!!




 あっはああああああああああああああああああんッ!!


 


 時間差――ッ!?

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