えぴそ~ど49 「勇者と駄女神とポッパニア ~侵蝕~」
パコがイレギュラーゲートから顔を引っこ抜いたと思ったらこちらを向いて、すんごい形相で叫ぶ。
「魔物がぐっでっ、おみゃらもほったりぽちんてふんじばれえええええええっ!!」
なんてっ!?
「身を伏せてくださいと言っていますっ。皆さん、早く――」
いや、分かんないからっ!!
私は慌ててその場にしゃがむ。
その瞬間、イレギュラーゲートから何かが飛び出てきた。
人に似たような造形でありながら、羽を生やした毛むくじゃらの真っ黒い生物。
そう認識したとき――、
「ここガ、勇者のいる惑星チキューか。ふん、まずはそのチキュー人がどれだけ強いのカ、確かめてやろう。そこノお前でな――ッ!」
魔物が、唯一ぼうっと立ったままの胡桃子さんに襲い掛かる。
胡桃子さん――ッ!!
助けに入ろうと立ち上がる私。
その視界を誰かが猛スピードで横切る。
凡介――?
「ひやあああああああ、来ないでえええええっ」
「死ネえええええええいッ!! グハハハハハ――げはああああああっ!!?」
長い爪をいざ胡桃子さんに振り下ろさんとする魔物が、大きなうめき声を出して一回転する。
一回転。
それは凡介のラリア―トを首に食らって発生した回転運動であり、更にもう一回転しようというところで、その魔物の体を凡介が背後からつかんだ。
「ひと様の星に来ていきなり襲い掛かるとはどういう
「……あ、はひ、られれぇ、▽✖Ω■〇§~」
凡介が、呂律の回っていない魔物の体をグッと締め付ける。
刹那、後方に体を反って十八番の投げっぱなしジャーマンを――と思ったら、予想外にも、投げっぱなしではないジャーマンスープレックスだった。
ズドゥンッ!!
と地面が鳴り響く。
それは、魔物の体が胸のあたりまで地面にぶち込まれた際の効果音だった。
「――最低限の礼儀も知らんらしいな、ふん」
凡介は
胡桃子さんが感謝の言葉を述べながら凡介に抱きついて、そしてフローディアが勇者としての資質を褒めたところで、
「これでもう魔物が来ないわけではないと思うのです。また来るかもなので安堵して気を緩めてはダメなのですっ」
と、アラモードが最もなことを言う。
「それはそうなのだすっ。そこのどちっぱいの言う通り、緊張の糸を切ってはダメなのだすっ!」
「またなのです、このかっぺっ! アラモに喧嘩売ってるのですかっ!? メガファイヤーの魔法があれば、こんなかっぺ焼き殺しているのですううううっ!」
やるじゃない、あのパコって子。
思ってもみないところからライバル登場ね、アラモード。ふふ。
「そこのとぉすまの女神様も笑ってる場合じゃねえだすよっ。緊張感を持ってくだせぇだすっ! べり~べり~緊張感あっぷてんぽだすっ!」
とぉすまっ?
年増じゃないわよねっ!? 年増じゃないわよねッ!?
あと、その英語らしきもの何っ?
「パコ。さきほどあなたは何かを言いかけましたね。……四魔しょ――つまり四魔将軍が兵士を蹴散らしていたと言いたかったのですか?」
「はっ!? そ、そうだすっ! あれはたすかに四魔将軍だったどすっ! だけんども、まさが四魔将軍まででばって来るなんで、魔王の奴ばこの機に乗じて本気で勇者様をぶっ殺しにきでるようだすね。……ん? ぬはっ!?」
驚いたようなパコが、目ん玉を飛び出させる。
その意味を知る暇もなく――四つの影がイレギュラーゲートを超えてやってきた。
立ち並ぶ、四魔将軍。
大気を淀ませるほどの只ならぬ雰囲気が、その凶悪そうな外面をより一層際立たせてもいて――。
「日差しは強いが……ふん、いい星じゃねぇか。さて――」
四魔将軍の一人が、背中の大剣を地面に乱暴に振り下ろす。
すると、「刺激的にいくとしよーや。ハッハーッ!!」と、
「こんの四魔将軍めえええええいっ、すだらばだっすんギッダギダにしちゃらんめえええッ!!」
そして
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