概要
皇紀2677年・東京。飛行能力を獲得した新人類『反重力種』によって構成された特殊部隊『対空警邏(たいくうけいら)』。地上の生物を無差別に攻撃する謎の侵略存在『飛獣』。2つの異能は空を戦場にぶつかり合う。『選ばれない存在』である事を自負する少年・真鍋マグは、立ち並ぶ打ち捨てられた高層ビルの廃墟の狭間で『対空警邏』の英雄・柊アリアと再会する。
【登場人物】
真鍋マグ…18歳。男。いつもいっぱいいっぱい。主人公。
柊アリア…17歳。男。都営軍対空警邏所属。階級は中佐。時々サイコな美少年。
浦賀ササメ…21歳。女。都営軍対空警邏所属。階級は准尉。真面目で年下の面倒を見るのが好き。
高千穂カナン…16歳。女。都営軍対空警邏所属。階級は曹長。凶暴で尊大。得意技はロケット頭突き。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!つらい。つらくて切ない。でも誇らしかった。
真鍋マグは結局、すごいヒーローではなくて「反重力種」の力という戦場に立つ最低限の資格を手に入れることが出来ただけのただの若者だった。
「飛獣」という攻撃してくる理由もわからない理不尽そのものに対して対空警邏の若者たちが各々の決断をして行動するまでの描写が本当に丁寧かつ繊細で胸を打つ。
やがてくる絶望を前にしてただの若者でしかなかったマグが物語の終わりまで苦しみ、抗い続ける姿を見て、なんだか誇らしい気持ちになりました。
この物語を読み終えて最後にマグにかけてやりたくなった言葉は
「お前のような目には遭いたくないけどお前のような生き方のできる人間になりたい」です。 - ★★★ Excellent!!!歓びと哀しみの、ひと続きの物語
『何かになれるかもしれないと思った。』
それはきっと、現実にありふれた希望なのだと思います。
これは、諦めることで折り合いをつけたつもりでいた少年が、ありふれた希望を掴みもう一度世界を見つめ直す……そんな、どこにでもいるかもしれない一人の、どこかにあっただろう成長譚です。
柊アリアとの出会い。
浦賀ササメとの出会い。
高千穂カナンとの出会い。
犬飼チヒロとの出会い。
山上タイガとの出会い。
筋肉との出会い。
多くの出会いが主人公・真鍋マグに希望を与え、その在り方を一つずつ再構成していく様は、読んでいてなんとも心地の良いものでした。
けれど、物語は紡がれていきます。
この成長…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その問いの答えは、戦いのさきにあるか
受験に失敗して行くさきをなくした主人公が空をとぶ能力に目ざめ、対空警邏に入隊して東京をおびやかす飛獣とたたかう物語です。
命がけで人々をまもる対空警邏の英雄アリアさんとは対照的に、対空警邏を逃げ場としてえらんだ主人公のマグさんは、「どうして戦うのか」という問いを繰りかえしながら、仲間たちと言葉をかわし、敵と戦い、そして仲間の死を経験して成長していく姿がえがかれていました。
空をとぶ飛獣との戦いという派手なアクションと、誰もが血のかよった人間で、なにかをかかえてたたかっている登場人物の織りなす人間ドラマが魅力的です。
仲間たちとの絆がつむがれていくなかで、飛獣と戦いは苛烈なものにな…続きを読む