第46話 大統領と会談 2回目


 アメリカ連合との会談2回目の日か来た。今回ホワイトハウスの裏庭に着陸、前回帰った場所に降りる。


 出迎えはシュミットだけ、寂しくなった。

 仕方が無い、爆弾発言の連続、青天の霹靂。異星人のファーストコンタクトが人類滅亡の話だった。待遇が変わるのも当たり前。

 ラリー大統領の天国から地獄に落ちた顔の落差を見たら、可哀想に思う。


 リリスは基本折れる必要が何もない。ライ連い比べれば、地球最大の国でも、マッチ箱の箱程度の家でしかない。

 宇宙で数万年も戦ってきた国だ。方針も明確だ、折れる必要がない。そして、多くの種族が繁栄する社会システムを持っている。地球の小さな1種族で争っている社会システムが勝てるわけがない。


 私は運がいいと思う、洗練された社会システム。強力な武力を守るために使っている。強引だけど優しい。そんなライ連の一員に人類はなりたい。


 さあ、2回目の会談、アメリカ連合は何を選択するのか。


 シュミットに連れられて前回と同じ部屋に入る。

 そして、同じ顔ぶれ同じ席。


「こんいちわ皆さん、よろしくお願いします」


 入るとともに挨拶する。


 ラリー大統領が「お手柔らかに頼む」と挨拶。


 シュミットが席に着き開始の挨拶をする。


「アメリカ連合、ライトリング銀河連合 安全保障局 リリス との2回目の会談を初めます」


 続けて。リリスを見つめてシュミットが話す。


「リリス側から何か有りますか?」


「特に無い、アメリカ連合の選択と行動を聞きたい」


 シュミットは一つ一つ説明を初めた。


「では私の方から、いくつか有ります」


★★★


「まず、異物の件ですが。今後とも見つけ次第、回収し研究します。知的生命体は未知を調査するのが当然です。これに付いて何か有りますか?」


「こちらも、同様に回収を行なう」

 リリスは変わらない。


★★★


「アメリカ連合は、あなた方の対応部門を作り。調査・監視をします。連絡手段も渡しました、何か問題があれば連絡していただきたい」


「努力する。まずは、相互の信頼を高くしていく必要がある」


「努力しよう」

 とシュミットは言う。


★★★


「アメリカ連合はあなた方と対立を止め、友人になりたいと考えている。友人になる最初の1歩として、二人をアメリカ連合に来たビジター、旅行者として存在証明を出すことが出来ます。国籍ではありませんが、何かの証明を出す時に同様の証明になるようにしましょう。これで無国籍孤児よりは良いと思います。いかがですか?」


 思わずシュミットを見てにっこり微笑んでしまった。

 そしてアリスを見た。

 シュミットは続ける。


「アメリカ連合に来た友人の証明です。特別なものは何もありません。パスポートに似たものを作れるようにします。アメリカ連合も世界初の異星の友人を持った、と言うことになります」


「リリス、一歩前進だよどうかな?」


 思わずリリスに話しかける。


「それがどういった物か分からないが、アリスが喜ぶならいい。シュミットいや、ラリー大統領有難うございます」


 そうして二人はラリー大統領に頭を下げる。

 顔を上げて、静かな声でリリスは言う。


「こういった事が、信頼の積み重ねになると考えています」


 シュミットはそれを受けて。


「友人だからね、悪さはしないように心がけるし。リリスもあまり無茶は言わないでほしい」


「努力する」


「そして何か有ったら言ってほしい、友人としてできる範囲であれば協力する。大統領は忙しいから、私かアイザックによろしく」


 ニコニコしながらシュミットは続ける。


「以上が、アメリカ連合の選択と行動ですがいかがですか?」


 リリスが答える。


「私達が危惧していた、対立激化、見バレによる周辺被害、これが良い形でまとまった。そして、友人を作ることが出来た。私達から提供した情報が良い形で選択され、この会談は成功したと考えている。


 アリスの道は着実に進んでいくだろう。その道が消えるのは、私の安全保障が大きく発動する時だ。アメリカ連合も気にしてほしい。


 次に危機的に発動する可能性が有るのは、他国の行動。しかし最も危険なのは人類が持つ未熟なメディアである。あなた方は気が付いていない、または扇動者に気が付かない振りをするかもしれない。

 次の危機は他国の介入とメディアによる最悪の展開を予言する」


 シュミットとラリー大統領が深刻な顔になる。

 その可能性を理解しているのだろう。

 私も同じように思う。


 そして、2回目の会談は終了する。

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